エルドアン首相、「宗教への侮辱は、表現の自由で守られるものではない」
2012年09月15日付 Zaman 紙


エルドアン首相は、宗教、預言者、人々が崇拝するものを侮辱することは、表現の自由として許容されるものではないと述べた。首相は「明らかな挑発と敵意のあるアプローチ」といわれる扇動的な映画に対し暴力に訴えることが、扇動を助長しているとの警告を発した。

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、イスラム教と預言者ムハンマドを侮辱したとされる映画が非常に扇動的であると言及し、世界中のムスリムに、これに惑わされないように呼びかけた。「明らかな挑発と敵意のあるアプローチ」といわれる扇動的な映画作品に対し、暴力に訴えることは、扇動を助長するとの警告を発している。クリミア自治共和国で開催されたヤル タ・ヨーロッパ戦略会議に賓客として参加したエルドアン首相は、スピーチにおいて、イスラム世界で反発を招き、預言者ムハンマドを侮辱する内容を含んでいる映画に関して言及した。

イスラム世界へ「常識」を呼びかけているエルドアン首相は、宗教、預言者、人々が崇拝するものを侮辱することは、思想や表現の自由として守られるべきではないと強調し、「侮辱を含むこのようなアプローチは、逆に、思想、信仰、表現の自由の根底を揺るがすものである」と述べた。

このような侮辱に対しては、合法かつ平和的な抗議が「正しい態度」であると述べるエルドアン首相は、次のように続けた:「しかし、抗議する権利はテロ行為や罪のない人々を傷つけることの動機になってはならない。これは良心に沿ったものでもイスラムに適ったものでもない。イスラムの表現やシンボルを掲げこのような行為を許容する者こそがムスリムに最も大きな害を及ぼすのである。」
エルドアン首相はトルコの多くの大使が今日まで国際的テロリズムの犠牲にっており、現在もテロとの闘いを継続していることを強調し、テロ行為に対し共に闘わなければこのような悲しみはこれからも無くならないだろうと述べた。

■経済危機がイスラム嫌悪を助長している

アラブの春を扇動しようとした勢力があったことを語るエルドアン首相は、「忘れてはならないのは、これはまだ始まりである。民主主義は容易に勝ち取れない。これからも困難が待ち構えているだろう」と述べた。またシリア情勢に関し首相は、シリアで今日起きていることは、外部勢力によって仕向けられたのだとして広まった認識は誤りであると語り、シリア国民が10年間溜め込んだ不満が表に出たのだと強調し、この状況を宗教的衝突とする表現には、全ての地域を炎上させる目的があると警告を発した。

さらにエルドアン首相は、ヨーロッパで深刻化する経済危機の影響で国内に閉塞感と失望が広がる中、経済問題を悪用する極右組織はこれによりさらに拡大し、イスラム嫌悪を含む世界平和にとって危険な傾向を助長させるであろうと指摘し、ノルウェーの人種差別的攻撃や、ネオナチ殺人のような大きな注目を集めた事件がそれを示していると述べている。エルドアン首相はこのプロセスにおいて、EUが力を持ち、前向きな意味での変化をもたらすことが重要であると語った。

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( 翻訳者:松永拓人 )
( 記事ID:27609 )