Fikret Bila コラム:クルド語選択授業化とBDPの反対
2012年06月13日付 Milliyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、昨日の公正発展党(AKP)の会派会議において、クルド語が第5学年から選択授業となることを発表した。そして、この決定が「歴史的一歩」であることを強調した。
クルド語が教育システムに選択授業として加わることは以前から明らかだった。オメル・ディンチェル国民教育大臣もこの可能性について言及していた。クルド語が「国民教育」システムに選択授業として加わることは、選択授業であっても、疑いの余地なく重要な転換点である。
この決定によって、政府が一方で平和民主党(BDP)-PKK側の手から議論を引き出そうとし、他方でクルド人からの支持獲得に向けての一歩を踏み出したと考えて間違いない。

■共和人民党も提案

クルド語選択授業は、共和人民党(CHP)の提案の中にも存在していた。
CHPが選挙前に用意した「南東」という冊子に、クルド語の選択授業化についての掲載がある。
よって、エルドアン首相が発表した選択授業の決定にケマル・クルチダルオールCHP党首から反対の声が上がることはないだろう。

■BDPの反対

政府がこの思惑で踏み出した一歩に対し、BDPは、「不十分だが良しとする」という楽観的考えなど示しもしなかった。その反対に、ギュルテン・クシャナクBDP共同党首は、エルドアン首相を「罪を犯した」と非難、首相が「歴史的一歩」と述べたクルド語選択授業化の決定に、次のように反論した。
「人に自身の母語を外国語のように教えることほど大きな圧制はありません。例えば首相が(クルド語を)学びたいと望めば選択授業になるでしょう。AKPはこのような罪を犯しています。我々は彼らの共犯者になるつもりはありません。」
スッル・スュレッヤ・オンデル氏やハスィプ・カプラン氏といったBDP国会議員は、クルド語は選択授業ではなく、教育言語であるべきだという主張を繰り返した。
BDPのこの反応は驚くべきものではない。彼らの「民主的自治」という要求の最も重要な土台の1つは、クルド語教育なのだ。

■BDPのサラミ政策

今回のクルド語選択授業化に対するBDP-PKK側の反対姿勢は、ある種の「サラミ政策」と言うことができる。つまり、次のひと切れを得るために 前のひと切れは不十分なものとみなすのだ…。
クルド語問題についてのこれまでの経緯を見ると、BDP-PKK側がこの路線をたどっていることがはっきりとした形で見られる。
このため、彼らは常に目標をより高く設定するのだ。
クルド語禁止令が撤廃されたトゥルグト・オザル政権時代から今日までに起こった経緯において、重要な段階を通過してきた。
例えば、クルド語のカセットテープや新聞、書籍類の禁止令が撤廃された。
その後、GAPテレビが45分のクルド語放送を開始した。
民間のクルド語講座開設に関する法整備が行われ、いくつかの講座は開設された。
しかし、「民間講座ではだめだ」という抗議が行われた。
これらの進歩に対し、BDP-PKK側は真っ向から対立した。「45分の放送が何になるのか?」という抗議が高まった。
民放ラジオや民放テレビの要求が議題に挙がるようになった。
これらの要求が認められ、民放テレビに放送許可が与えられた。
TRT-6は、24時間クルド語の放送に移行した。
そしてとうとうクルド語は選択授業になったが、BDPはこの決定を「圧制」、「罪」と位置づけた。
「我々はクルド語学習ではなく、クルド語教育を望む」と反論したのだ。

■高い目標を掲げて

BDPは、高い目標を掲げた政策の一環としてクルド語教育を主張する。
このプロセスで、クルド語の選択授業化はいくつかの結果を生むだろう。
例えば、クルド語の授業を教える教師が必要になり、よって大学でクルド語教員養成学部開設要求が持ち上がってくる。そして教育システムにおけるクルド語の立場の拡大が議論されるようになるだろう。

南東アナトリアの各県を始め、イスタンブル、アンカラ、イズミル、メルスィン、アダナといった大都市で、選択授業としてクルド語の選択が広まり、おそらく圧力も生じるだろう。
一方からは「選択授業は侮辱である。クルド語は教育言語であるべきだ」という抗議が続き、他方からは開かれたこの扉が評価されるだろう。
BDP-PKK側は間違いなく、言語が民族化や民族意識の形成に最も効果的な道具であることを知っている。そのため、言語について強く主張しているのだ。
PKKとBDPの目に映る問題は、異なる文化や言語、方言の存続に限られたものではない。
問題はつまり、トルコが「2つの民族」という構造を持つ連邦として再構築され、将来を見据えることなのだ。

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:26700 )