Semih İdizコラム:シリア政策でトルコ孤立―AKPに次の手はあるのか
2012年09月05日付 Milliyet 紙

ダウトオール外相は、国連安全保障理事会でシリア問題、特に難民問題に関わる「緩衝地帯」について行動実施に移れず、発言の中に深い失望が現れている。

議長国フランスの招請を受けて安保理メンバーに、先週、シリア問題で緊急介入と援助を要請したダウトオール外相は、望んだ結果を残すことはなかった。同外相はその後「この会議がシリア国民のために具体的な提案を生み出すものと期待していたが、国連のシステムは機能していない」と非難し、失望を明らかにするのみだった。この発言の裏には失敗したという認識が明らかに見てとれる。

■トルコは地域で孤立している

この失敗はトルコへ「身丈にあった真の(行動の)尺度」を示すものである。なぜなら公正発展党(AKP)与党は「地域の主体」となることはおろか、「グローバルレベルで影響力を示す」ことを頭に描いているが、「世界の友人」のうちの誰ひとりからもシリア問題で同党が望んでいる支援を取り付けることができなかったからだ。

この間、地域的に見るとトルコは孤立している。新聞を読む限りではダウトオール外相はニューヨークで「できる限りのことをしていますが、現況は私達の能力を超えています」と不満をもらしながら「近いうちに難民流入により対処できない状況になるでしょう」と話した。

西側連合軍のほか、AKP与党はシリア政策で最も重要な同盟国である産油国のサウジアラビアとカタールからでさえ難民問題において現在まで重要な援助や支援を得られていない。この両国には、政府が求める緩衝地帯に必要な兵力の支援に関してあまり熱意が感じられない。

現在、活発なPKKテロと同時に、我々が目にすることのできる唯一のものは、国境で膨れ上がり、トルコが次第に承認し難くなっている難民数の断続的増加である。ダウトオール外相もこのため、心に去来するなす術のなさを反映するかのように、「国連のシステム」について非難する発言をしている。

しかしシリアにおける今後の展開を予測できないダウトオール外相は、「国連システム」をも理解できていないようだ。なぜならボスニア、ルワンダ、そしてダルフールを例にとるだけで、国連システムが目下いつも通りに機能しているかを理解するには十分だからである。ロシアと中国は国連の機能を停止させている。

要するに、国連システムが上手く機能していれば、ここ20年間で起こった大量殺戮を事前に防ぐことが必要だった。しかしそうはならなかった。結果的にそこには以下のような真実が存在する。国連は、主体的で、単独で意思決定をおこなえる組織ではないのである。

国連事務総長は、安全保障理事会常任理事国によって決められる一職員以外の何物でもない。言葉を変えれば「国連システム」の失敗は、国連の仕組みが原因ではなく、各国の態度が原因なのだ。

安全保障理事会メンバーの行動を決めるのは、国際関係において普遍の規則である「国益」なのである。現在安全保障理事会常任理事国のロシアと中国はシリア問題における自国の国益のために国連の機能を停止させているのだ。

しかし、この2カ国がいなければ、シリア問題で現在トルコに味方しているアメリカ、イギリス、フランスがすぐに、例えばシリアの領土で緩 衝地帯の設置に乗り出すとは、考えるべきではなかろう。ダウトオール外相が先週ニューヨークで感じた孤独感はこの点からも真実を明らかにした。

■「ドン・キホーテ」に限界はない

政府は望むだけ頑張ればよい、結果シリア問題で東にも西にも行動を起こさせることはできなかった。しかしシリア危機はこうしている間も拡大しており、次第にトルコへの悪影響を増している。

さて、こうして国際的、地域的な自らの行動力の真の限界を、図らずも学んだAKPは、この状況で「代案」はあるのだろうか。あるのであればどのようなものなのだろうか。展開を見守っている人々はみな、このことを気にしている。

心配すればするほど不安になる。なぜならシリア問題で「第一案」を台無しにした政府が、他からの助けを望む他に、代案など存在しないのはわかっているからだ。この状況で過大な要求に飽き足らないエルドアン首相とダウトオール外相は、二人が望むように国連システムを変えようと努めることができよう。

ありえる、どうしてできないといえよう。「ドン・キホーテ」に限界はないのだから。

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( 翻訳者:榎本有紗 )
( 記事ID:27535 )