ハーメネイー最高指導者が警告「対立を国民の前に持ち出す者は裏切り者」
2012年11月01日付 Mardomsalari 紙

 革命最高指導者は「今日から〔来年行われる大統領〕選挙の日まで、〔意見の〕対立を国民の前に持ち出し、また対立〔を煽る〕ために彼らの感情を利用しようとする者は、間違いなく、国への裏切り行為を働いている者である」と述べた。

 イラン労働通信によると、アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はアーバーン月13日の「生徒の日、および世界的抑圧と闘う国民の日」〔※11月3日のアメリカ大使館占拠事件の記念日。なお、閏年ではない通常の年は、アーバーン月13日は西暦で11月4日にあたる〕を目前に控えて行われた集会の中で、第10代イマーム・ハーディーの生誕記念日〔※イスラーム太陰暦で12月15日、今年は西暦10月31日〕とガディール・フンムの祝日〔※預言者ムハンマドが自らの後継者として従兄弟のアリーを指名したことを記念するシーア派の祝日、イスラーム太陰暦で12月18日、今年は西暦で11月3日〕を祝った上で、アーバーン月13日に起きた3つの歴史的出来事は、いずれもイラン国民の抵抗と、高邁な目標に到達しようとする彼らの決意を象徴するものだと指摘し、次のように続けた。

この日に起きたこれらの歴史的出来事、つまり1343年〔西暦1964年〕のイマーム・ホメイニーの国外追放、1357年〔同1978年〕のパフラヴィー体制の傭兵たちによる生徒らの惨殺〔※テヘラン大学前に集まっていた生徒・学生らに対して軍が発砲し、数十名が死亡した事件〕、そして1358年〔同1979年〕のスパイの巣窟の占拠のいずれにおいても、一方にはイラン国民と偉大なるイマームがおり、他方には抑圧的なアメリカ政府がいた。これは、イラン国民とアメリカ政府の間での闘争の存在を示しているのである。

 同師は、25年間にわたる闘争の末にイスラーム体制が樹立されたことは、アメリカとの闘争の第一段階におけるイラン国民の勝利を意味すると指摘した上で、「アメリカは革命が勝利を収めたまさに最初の日から、妨害工作を始めた。そしてその陰謀の中心地が、テヘランにある前アメリカ大使館、つまりスパイの巣窟だったのだ」と述べた。

 革命最高指導者は、イラン国民が抑圧的なアメリカ政府との闘争に勝利を収めた理由は〔国民の間での〕イスラーム体制の位置づけと地位にあると指摘し、「第一の理由は、イランのイスラーム革命がこの34年間、消滅するどころか、むしろ一層の力強さと堅固さ、偉大さを獲得し、さらなる輝きを放ったことにあるのだ」と続けた。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はその上で、「この革命は、アメリカが数ヵ月での打倒と消滅を誓いながらも、いまだに地域、及び世界の中で突出した地位を保持している革命なのである」と強調した。

 革命最高指導者はまた、今日アメリカ政府ほど世界で嫌われている政府は存在しないと強調した上で、「もし域内諸国やその他の国々が勇気をもって、《アメリカへの憎悪の日》なるものを制定したとしたら、歴史上最大のデモ行進が世界中で行われるだろう」と述べた。

 同師はまた、アメリカの人気が失われているだけでなく、アメリカの価値観や基本原理もまた地に堕ちているのだと強調し、「アメリカ政府が主張する価値観の一つに、テロのと戦いがある。しかしこの原理は今や地に堕ち、アメリカ政府自身がテロリストたちと同盟を結び、テロ組織である偽善者集団〔※最大の反体制組織であるモジャーヘディーネ・ハルグ(MKO)を指す〕すら自らの保護下に置き、彼らをいわゆるブラックリストから外すまでになっている」と述べた。

 同師はその上で、「彼らが主張する別の原理に、人権の擁護がある。しかし実際は、最悪の反人権的行動がアメリカの支援の下で行われている。60年間にわたって、抑圧されたパレスチナ国民の権利を公然と蹂躙してきたシオニストたちは、アメリカ政府の全面的な支援下にあるのである」と指摘した。

 同師はさらに、「アメリカは世界で最も裕福な国民・国家であると自負している。しかしアメリカの為政者たちは天然資源にも人的資本にも恵まれたこの国の国民を、世界で最も借金の多い国民にしてしまっている」と続けた。

 イスラーム革命最高指導者は、アメリカは同国の人口に比べて囚人たちの数が極めて多く、世界でナンバーワンであることに触れ、こうした事態は「自由の擁護者」という自らの主張に矛盾していると指摘し、さらに「アメリカ政府がもう一つ主張しているのは、同国の国民の誇り高さだが、しかし実際のところ、彼らは自らの国民を惨めな状態に置き、道に迷わせて、国民が真実を知るのを阻もうとしているのだ」と付け加えた。

〔‥‥〕

 イスラーム革命最高指導者は、〔アメリカとの〕この大規模な闘争を続けるに当たって必要とされることの一つとして、抵抗と神への信頼があるとの認識を示し、さらに科学や国家建設、行政、商業などの分野における国の発展に向けて、全力で努力し前進することも必要であり、これらは〔国の〕繁栄と勝利の基礎をなすものだと指摘した。

 同師はその上で、結束と団結が極めて重要だとし、「有害なのは責任者間の対立であり、それよりももっと悪いのが、その対立を国民の前に持ち出すことである」と強調、さらに「私は三権の責任者ならびに長に警告する。気をつけよ、対立を国民の前に持ちだしてはならない」と付け加えた。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下は、指導部は三権の長を支持しており、これからも支持を与えるつもりだと強調した上で、「最近、互いに書簡を送りあっているようだが、その内容はまったく些末なものである。こうした意見の対立を国民の前に持ち出し、外国メディアや敵が騒ぎ立てる格好のネタを提供するようなことがあってはならない」と指摘した。

※訳注:上記のハーメネイー最高指導者の発言は、最近、行政権の長であるアフマディーネジャード大統領と司法権の長であるアーモリー=ラーリージャーニー司法権長官が、互いを憲法違反として非難する公開書簡を出し合うなど、両者の間の対立が激化していることを背景としている。両者の対立は、大統領が司法権の管轄下にあるエヴィーン刑務所の視察を表明したことに対し、司法権長官が大統領の越権行為を非難したことに端を発している。

 同師はその上で、「全員が自らの責任と、現下の敏感な状況を自覚すべきだ」と強調した。〔‥‥〕

 イスラーム革命最高指導者は、「意見の相違は自然なことである。しかしこの意見の相違が行動上の対立に、国民の前でのつかみ合いの対立に発展するようなことがあってはならない」と指摘、さらに「今日から〔来年の大統領〕選挙まで、〔意見の〕対立を国民の前に持ち出し、また対立〔を煽る〕ために彼らの感情を利用しようとする者は、間違いなく、国への裏切り行為を働いている者である」と強調した。

〔‥‥〕

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:28106 )