「シャマーイルの倉庫」と圧政に対するエジプト革命
2012年11月24日付 Al-Ahram 紙

■「シャマーイルの倉庫」と圧政に対するエジプト革命

2012年11月24日『アル=アハラーム』

【ワファーア・ナビール】

彼は自問自答した。「木靴のためにこの運命を選ぶのだろうかと。たとえスルタンに木靴を与えざるを得なくなったとしても、僕はここを去りたいのだ。たとえ裸足となっても」。

この言葉は小説「シャマーイルの倉庫」において、木靴をなくしたせいでスルタンに投獄されてしまった主人公ジャラールッディーン・アル=ジムダールによって発せられたものだ。この小説は、作者のサラーフ・ムマーティのために開かれた「アラブ物語フォーラム」で議論された。この小説は、スルタン・アン=ナーシル・ファルジュ・ビン・バルクークがエジプトを統治していた時代に生じた事件を扱っている。この時代、エジプト人民は、マムルーク人の手によって最も厳しい悪政と圧政にさらされていた。歴代スルタンは、敵対者を国から追い出すためにマムルーク人の助けを借りていた。しかし、マムルーク人はエジプトを腐敗させ、エジプト人民にありとあらゆる屈辱を味あわせた。「シャマーイルの倉庫」とは、すべてのエジプト人が、マムルーク人を殺し、彼らから解放されるまで抑圧され続けた牢獄に他ならない。

このセミナーはフサーム・アクル博士によって取り仕切られた。博士はセミナーの冒頭で、「マムルーク人がエジプトで実権を握った秘密は、彼らの裕福さにあった」と述べた。博士によれば、マムルーク人は、エジプトに居た頃にすべての商業ルートを支配していたことで、エジプトの大半の要職を手に入れ、エジプト人を統治し、さらに腐敗を広めたという。その後彼らは自らの罪を悔い改めるべく、モスクを建てたとのことだ。

博士に続いて、詩人であり批評家のイハーブ・アブドゥッサラーム氏は、この小説の中で描かれた母や妻、誠実な恋人、または避けられない運命を辿った不届きな娘といった女性のイメージについて言及した。同氏によれば、それぞれのキャラクターはまるで私たちの目の前にいるかのように精細に描かれていたという。

さらに、批評家でカイロ大学アラビア語学科教授のアウド・アル=グバーリ博士は次のように付け加えた。「作者は、登場人物の名前や職業、エジプト人がマムルーク朝時代に被った抑圧のイメージに至るまで、歴史的事実を用いて良質な小説を生み出すことに非常に長けた人物だ。さらにこの小説は極めて独創的な結末で締めくくられている。エジプト人は圧政に対して革命を起こした後、自らのつるはしを手に一致団結し、ありとあらゆる拷問が行われてきた「ヒザーナ」(訳注:「倉庫」から転じて、ここでは「圧政の源」の意)を打ち壊した。そして、新たな時代の幕開けを示すべく、その場所にモスクや学校を建てた」。

同博士は、「文学は言葉の芸術である。このことは作者が歴史からしっかりと練り上げたことを示すこの小説にみることができる」と締めくくった。

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( 翻訳者:立松恵 )
( 記事ID:28380 )