イラク:イスラーム的規範に対する賛否
2012年11月04日付 al-Hayat 紙


■イラクの宗教指導者らによるヒジャーブ強制の訴えは、自由剥奪の恐れを引き起こす

2012年11月4日『アル=ハヤート』

【バグダード:ウダイ・ハーティム】

活動家らとイラク議会の文化情報委員会は、宗教指導者らに対し、女性へのヒジャーブ強制と公私の場における女性の自由に対する制限について、これらの措置は「憲法および法令に違反する」と警告した。またイラク憲法が公私の場における自由を保障しているにもかかわらず、イラクの宗教指導者やイスラーム諸政党及び部族長らは、女性旅行者の訪問と酒の販売、音楽コンサートをイラクの広い範囲で禁じている。この国の民主主義へと向かうと想定された変革から約10年近くもたったにもかかわらずである。

「サドル潮流」幹部でアル=カーズィミーヤ(バグダード北部の街)の金曜礼拝導師ハーズィム・アル=アアラジー師は政府に対し、「女性旅行者のアル=カーズィミーヤ市への立ち入り禁止と、同市の神聖性の尊重を求める。なぜなら、アル=カーズィミーヤ市にはムーサー・アル=カーズィムとムハンマド・アル=ジャワードという2名のイマームの廟があるからだ」と改めて訴えた。

同師は金曜礼拝での説教で、「何度も繰り返しイラク政府と各方面の責任者に対し、アル=カーズィミーヤにおいて、アル=カーズィムとアル=ジャウドという聖なるイマーム2名の廟がある街の神聖性を保つため4つの禁止事項を決定するよう求めてきた。それは、『女性が着飾る事の禁止』『歌の禁止』『酒の禁止』『賭け事の禁止』である。」と語った。また、「イスラームとシーア派化を掲げる政府に対して、(上記の要求を実現するために)イスラーム大衆的圧力に頼ること」があると警告した。

その一方で、女性活動家のハナー・アドゥールは立法府と行政府に対し、「憲法を守り法律を適用するという、双方の代表的な責務を遂行すること」を求めた。またアドゥールは本紙に対し、「宗教者や誰かしらが彼らの意見や信条を人々に強制しようとするのは危険なことだ。これは国家の不在を示している」と語っている。

アドゥールはさらに、「宗教者の仕事はモスクやフサイニーヤ(訳注:シーア派の礼拝施設)中に存在する。宗教者は、服装や食事に関して人々に自分のやり方を強制することはできない。イラクの諸組織は、このような動きを受け入れないし、公私の場における自由の剥奪を許さず、このような流れに対しては力をもって対処する」と述べた。

(後略)(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:松屋直子 )
( 記事ID:28127 )