トルコ軍機撃墜事件、残る2つのシナリオ―ミサイル?公海上の船から?
2012年07月05日付 Hurriyet 紙

以下は、ヒュッリイェト紙英文版編集長Murat Yetkinの寄稿である。

*****

シリアにより撃墜されたトルコ機についての参謀本部の発表には、いくつの重要な点がある。それは次の5点だ。

1.ずっと世の中が求めていた事故の詳細の一部は、7月4日に二人のパイロットの死亡が正式に発表されたのと同時に、発表された。もっと詳しい情報の発表は、7月5日にパイロットの遺体が引きあがられるまで待たれていた。そもそも7月6日にマラトゥヤで軍の葬儀が行われることが発表された時点で、もう遺体の引きあげは終わっているのだと思われていた。

2.パイロットの遺体の場所の完全な特定は、海底捜査船ノートリス号が借り受けられ、7月3日に当該地域に投入されたのちにはじめて可能になったのだということが、参謀本部の発表からわかる。つまり、トルコ海軍の機材リストには、トルコにとって戦略的な重要性をもつ東地中海の比較的岸に近い(飛行機の残骸は、岸から約15キロの地点にある)水域で、十分な捜索・救出を行うための(船や機械などの)手段がないのだということがわかる。

■ ふたつのシナリオ

3.残骸がみつかった地点は、地図に示されており、トルコ政府が当初より行ってきた発表と合致する。シリアは、軍機はもっと陸に近い地点で撃たれた(なぜなら、対空砲の狙える距離は2.5キロだといわれている)といっていたが、このことは、この(確定した残骸の位置の)情報に照らして検証されねばならない。RF4機の無線交信が途絶えたのと、レーダーから消えるまでの間には90秒という時間のあったことが、ビュレント・アルンチ副首相により発表されている。陸から対空砲で撃たれたジェット機が、90秒間にどれだれ飛べるのかは、おそらく飛行機の損傷からはっきりするだろう。陸からの対空砲による攻撃の可能性がなくなると、考えられるシナリオは二つだ。そのいずれもが、アサド大統領により否定されているものの、その1つは、シリアがミサイルで撃ったというもの、もう1つは公海上の船からの対空砲での撃墜、というものだ。シリア以外の誰かが撃ったというシナリオについては、現時点では、それを示す情報はない。

4.捜査・救出作戦は、シリアの空域・水域内で行われた。このプロセスで、トルコとシリアの間で外交的な接触が行われたのかどうをについては、発表がなされていない。しかし、両国の作戦が、少なくともアメリカ、ロシア、イギリス、そしておそらくはイスラエルの電子諜報網により監視されるなかで行われていたことは想像できる。

5.この悲報が示す2つのことがある。第一は、シリアの防空システムが国際法を踏みにじる形で運用されているということである。第二は、トルコが何としても墜落した飛行機のパイロットの遺体と飛行機の残骸を引き上げようとした決意の固さは、この問題を徹底的に追及するという観点で、トルコ政府の本気を示している。この過程でNATOからトルコを支持する声明のトーンも次第に高まっていった。このことは、同じ枠組みの一連の事象と考えることができよう。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:26932 )