Fikret Bila コラム:3政治リーダーのクルド問題への見方、整理
2012年06月06日付 Milliyet 紙

エルドアン首相と、共和人民党ケマル・クルチダルオール党主により、テロおよびクルド問題に関して今日行われる会見は、重要な進展とみられている。この会見に先立ち、政治リーダーらのテロとクルド問題への見方を要約しておくことは、役に立つだろう。

■エルドアンの見方

エルドアン首相は、2005年にディヤルバクルで行った演説で、「クルド問題は存在する。これは、(力ではなく)民主主義により解決するものだ」と発言し、この問題への見方を明らかにした。

それならば、なぜ近年エルドアン首相はより民族主義的、より安全保障に重点をおいた発言をするようになったのだろうか。その主要な原因のなかには、2005年の演説の原因となった諸問題が概ね解決したと考えていることが大きな位置を占めている。エルドアン首相は、もはやクルド人アイデンティティの否定、クルド語での出版、母語の学習・教育・使用、クルド文化の継承といった問題には、障害は残っておらず、それらを保証する重要な改革はすでに行われたと考えている。後には、クルド系市民の個人的ともいえるような問題だけが残っている、と考えている。

第二の重要な原因は、このプロセスで、テロの終結のために、PKKとのオスローでの接触、バブル国境からのPKKメンバーの帰還のようなリスクを背負った政策を行ったにもかかわらず、平和民主党・PKKラインが、これに応えず、それどころか、それを悪用するという結果が生じたことだ。このため、それ以後、PKKとは武力で対応し、ただし、その政治局とみている平和民主党とは交渉する、と発表した。ただし、それには一つの条件をつけた。それは、平和民主党が、カンディル(のPKK本部)や、イムラル島(のオジャラン)から独立して行動することだ。エルドアン首相は、PKKと平和民主党による、憲法へ「自治区」を盛り込むという要求は拒否している。

つまり、問題は概ね解決されたと考えているがゆえに、残っている問題は、交渉により解決されると信じているのだ。

■クルチダルオールCHP党首の見方

CHPは、社会主義人民党(SHP)の時代以来、この問題についても最もいろいろ検討し、多くのレポートを準備し、様々な提案を行ってきた政党の筆頭にくる。そして、よく知られたSHPのレポートを含め、CHP側からの提案の多くは、すでに実現された。

クルチダルオール党首の見方は、この問題が、全政党の参加と社会的協調により解決される、というものだ。2つの委員会の成立を提案している理由もこれだ。国会の内と外に2つの委員会を設置し、それが政治的、社会的協調をひきだし、国会がこの協調の結果を実行に移す決定を下すことを求めている。解決策が国会の枠組みのなかで、協調により生み出されることを正しいと方法だと考えている。

クルチダルオール党首も、平和民主党の「自治区」要求には否定的だ。委員会を通じて解決策が生み出され、国会の真相解明委員会のもとで被害が明らかにされること、これまで不明とされてきた諸事件の真相が明らかにされること、そして傷が癒やされるようつとめられることを提案している。憲法への「自治区」明記のかわりに、欧州評議会の地方自治体条件にトルコが付した解釈が削除されることが、大きな貢献となると考えている。

クルチダルオール党首は、エルドアン首相との会見のあと、もしCHPの提案が肯定的に受け止められたならBDPとも交渉したいとしている。BDPも、解決プロセスに取り込む必要があると考えているためだ。また、バフチェリMHP党首にも話をきくよう、説得中だ。

■バフチェリMHP党首

民族主義者行動党(MHP)のバフチェリ党首の見方は、エルドアン首相やクルチダルオール党首のそれと大きく異なっている。バフチェリ党首は、他の政党がいうような意味で、クルド問題を考えていない。それゆえ、「いわゆるクルド問題」という言い方を使っている。PKKを、トルコの国土からその一部を奪い、独立したクルド国家建設をめざす、外国から支援をうけた、分離主義のテロ組織とみている。テロ組織とは軍が戦う以外には解決策はないと考えている。政府の解決諸策を「解体」、クルチダルオールの努力を「崩壊」プロジェクトだといい、それらとはまったく話し合う余地がないと述べている。

バフチェリ党首は、オスロー交渉やハブル国境ので出来事同様、クルチダルオール党首の委員会提案、全政党参加の会議のような提案も、テロ組織への妥協とみている。そして、アタテュルクの作った共和国には、そうした試みはふさわしくないと考えている。

最近、エルドアン首相とバフチェリ党首の間には接近がみられると言われている。エルドアン首相は、最近とみにPKKを非難し、いかなる形でも交渉には参加させないと繰り替えし、民族主義的な様相を前面にだした言い方をしている。スカーフ問題、教育制度改革問題、中絶禁止問題のような諸問題での意見の近さもあり、こうした見方が生まれている。しかし、テロとの戦いとクルド問題について、交渉という手段を取ろうとすることは、バフチェリ党首にとって受入れられることではない。バフチェリ党首は、オスロー交渉やハブル国境プロセスに対してとったのと同じ態度を、今もとり続けている。

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:26633 )