Ismet Berkan コラム:クルド系受刑者ハンガーストライキの行方
2012年10月27日付 Hurriyet 紙

PKK訴訟、KCK訴訟以降、数カ所の刑務所で、多数の収監者・受刑者らが長期にわたるハンガーストライキを行っている。一部の収監者・受刑者にとっては、このハンストや断食が命の危険を伴う状況にまできている。

ストライキを行う者たちには3つの基本的な要求がある。まず一つ目はアブドゥッラー・オジャランに適用されていると言われる隔離をやめること。二つ目は、裁判所において母語による証言を行うための障壁が取り除かれること。そして最後の3つ目は、母語による教育を受ける権利がクルド人にも認められることだ。この問題には議論されるべきことが山のようにあるが、それらについて語る前に、一つの原則を心に留めておくとよい。いくつかの要求を口にし、「これらが行われなければ私に死ぬ」という人々を前にして、「いやあ、君にはそんなことを望む権利はない」とは言えないという原則だ。

もちろん言うことはできない。さて、ここで前述の要求について一つ一つ見ていこう。

まず、アブドゥッラー・オジャランは隔離されているのだろうか?私が知っている限り、また目にした限りでは、隔離が適用されているにしても完全なものではない。彼は兄弟と面会している。ただし、弁護士らとは長い間面会できていない、あるいはしていない。

この件について法務省は説明をおこなうべきだ。オジャラン自身が弁護士との面会を望んでいないのか、それともトルコ政府が面会の障害となっているのか?もしオジャランが、弁護士らとの面会の権利をもっているにもかかわらず、その権利が国家によって否定されているのならば、そのような隔離状況は今すぐにでも取り除かれなければならない。

被告や収監者が弁護士と面会することは、最も基本的な人権の一つだからだ。

母語による証言の話題は以前にも書いた。問題を抱えるクルド人2人のあいだで起きた離婚訴訟や売買訴訟、あるいは土地争いの訴訟において、裁判所はクルド語-トルコ語の宣誓通訳者を使用し、クルド語による弁論・証言を認めている。しかしKCK訴訟やPKK訴訟ではダブルスタンダードな状態となっていることが問題だ。クルド語の証言は認められていないのだ。さらにはクルド語の会話は議事録では「不明な言葉」という扱いを受けている。

このダブルスタンダードも一言語に対する侮辱も無用なものだ。これは徹底的に取り除かねばならない。被告らには彼らが最も上手く自分自身を表現できる言語で証言できる権利が認められるべきだろう。

母語による教育の問題については、ご存じのように、私はこのコラムで絶えずその必要を主張している。
私は、希望者にはクルド語の授業が行われること、さらに、クルド人のために「クルド語とクルド文学」や「クルドの歴史」などの特別授業を設置することに多大なメリットを感じている者の一人である。

しかし、一瞬想像してみよう。たとえば今朝、政府と国民教育省が今しがた私が提案したような形の母語による教育を承認したとする。しかし、母語による教育が真の意味で始まるには最短でも5年後になるだろうということを私たちは知っておかねばならない。そう、教科書をつくったり、教師を十分育てたり……、これらは1日ではなし得ない。

断食中の人々に、「どうしてこんな要求をするんだ」とは言えない。もちろんだ。しかし、私は言おう。母語による教育の問題はクルド問題解決の中の重要な要素の一つだが、それが全てではない。クルド問題解決のため私たちが到達せねばならない和解まで、断食の強要によって到達できるとは、私には思えない。

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:28052 )