マカーレム=シーラーズィー師、イスラーム世界のウラマーたちに公開書簡
2012年07月30日付 Jam-e Jam 紙

 アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーはアラブ諸国のウラマーやムフティーらに向けて公開書簡を送付し、一部の国のイスラーム教徒が直面している惨状に対して、彼らが沈黙を続けていることを批判した。

 メフル通信の報道によると、マルジャエ・タグリード(シーア派宗教最高権威)である同師は、書簡の中で、イスラームの歴史を通じて、今日ほどイスラーム教徒が他の者たちによって無残に殺戮されている時代は他にないと指摘した上で、次のように述べている。

イラク、パキスタン、アフガニスタン、バーレーン、そしてなかでも最も重要なことにシリアで、無辜の民や女子供らの殺戮が続いている。さまざまな国、そして残念なことにイスラーム諸国からも、傭兵どもが彼の地に送り込まれ、彼らは「自由軍」などという名の下で、同国〔=シリア〕での同胞殺しに従事している。

※訳注:なお、ここでマカーレム=シーラーズィー師がシリアで殺害されている人々として想定しているのは、いわゆる「シリア政府の弾圧によって」殺害されている人々ではなく、シリア政府が主張するところの「テロリストによって」殺害されているとされる人々のことである。

 アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーは「シーアとスンナの同胞たちは毎日のように、他のイスラーム教徒によって殺害されバラバラになったイスラーム教徒たちの姿を目撃している」と指摘した上で、「その一方で、欧米にいるイスラームの敵どもは〔これを見て〕歓喜の声を上げているのだ」と強調した。

 マルジャエ・タグリードである同師はさらに、「妄想を理由にイスラーム教徒の同胞たちを最も残虐な仕方で殺害しているこれらの集団は、イスラームとコーランに対して最悪のダメージを与えているのである」と続けた。

 マカーレム=シーラーズィー師はさらに、「彼らはイスラームを暴力と無慈悲の宗教として〔世界に〕示し、イスラームから進歩的姿を奪い取り、イスラームの名誉を汚しているのである」と強調した。

 同師はその上で、イスラームのウラマーたちに向けて、「なぜ沈黙を続けているのか?こうした同胞殺しはもうたくさんだ、となぜ言葉を発しよう、抗議しようとしないのか?」と力説した。

 アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーはこうした惨劇のウラには、アメリカとイスラエル、そして彼らに雇われた傭兵どもがいるのは、周知の事実だと指摘した上で、次のように強調した。

もっと驚くべきは、ミャンマーでイスラームの敵たちがこれ好機とばかりに、イスラーム教徒殺しに着手し、これにイスラームのウラマーたちが沈黙していることだ。ファトワー(教令)を発することで、こうした残酷な殺戮を阻止してはいけない理由が、果たしてどこにあるだろうか?アラブ諸国の指導者たちに対して、〔殺戮を〕煽り立てないよう忠告するべきではない理由が、どこにあるというのだろうか?

※訳注:ミャンマーの少数民族でイスラーム教徒のロヒンギャ族が、ミャンマー当局の黙認のもと、過激な仏教徒らによって虐殺されているとされる問題を指している。ただ、最後の一文(「アラブ諸国の指導者たちに対して‥‥」)が具体的に何を想定しているのかは不明。

 マルジャエ・タグリードである同師は、書簡の中でさらに、「こうした沈黙は受け入れられず、神の御前で言い訳をすることはできない。確固たる決意で、一緒にこうした犯罪行為と闘おうではないか。神の御前で言い訳をするのではなく、イスラームの敵たちを失望させ、絶望へと追いこもうではないか」と述べられている。

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:27212 )