ハーメネイー最高指導者「敵の圧力によってイランの考え方が変わることはない」
2012年07月26日付 Mardomsalari 紙
7月25日付ジャーメ・ジャム紙1面より
7月25日付ジャーメ・ジャム紙1面より

 イスラーム革命最高指導者は体制幹部らとの面会の中で、現実主義的な視点を伴った理想主義こそ、苦境を乗り越えるための条件だとした上で、「敵の圧力によってイランが考え方を変えることはない」と強調した。

 革命最高指導者事務所の広報サイトが伝えたところによると、イスラーム革命最高指導者のアーヤトッラー・ハーメネイー猊下は火曜日〔7月24日〕の夕刻、体制幹部らと面会するなかで、現実主義的な視点を伴った理想主義こそ、過去32年間にわたって〔イラン〕国民とイスラーム体制が〔世界のなかで〕先駆的な運動を続けてこられた秘訣に他ならないとした上で、国民とイスラーム体制の能力・ポテンシャルを強調しつつ、〔イランに対する〕敵の複雑な挑戦行為に対峙する際に「しなければならないこと」及び「してはならないこと」について、詳細な説明を行った。

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 革命最高指導者は、社会の現実を無視することは判断と選択における過ちを招くとした上で、「現実に沿って自らの動きを決めなければならない。そのためには何が過ちで、どこに過ちを生む原因があるのかに注意することが、極めて重要だ」と続けた。

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 同師はさらに「革命とイスラームの敵は、人工的に《現実》を創り出し、それを《現実》として装うことで、〔体制の〕責任者たち及び人民を過ちへと巻き込もうとしている」と語り、「イラン国民の力を小さく見せ、抑圧諸国戦線の力を大きく見せることこそ、敵の企みに他ならないと指摘した上で、次のように述べた。「もしこうした《装われた現実》に囚われ、自身ならびに敵の力を見誤るならば、進むべき道を間違えることになるだろう」。

 同師はまた、現世への執着と肉欲的な弱さも、現実を捉え、道を選択する際に過誤を生じさせる原因となるだろうと指摘した。

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 アーヤトッラー・ハーメネイー猊下は、国の現実をすべて見渡せば、多くの希望がわいてくると指摘した上で、「これらの現実は、たとえイラン国民の理想への道のりが困難を伴うものであるとしても、決して行き詰まることはないということを示している」と述べた。

 同師は革命の敵たちが、イラン国民の進む道が行き詰まりに陥っているかのように見せようと企てていると指摘した上で、次のように続けた。

圧力と制裁を強めることで、イランの指導者たちに自らの考えを見直すよう促さねばならない、と彼らははっきりと述べている。しかし現実を見渡すならば、われわれは自らの考えを見直す必要はないばかりか、むしろ国民の支持する道を、これまで以上の確信を持って進み続けるべきだということが分かるのである。

 革命最高指導者は一部の現実について詳述するなかで、さらに「抑圧的な国々がイスラーム共和国と対峙し、日ごとにその複雑な圧力を強めていることは、無視することのできない事実である」と述べた。

 同師はその上で、これらの抑圧的な国々には政治的、経済的、メディア的な力が備わっており、彼らは確かにその強大なプロパガンダ装置を使って、自身を「国際社会」そのものであると僭称しているが、それ〔=欧米諸国が「国際社会」そのものであるということ〕は真実ではないと指摘した。

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 同師はさらに、「もう一つの真実とは、抑圧的な国々のイスラーム体制に対する敵意は、体制の原理・原則そのものに起因するということだ。ところが彼らは、イラン国民と対立している原因を、核問題にある、人権擁護のためだ、などと偽ろうとしているのだ」と述べ、さらに「もちろん、人権という分野におけるアメリカやシオニズム、イギリス、その他の抑圧者たちの、闇に満ちたこれまでの所業を見るならば、彼らのウソを信じる者など誰もいないだろう」と指摘した。

 アーヤトッラー・ハーメネイー猊下はその上で、「真実はこうだ。すなわち、イラン国民によるイスラーム革命は、この重要な国を抑圧者たちの魔手から救い出し、イスラーム世界で拡大しつつある目覚めを生みだした、そのために彼ら〔=抑圧者たち〕はイスラーム共和国を叩くことで、このようなモデルは採用しないよう、〔他の国々にとっての〕見せしめにしようとしている、というわけだ」と語った。

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 アーヤトッラー・ハーメネイー猊下はまた、別の現実として、イスラーム体制と敵対する西洋諸国で起きている危機の存在について指摘し、次のように述べた。「ヨーロッパ連合・ユーロ圏で起きている経済危機は極めて深刻であり、ヨーロッパ数カ国が不安定化し、一部の政府が崩壊した。アメリカでは巨額な財政赤字が生じ、《99%運動》が起きている。これらはいずれも、決して見落としてはならない重要な出来事である」。

