ビール2杯で7万円―イスタンブルの悪徳業者事情
2012年11月28日付 Hurriyet 紙


ナショナルジオグラフィックのプレゼンターのコナー・ウッドマン氏は、「詐欺師たちの街」というドキュメンタリーのために世界の様々な都市に旅をしながら、観光客たちがさらされうる盗難、詐欺、ペテンを調査している。

ナショナルジオグラフィックのプレゼンター、コナー・ウッドマン氏は、「詐欺師たちの街」というドキュメンタリーのために世界の様々な都市に旅をしながら、観光客たちがさらされうる盗難、詐欺、ペテンを調査している。

コナー氏は隠しカメラを使いその都市の裏社会に入り込み、詐欺師たちが簡単にどう金稼ぎをしているか、犠牲者たちを騙すための独自な方法を、いかに巧みに使っているかを明らかにしている。以前、イタリアのローマ、モロッコのマラケシュ、チェコのプラハ、アルゼンチンのブエノスアイレス、スペインのバルセロナ、ブラジルのリオデジャネイロ、インドのデリーを取りあげた番組「詐欺師たちの街」のイスタンブルの回が一昨日放送された。再放送は11月28日水曜日14時、12月8日土曜日の19時放送される予定だ。この番組では観光客たちがどのように詐欺にあっているか、2杯のビールで1500リラ(約69,265円)という会計をどう払わせたのか、実情を示している。

■ぼったくりボスポラス海峡ツアー

コナー・ウッドマン氏はイスタンブルを扱った回で、初めにエミノニュで観光客たちを乗せるボートを取りあげる。「30メートルのボートでボスポラス海峡の両岸を1時間かけて案内します」といって騙された観光客たちは、5メートルのボートに詰め込まれると、反発し、それを受けて少し大きめのボートに移され た。

■2杯のビールに1500リラ

番組では延々とベイオールでの詐欺行為が取りあげている。ベイオールのある小路をコナー氏が歩いていると、数人が近づいてきて、「ビール飲みませんか?」と聞く。その後、一軒のバーに連れて行く。バーでは2杯のビールに1500リラの会計が渡された。その後、ホテルの部屋に帰ってビデオ会議システムを使って、以前被害にあったと苦情を伝える被害者と話している。2杯のビールで3000リラを請求されたという。コナー・ウッドマン氏は、一人の詐欺師と協力し、観光客たちを騙すために使われている悪賢い手口と策略を学ぼうとする。“ヌーリー”という仮名の人物はまず仕組みを説明し、「やっていることは客引き業だ。観光客たちを見つけて、バーに連れて行き、その人数によって金をもらう。観光客たちには彼らが払えるほどの額を請求する。一晩中バーにいて、4000リラ(約184,708円)から5000リラまで払っていく人もいる。もっと少なく払う人もいる。私たちは客が払った額に応じた割合を受けとる。」

コナー・ウッドマン氏はヌーリーと第三の人物が今回おこなったことを実際に潜入調査をし、見せている。最初に引っか かったのはスペイン人の若者だった。しばらく雑談し、25歳の若者は非常に低い予算で世界を旅していると話した。ヌーリーはこの観光客の若者をナイトクラブに連れて行く。数杯のビールを飲んだこの若者に600リラ(約27,706円)の請求がくる。「こんなに高いはずがない」と若者は異議を唱え、300リラ払ってクラブを去った。この一部始終をヌーリーと三人目の人物の隠しカメラが捉えている。ヌーリーはクラブを出て、起こったことをBBCの取材チームに説明した。「観光客の若者はそれほどお金を持っていなかったので、あるだけを頂いた。少ししか金がなかったので、たったこれだけしか巻上げられなかった。全く良心は痛まない。今回の仕事で私の取り分は100リラだった。金のある客だったら、私の取り分もその分高くなる」と語った。

■「他の仕事をしようなんて全然思わない」

「どうして他の仕事をしないのか?」と問うコナー・ウッドマン氏にヌーリーはこう答えた。「東部からイスタンブルに出てきた。靴磨きをした。非常に悪い条件のもとで働いた。今はこの仕事をして、よく稼げている。他の仕事をしようなんて思いもしない。」番組のプロデューサーは番組のエンディングで、「もしイスタンブルに行くなら、これらのことに気を付けて下さい、そして詐欺にあわないで下さい」と警告している。

■番組はフィクションだ

イスタンブル警察の担当者は、映像を見たが、この話は作り話であると話し、コメントは控えたいと述べた。

■イスタンブルの犯罪マップが発表された

イスタンブル警察は、犯罪捜査のため、頻繁に最新情報に更新される非常に詳細な犯罪マップを作った。犯罪マップの使用により、犯罪率の重大な減少に繋がった。1300万人規模の巨大都市のすべての地区、すべての通りが監視下に置かれ、調査された。明らかになった犯罪マップは、イスタンブル警察の犯罪捜査においてガイドの役割を果たした。入手されたデータは犯罪防止と治安担当部門に、支援の目的で送られた。地域によって、犯罪の統計が観察され、予防策がとられた。2009年には320の公安チーム、125の安全チームがあったが、2011年には公安チームの数は910に、安全チームは1340 にまで増加した。

■殺人と盗難は減少、しかし詐欺は増加

イスタンブルで2011年に242件の殺人が起こった。この殺人事件の94%の犯人が捕まった。殺人の犠牲になった人は、2005年が595件、2006 年が548件、2007年が415件、2008年が341件、2009年が318件、2010年が256件だった。219人が殺人にかかわっているとして手配中である。イスタンブルで2010年の一日に平均13台の車が盗まれていたが、2011年には一日に11台に減少した。自動車の盗難の割合は 2010年の割合から8%減少した。2010年自動車盗難の件数が合計で21,989件であったのに対し、2011年の件数は20,500件に減少した。 盗難事件はというと、2010年に対して1%減少した。イスタンブルで2011年に一日平均12件のスリが起こった。スリの件数は2010年に比べて、 27%の減少があった。2010年に6556件のスリが起こったが、2011年には4622件に減少した。詐欺の割合は2010年に対して2011年には 7%増加した。2010年に3221件だった詐欺の件数は、2011年には3435件に増加した。

■イスタンブルは安全な都市

ヨーロッパ犯罪と安全調査(EU ICS-The European Crime and Safety Survey)の2007年の結果によると、犯罪の多さという点でイスタンブルは18%という犯罪率で、世界の主要な17都市の中で12位についた。犯罪率という観点では、ロンドンが32%で一位につき、エストニアの首都タリンが30%、アムステルダムが27%、北アイルランドのベルファストとアイルランドのダブリンが26%、コペンハーゲンが24%、ニューヨークとストックホルムが23%、ブリュッセルが20%、ベルリンが19%、パリが18%で、イス タンブルより上位についた。ウィーン、エディンバラ、ローマが17%、ヘルシンキが15%、マドリードが14%、アテナとブダペストが13%、クロアチアのザグレブが12%、リスボンが10%の犯罪率でイスタンブルよりも低かった。

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( 翻訳者:清川智美 )
( 記事ID:28367 )