Oral Calislarコラム:見えぬ大統領選挙とAKPの今後―AKP党大会評
2012年10月01日付 Radikal 紙

「大統領選挙とその後のAKPはどうなるか」という問いの答えは、今後に保留された。

「(党大会で)首相は何か新しいことを語ったか」と問われたならば、我々は「取り立てて新しいことはない」と答えるだろう。この評価を公正発展党の執行部に伝えると、彼らは「首相は党の根幹を強調した演説したのだ」と言った。私たちがさらに食い下がると、彼らは「公正発展党2023年政治ヴィジョン」という書類を見せた。さらにこの書類の内容が63項に箇条書きされた2ページの要約を手渡した。

首相は混乱しているのだろうか、もしくはまだ我々に完全には示されていない「新しい時代」に関する戦略を実行しているのだろうか?

首相はCHPに対し、「クルド問題を解決するために共同委員会を設立しよう」と何度も提案し、強調した。首相がこう言うだろうと我々は分かっていたが、首相が何度も繰り返し話したことを、私は重要視している。
私はCNNチュルクの収録の際、エネルギー省のタネル・ユルドゥズ大臣に尋ねた。「首相はなぜCHPに対しこれほど厳しい言葉を使うのでしょうか?解決のためには最大野党との連携が重要です。このことを一番よく知っているのは首相のはずですか…。」
タネル・ユルドゥズ大臣は、クルチダルオールCHP党首の「不誠実だ」との批判が緊張を高め、そのせいで首相も厳しい言葉を使うようになったのだろうとの見解を述べた。

「2023年ヴィジョン」は実に注目すべきさまざまな目標を含んでいる。「母語による公共サービスの利用」、「母語による弁護の承認」といった項目は、クルド問題の観点から重要である。「政党における単一化権力の排除」、「選挙に関する現行法の全面的な見直し」、「行政における公正確保のための取り組み」も注目に値する。「クーデターの拠り所となる現行法の除去」、「クルド語通訳」といった目標も並んでいる。

■首相はなぜ口にしなかったのか?

首相の演説に目を移してみると、こうした基本的な事柄が一つたりとも言及されなかったことが分かる。このことをどう考えたらいいだろうか?
誰もが触れようと思いつつも控え、話すのを避けていることは、間違いなく大統領選挙のことである。
二年後、タイイプ・エルドアン首相が大統領に立候補したときどうなるのだろうか?我々は、タイイプ氏が「大統領制」を支持していることを知っている。これまでと同様に、これから2023年までも、トルコの政治における「ナンバーワン」として留まろうという首相の意図を、はっきり口に出さないにしても誰もが知っている…。
首相の演説を、「大統領へつづく道の途上で行なわれた演説」として認識する人もいた。「より広い有権者に向けた演説」という解釈もある。大衆は政綱や党綱領ではなく、テレビで聴いた演説に注目する。首相がこのことを考慮したと考えられている。

■ワンマン党大会

この党大会は、我々の目に「ワンマン党大会」として映った。誰が党の運営に関わるのだろうか?誰が大臣になるのだろうか?党大会でどのような政治的な解決が導かれるのだろうか?
これらのことを誰も、我々が情報を得ようと試みた最上層部の政治家さえも知らなかった。この記事を書いている間に、党中央決定・執行委員会の候補者が発表された。その瞬間まで、名前が挙げられた当人たちさえ、このことを知らなかった。

ジュムフリェト紙を含む新聞社の記者を党大会に立ち入らせなかったことも、納得のいく状況ではない。
昨日までみずからも同様の規制に直面してきた一派が同じ方法を用いたことは、民主主義文化の点から見れば皮肉である。

私たちは、「周辺から中央を目指して歩んできた公正発展党は、とうとう中央に腰を落ち着け、昔の約束を忘れ、与党であることの喜びを味わいはじめた」という評価の正しさを証明する多くの徴を目にしてきた。
全権限がアンカラ(政府)に集まるというシステムが、次第により根本的な形で内在化していったのを見て取ることができる。

何年も前に「地方行政法」が出された。その頃彼らはそうした変化を望んでいた。
しかしこの法律は、(当時の大統領であった)アフメト・ネジュデト・セゼル氏によって拒否された。そして今日の公正発展党政権は、「地方行政の強化」、「中央の権力を周辺と共有する」といった事柄から程遠いものである。
私がこのことを指摘すると、公正発展党の党員たちはクルド問題を指し「こうした状況が続くかぎり、地方行政の問題は議題に上がるまい」と話した…。しかし、地方行政や地方議会の強化は、クルド問題の解決を容易化する要の一つである。
結論として今回の党大会は、あらゆる権限を手中におさめている首相が「すべてに対し優位」に立ち、これといった「驚き」もしくは「重要な新傾向」を含まないものだった。

「大統領選挙とその後のAKPはどうなるか」という問いの答えは、今後に保留された。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:27749 )