Oral Calislarコラム:クルディスタンを北シリアと呼ぶなら・・・
2012年07月28日付 Radikal 紙

バルザーニーも、タラバーニーも、シリア・クルド人もそれぞれ脅威の対象でなくなり、われわれが友好的で前向きな言葉をかけることのできる同盟者となりうる

ダヴトオール外務大臣は、トルコの伝統的アプローチにもとづく「定義」により、シリア・クルディスタンを次のように呼んだ:「北シリア」・・・。「北イラク」という概念も我が国では(「北シリア」と)同様の認識のもと、通用している。自分たちの国会を持ち、大学を有するこの地域の、世界に広く知られている名称は「イラク・クルディスタン」であるが、トルコではこの名称は無視されている。
中東世界の変容において最もダイナミックで、積極的な役割を担うのはクルド人となるのは明らかである。中東における最も危機的なそして決定的要因の多くにクルド人がかかわっている。ほとんどの地域で彼らは権利や法を持たず、その上一部の地域ではクルド人というアイデンティティやクルド人として登録されることもない。

■モスクワの重み

ロシア連邦軍参謀本部は、シリアのタルトゥース港にあるロシアの海軍基地に向けて敵の軍事力がいかなる攻撃をしかけたとしても、対応措置をとると警告した。この声明により、シリアの今後におけるモスクワの重要性はかなり明確になった。
一方ではロシア(そしてイラン)、他方ではアメリカ合衆国とヨーロッパ;これらの国が、この地域の将来に対する影響力を強めつつある。これらの国々は、自国の分析に基づきロードマップを作る一方で、この地域の住民も自分たちの立場を明確にしつつあるのだ。

■女性たちの不安

アサド政権が崩壊した場合を想定し、一部の人々の間に様々な不安が頭をもたげている。例えば、クルド人の女性は、新体制が構築された場合、「イスラム主義の強まり」により現れるであろう混乱の中で、攻撃の対象となる恐怖について話している。伝えられるニュースによれば、自分たちを守るためにすでに武装化しているとか、キリスト教徒、アレヴィー、そしてアラブ人の女性らと共に協力する準備をしているという。
クルド人の将来はどうなるのだろうか?アレヴィーは何をするのだろうか?キリスト教徒は何を期待しているのだろうか?この地域ではどのように新しい文化や生活スタイルが形成されうるのだろうか?予測することは非常に難しい。
思い出してみよう。イラクの占領後、最も大きな苦しみは女性とキリスト教徒が受けた。急進派は女性が通りに出ることを禁じ、出たものは殺害した。イラクではキリスト教徒は人口の4%だったが、ほとんどいなくなった。もちろんシリアにはこの観点からは、より「多様」で様々な少数民族のグループが存在する。クルド人は約10%、アレヴィーは12%、キリスト教徒は10%である・・
平和民主党(BDP)共同党首のデミルタシュ氏とギュルタン・クシャナク氏の呼びかけに注目すべきである。シリア・クルド人を区別せずに会談を行わなければならない:トルコは、過去の傷を癒し健全な関係に変えるために、クルド人のダイナミズムを一つの可能性としてみなすべきだ。
次の点が明らかである: 新しく再構築される中東、つまり非常に多様で多文化に富む状況がエネルギーに変わるかどうかは、トルコがこの地域をどう読むか、そして国家管理をどのように考えるかに大いにかかわってくる。「国家統制主義者としての考え方」が少しであれ、乗り越えられるなら、トルコ共和国において優勢な「意思」が、自国(トルコ)のクルド人と和解するのは容易になる。
トルコの「伝統的国家統制主義的政策」が弊害をもたらしたことに気付くことは、地域全体に影響を与えうる。
その後のステップとしては、周囲のクルド人社会に対する見方を変えることだ…政府に近い識者らのバルザーニーに対するアプローチというものは、これまでの見方と決別できないということを示している。「バルザーニーは裏表がある」といった評価が前面に出ている。
しかしバルザーニーは、あなたがたが「望んだことは何でも行う」ような人物ではないのですから。というのは・・・彼もこの地域のキーパーソンの一人なのである。何年もの間彼をPKKとの交渉役にさせようとしていた。しかし彼はこれを受け入れなかった。バルザーニーは、以前にトルコが力で持って何度か試みた紛争がクルド人に与えた被害に気付き、同じようなことは繰り返さないと決めた。
バルザーニーも、タラバーニーも、シリア・クルドもそれぞれ脅威の対象でなくなり、さらにはわれわれが友好的で前向きな言葉をかけることのできる同盟者となりうるのだ。
クルド人が暮らす地域を「北イラク」、「北シリア」などといった名称でよび、トルコのクルド人との和平を恐れているようでは、あらたな一歩さえも踏みさすことができないのは明らかである…

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:富田祐子 )
( 記事ID:27160 )