チュニジアにおける慣習婚:イスラーム主義者の祝福によって定着する過去の遺物
2012年11月15日付 al-Hayat 紙


チュニジアにおける慣習婚:イスラーム主義者の祝福によって定着する過去の遺物

2012年11月15日『アル=ハヤート』

【チュニス:サーリフ・スウィーシー】

チュニジアで慣習婚(ウルフィー婚)という現象が深刻化しているのは、ベン・アリー元大統領の失脚後に行われた最初の多党選挙後、イスラーム主義運動が台頭したことの当然の結果であると、多くの人々が考えている。そういう人々が引き合いに出すのが、イスラーム主義集団、その中でも特に人定法を認めないサラフィー派、もしくはジハード主義者に対する今の3党連立政権による寛容さであって、それこそがこのような法的枠組みを外れた結婚件数の増加を引き起こしているというのだ。この類の結婚は大学生のあいだで増えており、独立以来のチュニジアの法律では禁止されている多重婚のケースも複数見られた。一部には、“疑わしい”関係の形を解消するために、(多重婚を禁じている現行の)家族法を後退させて複数妻を認める必要性があると明言する者もいる。社会的・心理的、時にはとりわけ女性に健康面での問題を引き起こすにもかかわらず、一般にチュニジア社会はいまだ、着実に増え続けているこの問題について沈黙を貫いている。

統計の不在

革命以降のチュニジアにおける慣習婚の件数に関する公式統計は存在しない。だがウォッチャーたちが言うように、それが「多数」であるということは確かなのだ。この現象は学生たちのあいだで大規模に広がっており、その多くが宗教運動のメンバーだ。その一部は人定法を認めない過激思想の持ち主であり、こうした形での結婚を自らに認めている。また時として、貧困のために結婚費用を用意できないといった双方の社会状況が原因となることもある。

2007年に国家家族人口公団(ONFP)が行った調査では、青年男子の約8割と青年女子の約7割が婚外交渉を行なっていたことが明らかになった。この問題の現状を明らかにする公式の数字は出されていないが、1年前にナフダ運動とその連立政党が政権の座に就き、過激派に対して寛容な態度を示して以来何が起きたかといえば、法的枠組みを外れた結婚が何倍にも跳ね上がり、著しく増加したのである。そしてサラフィー運動やジハード主義運動のメンバーたちは、慣習婚をイスラーム法上の禁忌(ハラーム)を犯さないで済む安全策とみなしているのだ。

マニーヤさんは「既婚男性と慣習婚をした」と話す。彼女はそのことを自覚しており、相手の男性を愛していて、彼と離れては生きられないからだという。「私はこの結婚が法的に認められたものでないと知っていますが、この形式で彼と結婚したことを後悔していません。私たちは全てのことに同意し、共に普通の結婚生活を送っています。私は両親のいない孤児で、どんな方法であれ安定をずっと探し求めてきました。独りで暮らし、誰も私のことを気にかけない。まだ在学中なのに家も収入源もありません。だからその男性と結婚しようと決心しました。彼は私が必要とするすべてのものを金銭面でも情緒面でも与えてくれるからです」。さらに彼女は手をお腹の上に置いて自身が妊娠していることを示しつつ、「夫が今の妻と離婚した後、すぐに私たちの結婚を発表します」と話した。

ニカーブで顔を隠した若い女性、ナーディヤの場合は事情が異なる。彼女は「自分の家族は結婚のことを知っていて、祝福してくれています。結婚契約書はあるシャイフが書きました」と話す。しかし夫との関係は完全なものではないと付け加える。本人の説明によれば、「彼は私の髪と顔だけを見る権利を持ちますが、それ以上の権利はありません」というのだ。これが結婚とみなされるかどうかについてナーディヤはこう語る。「もちろんそうです。この結婚に欠けているのは建物(つまり性関係を持つこと)だけです。しかし私たちは公式に結婚を発表して民法上の婚姻契約を交わすまで、それを先延ばしにしているのです。私たちの結婚を公式に発表した後、イスラーム法に則った婚姻契約を交わし、それから法律上の婚姻契約によってそれを確証します。でも私たちは学業を終えるまでそれぞれの家族の扶養下に留まることにしたのです」。

禁忌(ハラーム)であり犯罪でもある

慣習婚とは、証人と場合によっては新婦側の法定代理人が立ち会うが、法廷で正式に登記されない結婚と定義される。つまり、正式に登記された民法上の結婚ではないのだ。証人の立会いのもと、あるいはしばしば証人もなしで、男女がイスラーム法に則らない婚姻契約を作成することで成立する。この種の婚姻契約にはイスラーム法上の、あるいはムトア婚の時のような金銭的支払いは伴わない。しかも妻は結婚中も離婚後も、夫に対しいかなる法的権利も持たないのだ。

(後略)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:岸本聖美 )
( 記事ID:28250 )