Kadri Gürselコラム:中東におけるエジプトとのライバル関係
2012年12月03日付 Milliyet 紙

公正発展党(AKP)政権がその外交政策を中東に浸透させるために利用した二つの空白があった。
まず一つめは、厳格なアラブ諸体制の支配に対する、国民側からみた正当性の問題に起因する空白。
二つめは、これらの体制の、パレスチナ人の悲劇とイスラエルの際限のない行動に対する無能な振る舞いによってできた空白。
この二つのアラブの空白の間には因果関係があり、それらは時折スパイラル効果で互いに増幅し合ってきた。
アフメト・ダヴトオールが2009年5月1日に外務大臣に就任して非常に活発になったAKPの外交政策は、この(中東)地域の空白を埋めるという主張で注目を集めた。
だが、アラブ(諸国)の騒乱の結果、より参加型で、代表する能力の高い、それゆえ正当性の問題が生じにくい、そのような素質のある体制が誕生すれば、このプロセスは、アラブの空白が大きく埋まる結果に結びつくであろう。
そして正当性に裏付けられた調停は、(中東)地域の政治的空白をも縮小させていくであろう。
例えば、新生エジプトがガザの悲劇に対し以前のように無関心ではなく、ガザの住民の保護者として、その空白を埋めるならば、AKP政権のトルコは、このエジプトとどのように競合していくのだろうか?

このコラムの以前からの読者は、上記のパラグラフをおそらく二度読んだことだろう。これは2011年3月、このコラム欄に掲載された文章からの引用である。

事実、「新生エジプト」はガザに関する最初の行動として、2011年3月からすぐ二ヶ月後に、ガザとエジプトの間のラファ検問所の通行を解放した。
また最近、新生エジプトは、ガザでの停戦において主導的な役割を担い、ガザ・パレスチナ問題に関する第一人者であるかのようにめざましい働きをしている。
新生エジプトは、ムバラク元大統領率いるエジプトが(中東)地域にあけた政策と正当性の空白を埋めている。これは、ほぼ二年前から見られたことであり、運命付けられた進展であった。そして、新生エジプトはこれらのすきまを埋めたことによってAKPの外交政策の効果を当然、失わせた。
トルコがイスラム教スンナ派と中東のアイデンティティーを強調し、エジプトがもたらした空白を突いたとしても、中東らしい価値ある「違い」を消し去る以外の別の結果を導くことはできない。
もはや、トルコは中東で生じた問題において、このエジプトと競合することはできない。同盟を選択するならば、エジプトの後を追うか、あるいは、エジプトの下で、自分の場所を見つけるか、である。
トルコの外交政策がどのようなものであろうと、イスラム主義であろうとなかろうと、一つの政策の遂行は、国家の能力と、それをいかに使うかにかかっている。
トルコの能力が構築された既存の政策を担ううえで不十分であるならば、最初の障害物の前で、立ち止まることを避けることはできない。
「私たちは、中東における変化の波を主導する」という言葉でもたらされた期待に応えるよう努めることは、トルコにあってエジプトにはない能力を競合において使うことにより可能となる。EU加盟プロセス、政教分離の民主主義、報道の自由、多元主義、人権、男女同権などに加え、エスニック、宗派間の問題を解決する能力…これらの価値のすべては、トルコで強化され、同時に中東へ反映されねばならなかった。
しかし現在、(トルコは)イスラム主義を標榜することで生み出された期待に応えられていないことで、レトリックに頼りすぎ、役割を誇張している。
期待に応じることにおいて、「純粋なレトリック」を使うことは麻薬のようなものであり、終わりはない。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:28435 )