エジプト:対立の焦点は憲法宣言問題から憲法草案へ
2012年12月01日付 al-Hayat 紙


■不服従をほのめかす野党側、イスラム主義者に頼るムルスィー大統領

2012年12月1日『アル=ハヤート』

【カイロ:ムハンマド・サラーフ】

エジプトにおける政治的危機は、憲法宣言問題を憲法草案へ飛躍したあとで一層の激化に向かっている。委員会が昨日(11月30日)明け方に決定された憲法草案を、今日(1日)ムハンマド・ムルスィー大統領に上げることは予想されており、それは国民投票を呼びかけるためである。またこれは、明日の最高憲法裁判所による委員会解散要求の判決に先駆けたものである。

最も有力な反体制派勢力を含む「国民救済戦隊」は市民的不服従の脅迫を激化させた。それは、イスラム主義者が多数派を占め、反体制派と社会的勢力がボイコットした制憲委員会によって準備された憲法の国民投票の措置が始まった場合においてである。この傾向はタハリール広場での「殉教者の夢」百万人集会の光景を後押しし、一部の参加者達はムルスィー大統領の退任を要求した。

対して、イスラム主義者は今日、カイロ大学前に「法の正当性とシャリーアを支持」のスローガンのもとに大統領支持者の集会を、衝突が懸念されるなか、準備している。ムルスィー大統領は彼の計画を邁進することを腹に決めているように見える。それは、一般的にイスラム主義者を、その中でも特別に同胞団を頼るという決定であり、その成否は今日のデモ隊にかかっている。ちなみに、反体制派勢力も今日も憲法の案文を拒否して抗議行動やデモ行進の組織を続ける予定である。

タハリール広場では去る火曜(27日)のような百万人集会に人々が殺到し、そして数千人が座り込みを続けた。ムハンマド・エルバラダイ氏は広場で国民救済戦線の声明を読み上げ、現在の危機を脱出するための4項目を発表した。第一に「憲法宣言が行われる前の状態に戻ること、国民対話を直ちに入ること」。第二に「生活のあらゆる側面に打撃を与える色々な危機に対抗するための、特定の計画と共通の土台に合意すること」。第三に「憲法制定委員会に合意すること、代表性があり、適任である、すべてのエジプト人の権利を保証する憲法を用意すること」。そして「エジプトを襲う分極化に対処する行動をとらなければならないこと」である。

この声明は「現行の憲法草案はその形式と内容の点で正当性に欠いている」と指摘した。同声明は、ムルスィー大統領には以下の責任があると主張した。その責任とは、分極化を招きかねないこと、そして合意抜きで憲法草案の承認しようとした試みによって、憲法の正当性が争点に置かれることである。また声明は、正当な諸権利の保護のため「どんなに時間がかかろうとも」すべての平和的な手段に訴えることを強調した。

同声明は「大統領と制憲委員会が現在行なっていることは民主主義に対するクーデターである」と考えており「政権の正当性は底をついている」とした。また最後の手段として、市民的不服従をほのめかした。デモ隊はエルバラダイ氏が声明を読み上げるなか「政権打倒まで座り込みをつづけろ」「国民は体制打倒を望む」とのシュプレヒコールで割って入った。

またエルバラダイ氏と国民救済戦線の幹部2名、ハムディン・サバーヒー氏とアムルー・ムーサ氏が、広場で彼ら自身が座り込みを行うことを決定したと噂された。ムーサー氏が本紙に対して、晩の救済戦線の会議前に、指導者自らが広場で座り込みを行うという選択に対して「話題にあがっている」と話した。また同氏は「我々は、この点は広場で若者達と合流するために議論している」と語った。また戦線は、憲法の国民投票をボイコットするのか、反対票を投じるのかどうかについても議論すると説明した。彼は「我々はまだ決定しておらず、我々の立場は新憲法の最終草案に基づくことになるだろう」と語った。

各新聞紙、テレビ局は来週の火曜、水曜(12月4日、5日)に、交互に新憲法への抗議を行うこと決定した。その中で、元大統領候補者であったハーリド・アリー氏はタハリール広場から労働者たちに対し、司法機関に倣って市民的不服従をとるように呼びかけた。

国家評議会司法クラブの臨時総会は、憲法宣言を拒否し、遅滞なく同宣言を取り下げるよう要求して閉幕した。また全てのクラスの会合において、緊急総会を開催することに同意した。これは、国家評議会司法部門の停止行動についての決議を採択するためのものである。しかし、司法クラブ総会は、憲法の国民投票に関する監視問題についての決定を国民投票実施決定まで先送りした。また司法クラブ総会は「ムスリム同胞団」に親しい「エジプトのための司法運動」の参加者と、ムハンマド・フアード・ジャードッラー大統領司法顧問の会員資格取り消しを勧告した。この勧告は「司法や私法家の権利について彼らが中傷したことを考慮して」調査が行われた後に出された。

ジャーナリスト組合は明日会合のために集合し、そこでは憲法草案に反対することが予想される。同組合の評議会では、各種新聞の発行停止決定の他にも、組合代表のマムドゥーフ・アル=ワリーの不信任提案が話し合われるだろう。アル=ワーリー代表が組合の決定に逆らい、憲法草案の投票に参加したためである。

ムルスィー大統領は、憲法草案採択を急いだことが原因で生じている野党側の怒りを和らげようと努めた。同大統領はテレビ番組での発言で、憲法草案改正の扉を開けることにより怒りの緩和に努めたが、改正の仕組みについては明らかにしなかった。しかしながら、彼は「社会的な対話」が、憲法案文を受け取った直後に開かれるだろうと指摘した。彼は、制憲委員会に様々な間違いを修正するように呼びかけることは可能であると述べた。

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( 翻訳者:篠原桃子 )
( 記事ID:28408 )