Murat Yetkinコラム:ギュル大統領再選問題のゆくえ
2012年07月31日付 Radikal 紙

ギュル大統領は道を譲るべきだと考える公正発展党執行部に対し、ギュル大統領には大統領選挙についていくつか主張したいと思っている点がある。

大統領府のアフメト・セヴェル主席報道官が昨日ワタン紙においてルシェン・チュクル記者に行った、「ギュル氏はまた候補になり得る、させないことがあろうか?」という発言が、突如として政治的話題になった。
この発言をアブドゥッラー・ギュル大統領のあずかり知らぬところで行うのは不可能であると、セヴェル氏を知る者は言うが、当のセヴェル氏は、さらに、「再び大統領候補になることが妨害されようとしていることに、大統領は大変悲しみ、傷ついている」と語った。
セヴェル氏は何を言いたかったのか。彼は互いに関係し合う二つの問題について言及したということができる。
一つは公正発展党によって国会に提出され、2012年1月20日に承認された大統領選挙法である。大統領が国民に2期5年ごとに選出されることを認める国民投票が2007年10月21日に行われたことを念頭に置くと、法制化が5年間遅れたことで、5年がもう満期になるという抗議が野党の間から出てきた。 しかし、ギュル大統領はこの国民投票の前、2007年8月28日に(民族主義者行動党は、国会での大統領選挙において定足数367を超えるために、点呼協力をしていた)、一期7年の大統領として選出されていた。このことは野党同様、一部の与党の法律専門家らによっても主張されていた。これに反して、国民投票以降、5+5のルールが有効であるとして擁護する者や、7年間の任期は前もって獲得した権利であり、二期目の5年は後から勝ち取った権利になると主張する者もわずかながらいる。タイイプ・エルドアン首相の承認なしには考えられない公正発展党の法案が、ギュル氏に7年一期の期間を与えるようになっているということは、エルドアン首相の「チャンカヤへの意志(大統領就任をねらっていること)と解釈されている。セヴェル氏が言及した最初の悲しみと言うのはおそらくこれに違いない。
二つ目は、共和人民党が2012年3月21日に憲法裁判所へ(基本的に5+5を求めて)行った提訴に対し、憲法裁判所が2012年6月15日に承認し、ギュル氏に7+5の権利を与えた決定の後に起こった出来事だ。憲法裁判所の決定に野党よりも与党から抗議が出たことは興味深かった。しかしこれは、内閣の大臣らが声高にギュル氏は大統領候補にはならないと主張したことで、さらなる展開をみせた。ギュル氏がこの件で親しい者に、「私の名前を取りざたする権利が、彼らにあるのか?」と非難したと、政治の舞台裏でささやかれている。セヴェル氏が「いくつかのアンケートは何らかの意図がある」と言及したことが政府に近い一部の新聞に出たことや、ギュル氏が再び候補になった場合獲得する票は、野党候補者の獲得する票以下で一ケタとなると示されたことも、意図的なものであった。
セヴェル氏の不意の発言に、共和人民党は反応するのを控えた。民族主義者行動党のオクタイ・ヴラル氏はこれを「公正発展党の固い結束」のなかでの戦争と名付けた。しかし、一番厳しい反応は公正発展党副党首ヒュセイン・チェリキ氏からのものであった。
ギュル大統領の大統領府報道官によって行われた発言に対し、エルドアン首相の公正発展党報道官によって反応がなされるということは、政治における「代理戦争」または、(戦争と言わないでおこう)、「代理者を通じての闘争」とでもいえる様相を呈していた。チェリキ氏は明瞭にそしてすみやかに、エルドアン首相がギュル氏を大統領候補に指名した際行った振る舞い(妥協)を、こんどはギュル大統領がお返しをする番であると言っている、つまりある意味ギュル大統領に、「エルドアン首相のチャンカヤ(大統領)への道を邪魔するな」というメッセージを与えていたのだ。
これに対してギュル大統領は何といったのか。昨日の予定はマスコミ非公開であった。しかし違法タクシー問題を含む諸問題を説明しようと、イスタンブルのフベル官邸に大統領を訪問したトルコタクシー協会のギュネシュ・タシュ会長はギュル大統領に質問し、「この件を話すには時期尚早」という返事をされたことを、取材する記者に話した。
つまり、この件について話すこともなく、道を譲るべきだと考えている公正発展党執行部に対して、ギュル大統領には2014年の大統領選についていくつか主張したいと思っている点があった。ギュル大統領がこの件を話す相手がエルドアン首相(若しくは恐らくビュレント・アリンチ氏も)であると容易に予想できる。
補足:憲法裁判所のメンバー構成を少し見てみると、そこに見えてくるのは、もう一つのトルコの現実である「深いアナトリア」である。つまりヨズガト、カイセリ、クルシェヒル、皆さんはご存じなかったと思うがアンカラ、エスキシェヒルである。これは、トルコ大国民議会のジェミル・チチェキ議長からハシム・クルチ憲法裁判所長官に至るまで、何年もの間、システムの奥深くに映し出されていた。
ちょうど9月30日に公正発展党委員会で党組織は刷新され、ベテランの党員たちは表彰されるだろうと語られる一方、こうした細かいことがらが大統領選の行く末にとってますます重要になってくると私は確信している。

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( 翻訳者:清川智美 )
( 記事ID:27228 )