 同師はその上で、次のように強調した。

西洋諸国が経験している経済問題は、我が国の経済問題とは根本的に異なる。われわれが直面している問題は、ちょうど頂上に向けて進んでいる登山隊が直面している困難に似ている。登山隊は困難に巻き込まれているが、しかし動きを止めてはいない。これに対して、西洋の経済問題は、雪崩の下に埋まってしまったバスのようなものだ。

 アーヤトッラー・ハーメネイー猊下は北アフリカ・周辺地域情勢も〔見逃してはならない重要な〕現実の一つだとし、「イスラーム体制の力が増しつつあることも、極めて重要な現実である」とした上で、イランには極めて豊富な石油・天然ガス・鉱物資源が存在すると指摘して、次のように述べた。「〔イランには豊かな〕人的資本が存在すること、7500万人の人口、特に若く、活気にあふれ、高い教育水準の人々が存在することも、〔重要な〕現実の一つであり、我が国の基本的な長所の一つである。そしてそれこそが、〔イランの〕進歩の重要な要因の一つであると考えられるのである」。

 イスラーム革命最高指導者はこれに関連し、人口抑制策の問題について触れ、この政策の見直しが必要だと強調した上で、「70年代〔ほぼ西暦1990年代に相当〕の前半であれば、この政策を実施することは国益に沿った正しいものだったと言えただろうが、しかしこの政策をその後も続けたことは誤りであった」と指摘した。

 同師はその上で、次のように強調した。

学術的・専門的研究が示すところでは、もし人口抑制策を続けた場合、〔イラン社会は〕徐々に高齢化し、最終的には人口減少に陥るだろう。それゆえ、国の責任者たちは真剣に、人口抑制策の見直しに取りかかる必要があるのであり、メディア関係者や宗教指導者をはじめとする言論人たちは、この問題について〔子作り奨励に向けた〕文化作りに動くべきだ。

 もしイランが柔軟性を見せたり、後退したりしようものなら、敵はあらゆる口実を使って、これまで以上に厚顔無恥な振る舞いに出るだろう‥‥。ハーメネイー最高指導者はもう一つの真実としてこう指摘し、その実例を挙げている。「悪の権化と言えるような人物によってイラン・イスラーム共和国が悪の枢軸に加えられてしまったのは、われわれの責任者たちが西洋・アメリカにへつらうかのようなレトリックを使っていた時のことだ」。

※訳注:ハータミー政権時代に「改革派」が欧米に対して融和的な姿勢を示していたにもかかわらず、ブッシュ政権によってイランが悪の枢軸に加えられてしまったことを指す。

 同師は核問題においてある程度の「後退」が行われた時期のことについて触れ、「当時西洋諸国に対して同調姿勢を示し、後退してしまったことが、彼ら〔=西洋諸国〕をつけあがらせてしまい、そのために私自身が個人的に問題に介入せざるを得なくなってしまった」と指摘した。

※訳注:「核問題における後退」とは、IAEAに抜き打ち査察を許可する「追加議定書」への調印をめぐって、イランが英仏独三カ国と2003年に暫定合意したことを指す。その後、ウラン濃縮活動の取り扱いをめぐって、合意は撤回された。

 同氏は次のように続けた。「西洋諸国は当時、我が国の指導者たちが3台の遠心分離器で満足していたにもかかわらず、そのことにすら異を唱えてくるほど図々しくなっていた。ところが今や、我が国では1万1千台の遠心分離器が稼働しているのである」。

 アーヤトッラー・ハーメネイー猊下は、もし当時後退を続けていたならば、今頃核の進歩も、科学的歓喜・独創性もイランには存在していなかっただろう、と強調した。

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 同師は経済的圧力に対抗するためには「抵抗経済」を実行することが必要だと指摘し、「抵抗経済」の必要条件について、「憲法44条総合政策〔※国営企業の民営化政策のこと〕を実施することで、経済の《人民化》を図り、民間部門を強化すること、石油への依存を減らすこと、消費を管理すること、時間や資源、資産を最大限有効に活用すること、計画に基づいて動くこと、そして法律や政策の突然の変更は控えることなどが抵抗経済の柱と位置づけられるだろう」と規定した。

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 革命最高指導者はスピーチの最後で、団結と連帯が極めて重要だと指摘し、国の責任者たちに向けて、「幸いなことに、国民は団結している。あなた方は無意味な対立をやめ、こうした対立のメディア化を避けることで、国民の団結を守らねばならない」と語りかけた。

 同師はさらに、「三権が互いに非難し合うことは、極めて有害である。責任者たちは、こうしたことが国民の間での自らの名声・人気の向上にはまったくつながらないということを認識すべきだ」と強調した。

 アーヤトッラー・ハーメネイー猊下はその上で、「困難が存在することは事実だ。しかしそれを互いのせいにすべきではない。そうではなく、団結を保ち、対策を考え出すべきだ。こうしたことこそ、なすべきこと、可能なことなのである」と付け加えた。

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:27190 )