Firet Bilaコラム:トルコの困難な日々―周辺国家とPKK
2012年08月23日付 Milliyet 紙

クルディスタン労働者党(PKK)の企てたテロ活動をただ国内条件で語るだけでは不十分である。エスカレートするPKKの攻撃や政治的反響を当該地域の出来事と合わせ、全体像に目を向けなければならない。

■「戦線」

近隣諸国で起きる出来事に関してトルコが取ったスタンスの結果、アンカラに対し当該地域の諸勢力からなる一つの「戦線」が形成されている。テヘラン、バクダッド、ダマスカスからなるこの「戦線」は、トルコに対し行使する手段を持っている。アンカラを特にシリアで無力化し、また内政で多忙にさせ、トルコ国内での衝突に巻き込みながら、近隣諸国に似た状況の国にしようとしている。
この「戦線」は、以前はそれぞれが独自に形成され、またクルド労働者党(PKK)と協力関係を結ぼうとしているように、自らがコントロール下に置く別の武装組織を反トルコとして動員する可能性がある。
これらの組織は直接テロ行為を行う可能性があるばかりか、PKKと協力するかたちで活動を行う可能性もある。
北イラクの国境がそうであるように、シリア国境もテロリストの通り道として都合よくなった。
シリアからの難民は今もなお続いているが、その中に紛れ込んだPKK、PYD(民主統一党)、テヘラン、バグダッド、ダマスカスの影響下にある他の組織の活動家やスパイは、簡単にトルコに入国することができる。武器や爆発物も持ちこむことができる。
テヘラン、バグダッド、ダマスカスから同時にトルコを脅すような声明が行われれば、このような企てのサインだと考えるべきだ。
アンカラはアサド政権にとっての最も強力な反対勢力となった。こうした政策の結果、テヘランをも敵に回すことになった。同じく少し前まで良い関係を築こうと努めたバクダッド政府のかわりに、バルザーニ政権(北イラク)を優先する政策をとるようになった。
外交政策におけるこの変化により、テヘラン、バグダッド、ダマスカスはアンカラに敵対する勢力となった。この「戦線」がアンカラに対しできる限りのことを行うであろうことに疑いはない。最初の兆候が現れ始めている。

■アメリカとロシア

アメリカとヨーロッパの態度に呼応し、トルコは急いでシリアに圧力をかけ始めた。アメリカは選挙期間に入ったため、シリア問題への関与を弱めている。ヨーロッパ諸国はアメリカより及び腰である。
アンカラはアメリカとヨーロッパから積極的な支援を受けることができない。ロシア、中国、イランという国々と対峙した状態にある。
最近動き出したアメリカはシリアに対し、「戦略的メカニズム」について話しを始めた。化学兵器が使用された場合、アメリカは態度を変えると説明した。アメリカ、イギリス、フランス3国の首脳は電話による三者会談を行った。
国連決議はまだ出ていない。
こうした状況に対し、シリアに緩衝地帯や飛行禁止区域設置の話が出ている。これらを実施してもイラクでは親トルコ的な結果を生み出さなかった。PKKが北イラクにいること、根ざしていること、広範な活動地域を見いだしていること、トルコに対し簡単に攻撃が行えること、アンカラはこれらに基づく「経験」をしたことがある。このためシリアで同じ間違いを繰り返してはいけない。
ロシアは地中海地域でただひとつ影響下に置いた国であるシリアを手放さないために、我を張っているように見える。ロシアのこの地域で唯一のそしてもっとも大きい軍事基地はシリアにある。アサド政権を軍事的にも援助している。
アンカラは今後、国益に反し、国連の決定に基づかない行為はすべきではない。そして事態の推移をもう少し冷静に眺めるべきである。

■PKKの攻撃

PKKはシリアの内戦と並行するかたちで攻撃を仕掛けた。テヘラン、バグダッド、ダマスカス間で生じた反トルコ的な空気を、最後まで利用しようとしているのは明らかである。
この反トルコ・ブロックは、アンカラを内政に専心させ、混乱させるためPKKにできる限りの援助を行うだろう。
この混沌とした状況は中東に新しい形をもたらすだろうと期待されるが、この混沌とした中でPKKも南東部で権力を獲得し、幾つかの場所を支配下に置き、国家的な組織を有し、人々を治めているかのような印象を与える実効支配を行うのである。
シリアでの一連の出来事は、PKKにとって自らのテーゼを実現するという観点で、希望を膨らませたように思われる。ハッキャリ-シェムディンリを奪い、開放地区をつくるよう努め、シリアに似た状況をつくる行動に出て、そしてあらゆるところで攻撃を仕掛けていることの意図は、ここに世界の注目を引くことだ。
トルコを、その今後に影響を与えるような困難なプロセスが待ち受けている。
このようなプロセスにおいて、政府は内部の揉め事を一旦脇に置く必要がある。トルコの一体性、国内の平和、国益を重視しながら、力を合わせて理性的な行動をとるべきである。

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( 翻訳者:畔上曜子 )
( 記事ID:27434 )