Abbas Güçlüコラム:教育4+4+4制、最終判断はだれがするのか?
2012年08月11日付 Milliyet 紙

教育制度において、ここのところ大きなプロジェクトが話題にのぼっている。全部でなくても、このうちのひとつだけでも実現できれば、非常に意味のある行政サービスとなる。
ひとつひとつ挙げてみたい;
-義務教育を12年とすること
-ファーティフ計画
-学費の無料化
-研究・開発局の設置やテクノパークの建設
等々、もっとたくさんのプロジェクトが挙げられる。失敗に終わったものは数にさえ入れてない。しかし、ここに挙げたすべてのプロジェクトについては、いかなる失敗も、失敗に追い込むようなことも避けなければならない。トルコとトルコの子供たちの将来のために、失敗は許されない。何よりまず国民教育省の失敗など・・・。

■教師は処方箋を書けるか?

教師が処方箋を書くことは可能か?答えは断固としてノーである。非常に効果のある治療法を知っていたとしても、病気になった児童・生徒は医者へ診せなければならない。病気を適当に判断して処方箋を書くなど、論外である。
しかし、4+4+4制では、医師を、処方箋を書く教師の代わりにしようとしている。しかも、政府の手によって。これは最大の過ちである。
国民教育省は医師らに対し、「子どもたちの義務教育開始年齢を、我々は教育学的に明示することができず、そもそもこの件を解決できないので、あなたたちがこれに関して責任を持って明示してください」と言っている。
医師らはといえば、これに断固反対だ。自分たちの仕事ではないからだ、と言う。
本紙はトルコ医師協会中央委員会のオズデミル・アクタン会長と、昨日この件について再び話す機会を設けた。
「義務教育開始年齢と、どの子供がいつ就学するかの判断を我々に委ねようとするなど、間違いにも程があります」と言う。その理由は、トルコ医師協会、トルコ小児科医協会と教育組合が先週行った共同記者会見で詳細に述べたと言った。それらはどういう内容なのか?下記にいくつかの項目を挙げたい。

■なぜ66ヶ月ではだめなのか!

-4+4+4制において、児童・生徒の家族の反対意見を解決する場所は病院ではなく、教育機関だ!
-発達の過程という観点から、まだ遊び年齢の66ヶ月の子どもを、準備教育無しに初等教育のルールにはめ込ませるのは、子どもの精神的、感情的、認知的発達を妨げかねず、その後何年も続く学校生活においてマイナスの影響を生み得る。
-5歳の子ども(60~71ヶ月)は、知能的、体力的、社会的、心理的に、初等教育にはまだ早い。学校教育に必要な子どもの社会的、感情的、認知的能力、また言語、運動能力の発達は、6歳(72ヶ月)以前には完成しない。
-子どもがこれらに関して未発達なままで初等教育1年生になるのは、精神衛生上多くの面でマイナス要素を生む。
-また、これらの子どもたちは6歳(72~83ヶ月)の子どもたちと同じクラスで勉強すると発表された。これもまた別の問題を引き起こす。同じクラスに60~83ヶ月の子ども、つまり約2歳も違う子どもたちが混ざるということだ。この状態だと、発達という観点から72~83ヶ月の子どもたちは当然60~66ヶ月の子どもたちより優れており、学習が速く、期待されることをより簡単にやってのける。60~66ヶ月の子どもたちが、クラスの中で遅れをとることは避けられないだろう。

■試したがうまくいかなかった!

-初等教育を5歳から開始する試みは1983年~1985年にトルコで行われたが、うまくいかず、断念したことがある。
-国民教育省は、この試みの過ちや問題を検討し解決策を探すことをせず、「子どもを学校に入れたくない人は、神経科医から、『子どもの精神上就学するのは適切でない』という診断書をもらうように」と言って、問題の解決を、医師らに一言の相談もなく投げた。

-これらの通知と政策から、子どもの状態に関して不安を感じる多くの親が、子どもを今年学校に入れさせないために病院の門を叩くことになった。無計画で、専門家や関係者の意見を無視して強行されたルールのせいで、医師らは困難な立場に立たされている。もっと言えば、親たちと衝突するような状況になっている。この状況は、そもそも国民教育省だけで解決すべき問題の責任を、異業者になすりつけることで解決策の模索を放棄しようとしたことと、どうしたらよいかわからずに医師らに助けを求めたことによる。

-結果として;72ヶ月より前に初等教育1年生の教育を始めることは、不安と成績不振から自分に自信が無いまま成長していくこと、素行問題が出てくることなどの観点から、好ましくない。この年齢の子どもたちには、準備教育を受けさせる方が賢明である。
総まとめ:正しい決定を、間違ったやり方によって失敗に終わらせることなど、絶対にあってはならない!

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:27322 )