イラク政府、「我々はダヴトオール外相を逮捕することもできる」
2012年08月02日付 Radikal 紙
キルクーク県知事(左)とダヴトオール・トルコ外相(右)
キルクーク県知事(左)とダヴトオール・トルコ外相(右)

イラク外務省は、アフメト・ダヴトオール外務大臣のキルクーク訪問がイラクのバグダート政府の把握していないところで行われたとし、厳しい反応を示した。イラクのヌーリー・アル=マーリキ首相のスポークスマンは、訪問が危険な結果をもたらすかもしれないとし、国会議員のアブドゥルハディ・アル=ハサンは「我々はダヴトオールを逮捕することが出来る」と述べた。

北イラク・クルド自治政府のリーダーであるメスド・バルザーニとの会合のために、アルビルを訪れたダヴトオール外相は、昨日の朝、突然、キルクークを訪問した。

■トルコ外務省:バグダード政府の反応は、不適切

キルクークから再びアルビルに戻ったダヴトオール外相は、夜にシリアのクルド人リーダーらと会談した。

■安全のため秘密にされた

朝、同行者らとともにアルビルからキルクークへ移動したダヴトオール外相の訪問は、安全のため秘密にされていた。イラク政府はダヴトオール外相のこの訪問に対して、非常に厳しい態度を示した。
 イラク外務省は、インターネットを通じて声明を発表した。「国家の主権が無視され、国際関係の基礎が疎かにされること、そして政府と関係者の関係の基礎的調整が侵害されることは、トルコにとっても、また他のいかなる国にとっても、利益とはならない」と述べた。

AFP通信社の報道によると、声明では「これら全ては外務省の把握していないところで行われ、この訪問は、公式な外交ルートは利用されていない 」と述べた。

■「我々はダヴトオールを逮捕することが出来る」

 ルドー通信社からの情報によると、ヌーリー・アル=マーリキ首相がリーダーを務める法治国家連合の国会議員アル=ハサン氏は、キルクーク訪問の重要な国際法の侵害であるとし、「ダヴトオールは違法な方法でキルクークを訪れた。我々は彼を逮捕することが出来る。ダヴトオールはイラク政府に知らせず、且つ国際的な外交手法のすべてを踏みにじった」と述べた。

 ルドー通信社に語ったアル=ハサンは、訪問が悪いメッセージとして認識されたことを明らかにし、「ダヴトオールはイラク政府に知らせずにキルクークへ訪問を行った。そうである以上、イラク政府はトルコ外相を逮捕する権利がある。イラク政府は、大使をトルコから引き上げなければならない。トルコのバグダット大使館に呼び出しを行い、そしてイラクのトルコ大使館は24時間以内にイラクから撤退しなければならない」と述べた。

アル=ハサン議員は更に「イラク政府関係者がトルコ関係者に知らせずに、トルコのどこかの県へ訪問を行うというような権利はあるのか?」と疑問を投げかけた。

■「危険な結果が生じる可能性がある」

 イラク首相ヌーリー・アル=マーリキの報道官であるアリ・アル=ムーセヴィー氏は、AA通信社の
特派員に行った会見で、ダヴトオール外相の訪問により外交ルールが無視されたこと、訪問の責任はトルコと北イラク・クルド自治政府にあると述べた。

ムーセヴィー報道官は、トルコとイラクの関係が通常の状態で、良好なレベルを継続している中で行われたこの訪問は、危険な結果をもたらす可能性があることを述べた。

これに対して、イラクは黙ってはいないと強調するムーセヴィー報道官は、この地域において、民主主義と外交の観点から手本となる国であるトルコのような力強い国が行ったこの訪問が「逸脱」であると主張した。
ムーセヴィー報道官は更に、「トルコのこうした形での突飛な行動は手本となるだろうか?トルコにとって、イラクとの政治、経済、貿易関係の観点で利益となるだろうか?我々は、政府に知らせてくれてさえいれば、イラク北部への訪問に反対ではない。しかし、我々はこの訪問を知らなかった。そうである以上、イラク政府により、国会、国民、そしておそらく地域・国際レベルで与えられるであろう公式の抗議には、様々な形がありえる。なぜなら、この訪問が国際法を無視して行われたからだ。どのような政府であっても、自国に情報を与えられないまま、外国から自国へ訪問が行われることを認めない」と述べた。

●75年の時を経て初めて

ダヴトオール外相は、ソーシャルネットワークのツイッターで、「75年の時を経て、キルクークを初めて訪問したトルコ共和国外務大臣となり、光栄である」と記載した。ダヴトオール外相は「キルクークはイラクのおいて、トゥルクメン人、クルド人、アラブ人の我々の同胞が平和の中で暮らす永遠に平和な都市になる」という表現を用いた。

ダヴトオール外相は、キルクーク県ネジメッディン・ケリムを訪問した際の写真をツィッターにアップした。その後、イラク・トゥルクメン戦線(以下ITC)を訪問したダヴトオール外相は、ITC のトップであるエルシャフ・サーリヒ氏と会談した。

ダヴトオール外相の前には、(75年前に)テブフィク・リュシュトゥ・アラスが外相の肩書きでキルクークを訪問している。

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( 翻訳者:櫻川知子 )
( 記事ID:27245 )