「在欧ムスリムが協調するだけ、ヨーロッパの右傾化強まる」
2012年05月11日付 Zaman 紙

政治的不安定と経済難がつづくヨーロッパで、ムスリムに対する差別が多く見られるようになる中、在欧ムスリムが置かれている状況に関する学術研究から興味深い結果が出た。

アメリカのミシシッピ大学社会人類学部に准助教授として勤めるアフメト・ユクレイェン氏によると、ムスリムが地元民に協調するだけ、ヨーロッパの人々は急進的な右翼により傾くという。

「ヨーロッパに根付くイスラム」と題する研究について本紙に語ったユクレイェン氏は、1500万人のムスリムが暮らす西ヨーロッパでムスリム移民の第三世代が地元民に対し、より同化していっていることを指摘した。

ユクレイェン氏は、前の世代とは逆に、祖国へ帰ることを考えていないこの世代が、徐々に社会経済的にも文化的にもヨーロッパに協調する過渡期にあると述べ、「ムスリムたちがヨーロッパ化するだけ、ヨーロッパの人々はより右傾化する。ムスリムが同化するにつれ、ヨーロッパでは自らを彼らと差異化する願望が生まれる」と論じた。
このトルコ人研究者は、この状況が、イスラム恐怖症がヨーロッパの人々の間で広まっており、彼らがムスリムを治安問題の原因と看做す理由であると述べ、こう語った。
「地元のヨーロッパの人々のこの態度が、ムスリムが差別されていると感じる理由だ。 彼らがムスリムと自身とを差異化することに対して、ムスリムたちの本来の望みは、自身のアイデンティティが可視化され、受け入れられることである」と強調。「ムスリムたちの基本的な望みはもともと、他の市民たちと平等な市民になること、彼らが享受している権利を、自分たちも享受することだ」。

ドイツの学校ではイスラムの授業が「宗教社会学」という形をとっており、ムスリムがまだユダヤ教徒やプロテスタント、カトリック教徒のような宗教の一つのグループとして認識されていないことを、この状況の一例として示している。

ユクレイェン氏は、ヨーロッパで右傾化が強まっていることと、ドイツ移民の抱える問題についてこう語った。「過去にユダヤ教徒たちが経験したことを私たちも経験するのだろうかという問いが、常に頭の片隅にある。しかし、ヨーロッパは過去から教訓を得ただろうと考えている。」

また、急進右翼グループの行動に対し、リベラル派はムスリムの側に立つとし、ムスリムが実際に必要としていることを自由民主主義が補うことができれば、いかなる問題も起こらないだろうと述べた。

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( 翻訳者:細谷和代 )
( 記事ID:26367 )