コラム:エルドアンはディヤルバクルで何を言ったか―党支部大会での発言
2012年06月03日付 Milliyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相がディヤルバクル党支部大会の演説で何をいうかは、注視されていた。とくに、首相が2005年に行った演説と似た発言をするかどうかが関心をもたれていた。結局、首相は2005年におこなったような演説はしなかった。そもそも、そのような演説をしないであろうというサインは、すでに示されていた。

■クルド問題の大部分は解決

首相の最近の演説からもわかるように、クルド問題の大部分は解決済みだと首相は考えている。そのため2005年にしたような演説はもはや必要ないと考えているのだ。ディヤルバクルでの昨日の演説もこの空気に支配されていた。首相は、「すべてが解決したとはいいません」と前置きしたうえで、問題の大部分は解決されたとの確信を示す演説を行った。

「否認、拒絶、同化には終止符を打ち、禁止事項を取り払った。そしてEU水準の改革により、静かな革命をおこなった」との首相の発言は、2005年のような演説を行う必要がなかったことを裏付ける。TRT放送の24時間クルド語放送の実施、刑務所で母子がクルド語で会話できること、印刷・出版の自由、大学でのクルド語研究機関の設立を強調したことに、「問題の大部分は解決し、残りわずかである」というメッセージがこもっている。

■3つのポイント

ディヤルバクルでのエルドアン首相の演説ではつぎの3点が強調され、これらは将来的な政治展望をも表している。

1- 仲介者を介さない直接の対話
2.共通の宗教基盤
3.資本投資の増加

首相は「PKK(クルディスタン労働者党、非合法)との闘いと平和民主党(BDP)との交渉」と要約できる政策を述べる際にも、直接、地域住民と対話する方向性を示した。昨日の演説で「仲介者を介さない直接の」対話を何度も強調していたことも、同様のアピールだろう。

BDPに言及した際、「ある人々は、(首相は)アメド(ディヤルバクルの別称)へ来ることはできない、議会へは行くななどと言っている。何様のつもりか。私は、(みなさんを)抱擁しに、ここへ来たのだ」と同じメッセージを送った。

首相は演説で共通の宗教基盤についても非常に強調していた。イスタンブルでもディヤルバクルでもモスクのミナレット(尖塔)は同じ大空に向かって伸びている、と述べ、サラディンや地域で育まれた偉大な宗教者に言及し、地域住民の歴史や無形の価値に訴えかける姿勢を示した。また首相は地域への資本投資についてもつけ加えた。PKKとBDPを攻撃するに際し、彼らが資本投資を邪魔していることを強調し、AKP政権が行ったディヤルバクルと周辺地域への資本投資を列挙した。 

■第4次(司法改革)法案

首相は、司法省が、第4次司法改革法案の準備を始めていることをディヤルバクルで明らかにしたことも意味深である。エルドアン首相は第4次司法改革法案で、拷問に関する時効の撤廃、被告人の権利強化、思想および信念の自由の拡大、表現と出版の自由を促進すること、検察官と弁護士の(の権限)を公平にすること、テロ関連の軽犯罪の罰則を緩めるこおとを明らかにし、司法分野でも地域住民に歓迎される改正をおこなうとアピールした。

■ウルデレには言及せず

エルドアン首相がディヤルバクルで、ウルデレ事件についてどのような発言をするかも注目が寄せられていたが、首相はウルデレ事件に関して言及しなかった。もっぱら「われわれの政権ですべてが明らかにされる」と述べるにとどめた。

■クルチダルオールCHP党首との会合

首相は、共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首から要望のあった会合に対し、建設的な回答をしたこともディヤルバクルの演説で明らかにした。この会合は、CHPがクルド問題解決の手法に関する提言をおこなう目的で希望されたものだという。首相はクルチダルオール党首を攻撃する一方で、クルド問題について話しあうことを明らかにしたことは有益な一歩といえるだろう。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:26590 )