シリアTV、誘拐されたトルコ人記者をテロリストとして報道
2012年08月28日付 Milliyet 紙


アレッポで二週間前に誘拐されたトルコ人ジャーナリストのジュネイト・ウナル氏の拷問を受け撮影されたとみられる映像が、親シリア政府のテレビ局で放送された。映像では、(ウナル氏は)反体制派を支持していることを説明する文章を読み上げた。これは誘拐犯がウナル氏に強要したものと思われる。

親シリア政府のアル・イフバリーヤ局は、二週間前アレッポで誘拐されたカメラマンのジュネイト・ウナル氏の映像を放送した。撮影日が不明な映像では、ウナル氏は疲れており、話はぎこちなく、両目の下にアザがあったことが注目を集めた。強制的に語らされたと思われる声明で、ユナル氏はシリアのアアザーズ村の周辺にいた武装集団と移動したと話し、「私の周りの集団は全員武器を手にしています。武装集団の中には、チェチェン人、リビア人、カタール人、サウジアラビア人がいます。私は、アアザーズ村からマフリ・タラファト地区に移動しました。なお、私が行動を共にしたグループも全員が武装していました。そこからアレッポへ移動し、タフヴィト・リアヴ・グループと会いました。彼らも武装していました」と語った。
ウナル氏は、大通りでシリア軍兵士と武力衝突が起きたと語り、「それらの武装集団の中から、私を捕まえてここへ連れてきました」と話した。テレビではウナル氏がロケットランチャーを持って写った写真も放送された。

■ダヴトオール外務大臣:シリアに責任がある

アフメト・ダヴトオール外務大臣は、誘拐されたトルコ人カメラマンのウナル氏の映像から、(ウナル氏は事前に)書かれたとおもわれる声明を読み上げさせられたと指摘し、「まず、シリア政府はこのトルコ人ジャーナリストが無事にトルコに戻ることについての責任があります。そのためにトルコ(政府)はあらゆる努力をすることを決めました」と述べた。ダヴトオール外相は、「(ウナル氏)が無事であることは、私たちは以前の報道で知っていましたが、映像(が公表されて)以来、自らも確認することができ、私たちは喜んでいます。アル=ハムド・リッラー(アッラーに賛えあれ)、無事だったことはいい知らせです。みなさんが憶えているように以前、二人のトルコ人ジャーナリストが誘拐された時、(シリア政府は)長い間、彼らはトルコの諜報員である、と主張しました。多くの別の任務を帯びてそこ(シリア)に滞在していたのだと。それにもかかわらず、同胞である彼らはジャーナリズムの責務を全うし、後に(トルコに)戻った後もジャーナリズムの仕事を続けています。この映像の公表後、このジャーナリストでありカメラマンのトルコ人の健康状態について第一義的に、それはシリア政府に責任があります。私は、国際的な報道機関にここから呼びかけ、トルコ国内の報道機関にも、未だにシリア政権を正当化しようとしているコラムニストらに向けてここから訴えます。もし、ジャーナリズムの影響力、倫理、ジャーナリズムのアイデンティティを尊重しているならば、一斉にジュネイトの解放のために 努力をしましょう。もし、報道の自由を支持しているのなら。まず、シリア政府はこのトルコ人ジャーナリストを無事にトルコに戻す責任があります。そのため にトルコ(政府)はあらゆる努力をすることを決めました」と続けた。
(トルコ)政府のビュレント・アルンチ報道官も閣議の後の会見で、ウナル氏の映像に関連し、「その映像はつくられている。強制的に語らされている。手にあるテキストに関する内容を(語るよう)強要された。顔や眼にあるアザも暴力にさらされていたことを示している」と述べた。
 
■テロリストではなく、ジャーナリスト

ウナル氏のカメラマン仲間は、「ジュネイトは長い間仕事がなく生活のために一時契約としてアレッポで仕事をしていました。彼はテロリストではなくジャーナリストです。9月にアンカラへ戻る計画だった」と述べた。カメラマンのトルガ・チュプラク氏は、ソーシャルネットワークサイトのツイッター上で、 以下のように書いた:
「ジュネイトは娘にサハラと名付けた。なぜなら、娘が生まれた時に、彼はリビア内戦を取材するためにサハラ砂漠にいたからだ。彼はテロリストではなくジャーナリストだ。」
ウナル氏の親しい友人で、CNNトルコのアンカラ支局でカメラマンとして働いているメリフ・バイチュルク氏もミッリイェト紙に以下のように語った:
「私はジュネイトを12年前から知っています。ディクメンの同じ地区で暮らしていました。長い間、CNNトルコで働いていました。その後、イスタンブルのオネ通信社へ移りました。イスラエルで仕事をしている間、事件をカバーするためにリビアへ行きました。
この間、生まれた娘にサハラ砂漠からサハラと名付けました。通信社の閉鎖により、仕事がない状態でした。生活のために、イラクの放送局と契約し、シリアへ行きました。その仕事をするために、生活費を稼ぐために、あそこに行きました。出発の数日前、私たちは話しました。この仕事から戻ったら、イスタンブルを離れてアンカラへ戻る計画でした。彼の母、父はもともとアンカラに暮らしています。」

■暴力を振るわれたことは明らか

トルコ・ジャーナリスト連盟(TGF)のアティッラ・セルテル代表も「ウナル氏は、即座に解放されなければならない。2万人以上の会員を持つTGFはこの件であらゆる支援を行う用意がある」と述べた。アンカラジャーナリスト協会のナズミ・ビルギン代表も文章による声明で、カメラマンのジュネイェト・ウナル氏のメディアに流れた映像から、彼が暴力を振るわれていたことがわかるとし、この状況を非難すると語った。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:27464 )