ヨーロッパ人権裁判所の判断にも関わらず、身分証の宗教欄に変更なし
2012年12月16日付 Milliyet 紙


身分証明書の宗教欄に「アレヴィー」と記載するため欧州人権裁判所で開かれた裁判にて勝訴したウシュクさんは、3年もの間、判決の適用を待ち続けている。

身分証明書の宗教欄に「アレヴィー」と記載されることを要求し、3年前に欧州人権裁判所(AİHM)で開かれた裁判で勝訴した現在51歳のスィナン・ウシュクさんの身分証明書は、判決から時間が経った今も変えられていない。

■「二人に対しても提訴しました。」

3年前に欧州人権裁判所に行った提訴が認められたウシュクさんは、判決が3年間も適用されていないことに反発を示した。ウシュクさんは以下のように話した:

「トルコが欧州人権裁判所の判決を適用することを願っています。この判決で法律家は、宗教欄は完全に廃止されるか、廃止されなくても自分が望む信仰が記載されると述べました。しかし、未だこの件に関しては進展がありません。宗教欄が廃止されることもありませんし、自分が望む信仰を記載することもできません。私の望みを叶えるための公的組織への提訴からは、一つも成果が出ませんでした。政府は国内外の世論に対し、無用な理由を並べて言い逃れ、問題を軽視しています。先月の23日にレジェプ・タイイプ・エルドアン首相やケマル・クルチダルオール共和人民党(CHP)党首に対して検察当局に刑事告訴しました。エルドアン首相は欧州人権裁判所の判決を適用せず、クルチダルオール党首も野党としてこの問題に必要な対応をとっていないため、共犯関係にあります。しかし検察は私の要求を気にも留めませんでした。そして私の要求をはぐらかしました。」

■人権侵害にあたる

イズミルに暮らす自治体労働者のスィナン・ウシュクさんは、身分証明書の宗教欄に「イスラム」でなく「アレヴィー」と記載されることを要求し、イズミル県第11第一審裁判所に提訴した。宗務庁が出した見解により、裁判所はアレヴィー派が一つの宗教ではないという根拠で裁判を棄却した。最高裁判所からも同じ結果が出たため、ウシュクさんは2005年に欧州人権条約の宗教と良心の自由を保障する第9条や、公正な裁判を受ける権利を認める第6条、そして差別を禁止する第14条が侵害されているという根拠により欧州人権裁判所に提訴した。欧州人権裁判所は、2010年2月に身分証明書に宗教欄があることは個人の人権侵害にあたり、国家はこの問題に中立でなければならないという判決を下した。そしてこの問題が欧州人権条約第9条の侵害にあたることを明言していた。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:28585 )