Semih İdizコラム:AKPを苛立たせること
2012年06月30日付 Milliyet 紙

シリアの問題について好ましくないことを執拗に尋ねたコラムニストたちをエルドアン首相が国民の目の前で「裏切り者だ」と訴えたにもかかわらず、この疑問は問われ続けている。さらには、この疑問は国際的なレベルにおいても問われ続けている。

 例えば、世界で最も評価を受ける新聞であるニューヨーク・タイムズ紙に掲載された記事によると、シリアによって撃墜されたトルコの飛行機は政府が明らかにした任務以外のためにあの場にいた、とアメリカとその同盟国の首脳は疑っているというのだ。

 手短に言うと、エルドアンを非常に怒らせた「あの飛行機はあそこで何の用があったのか」という質問は、政府の発表にもかかわらず、簡単には消えないものと思われる。国内でこの質問が押さえつけられたとしても、国外でそうできる可能性はないであろう。

 一方、先日私たちに連絡をとってきた著名な外国人の新聞記者の質問は重要であった。実際、マーヴィ・マルマラ号についてイスラエルに抗議しようと通りへ押し寄せた人々は、撃墜されたトルコの飛行機のために、なぜ“シリアを呪おう”と同じことをしていないのだろうか?

 問題にイスラエルが関わっていたかと、「屈折した動機」で姿を現した「宗教」層を脇にやれば、この問いは軍を神聖な存在として見ている民族主義者層にも当てはまる。

 これをもとに、コラムニストたちがエルドアンを怒らせた質問が国民によって問われたとすることは可能だろうか? 私自身の経験に基づいて、これには前向きな答えを出せる。これは、私だけの考えではないと考えている。

会話を交わした人、たとえばビルの隣人、私が乗ったタクシーの運転手、医者、銀行の知り合いの出納係らだが、みな同じことに関心を寄せている。これから、あることを引き出せる。

 まず、心配して口にされた「シリアとの戦争が始まるのか」という疑問が筆頭だ。これに「AKPがこの政策をとって、実のところ何を目的としているのか」という疑問が続く。さらに、「国内でこれほど問題がある中、他国を是正する力が残っているのか」という解釈が入った疑問が出てくる。

 バッシャール・アル=アサド大統領のトルコ在住のスパイは疑いなくこの状況を注視している。一昨日イラン国営テレビにて話をしたアサド大統領は、「トルコ政府の対シリア政策は、トルコ国民の見解とは一致していない」と述べており、注意を引いた。コラムニストや他の人々、エルドアン首相の発言にもかかわらず、トルコと国益への忠誠を疑わない多くのトルコ国民が、AKPの対シリア政策を疑問視しているのは確かである。

 こうした疑問の声を民主的な国で挙げることは、与党を怒らせたとしても、誰一人として「裏切り者」を仕立て上げることはない。しかし、大きな期待が生み出されているにもかかわらず、トルコの対シリア政策が「机上の論」であり、そしてことがまったく政府の望み通りにいっていないことは明らかだ。

注目は今、今日シリア問題についてジュネーブにおいて外務大臣クラスで行われる会議にある。これは、元国連事務総長でシリア特使のコフィー・アナンの提案を受けて実現した。この会議のもっとも重要な特色は、シリアの味方であるロシアと中国も参加することである。

この両国は、トルコが熱心に支援している“シリア友好”グループを「シリア体制の転覆を求めている」という理由で、敵対するポジションを取っている。これを考慮に入れると、トルコがジュネーブ会議を反アサドの舞台に変え、最近の出来事をうけてシリア政府への非難を引き起こすのは不可能と考えられる。

このほか、アナン特使はジュネーブで、トルコ政府が気に入らない昔の計画を復活させ、シリアで「国内協調政府」を設立するための提案をすると言われている。つまり、トルコ政府が退去を望むシーア派に重きを置くバース党政権に(体制にとどまる)可能性を引き起こす状況が謳われているのである。

 他方、ジュネーブでアサド大統領の退去のため行う予定の呼びかけは、ロシアの壁にぶち当たることは明らかだ。要するに、バッシャール・アル=アサドとその政権は、AKP政権にとって、国内でも国外もうしばらく政治的災いであり続けるだろう。国民は息をつめ、今後の出来事を心配し続けている。

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( 翻訳者:甲斐さゆみ )
( 記事ID:26883 )