ロマ系住民へ宗教観アンケート―ウルダー大学神学部実施
2012年12月19日付 Hurriyet 紙


ヤロヴァ県バーラルバシュ区にあるミュフェッティシュ・ハムディ・ギルギン小学校でロマ系生徒に対し、宗教に関する質問を含むアンケートが配布された。「清めの沐浴をしますか」「自分の子供に割礼させますか」といった質問を含むアンケート用紙が、父兄らに配られた。アンケートは、ロマ系住民が数多く住むバーラルバシュ区に住む保護者の反発を招いた。

ある小学校の生徒に配布された宗教関連の質問を含むアンケートが、ヤロヴァ県にあるロマ系住民の反発を引き起こした。ヤロヴァ県のバーラルバシュ区にあるミュフェッティシュ・ハムディ・ギルギン小学校で、ロマ系の生徒へ宗教関連の質問を含むアンケートが配布された。アンケートは、父兄に渡すよう言い渡された。アンケートは、ロマ系住民が数多く住むバーラルバシュ区の保護者らの反発を招いた。アンケート用紙には、ウルダー大学神学部イスマイル・サーラム助教授とウルダー大学社会学研究所宗教学科の大学院生アイシェ・タシュユレキさんの名前とサインが書かれ、学術調査であることが明記され、ロマ系住民に対し、61項目の宗教的質問がされていた。

■差別

(ロマ協会会長の)カラブルト氏は、 アンケートがロマ系住民のみに対してであることが、差別的であり、無宗教といって批判するようなものだと述べた。カラブルト氏は、アンケートの問いに対し、多くの驚きの声が聴かれたと述べ、さらに以下のように続けた。「この問いを用意した者は、(われわれに)何か疑惑でも持っているのか。我々の宗教は明らかである。イスラム教だし、ハナフィー派である。預言者はムハンマド。経典はコーラン。我々にこの問いがされたことで、この地区に生活するロマ系住民達は傷ついた。我々はこんなことをされるとは思ってもいなかった。何故これはロマ系に対してのみ行われたのか。何故、アレヴィーや、クルド人、グルジア人に対してではなく我々なのか。トルコには様々なエスニック・グループが暮らしているではないか。我々が反発したのはこの点である。協会として住民をなだめている。これはどこからの要請だったのか。我々にこの問いをする目的は何なのか」

■県の許可を得た

アンケート上に名前があったウルダー大学の社会学研究所宗教学科の大学院生で、同時にヤロヴァ県の小学校で宗教と道徳科目の教師でもあるアイシェ・テシュユレキ氏は、公務員であるために如何なる話もする予定はないこと、アンケートはヤロヴァ県の許可を得て学校で生徒達に配布されたことを明らかにした。

■県「無許可だ」

ヤロヴァ県副知事ジェズミ・テュルク・ギョチェル氏によって行われた会見では、この問題のアンケート調査が、ウルダー大学の大学院生の「学術調査」であったこと、そしてヤロヴァ県で暮らすロマ系住民に対してロマ地区住民の家に持って帰ってもらって、実施されたと述べられた。会見では、学校で生徒に対してはアンケート調査が行われなかったと述べられた。そして「我々県の許可を必要とする調査ではなかった、言われているような『県による認可もしくは許可が与えられた』という話は事実に反する。この学術調査はウルダー大学神学部のものであり、どう考えても県とは関係がない」と語った。

■告訴

バーランバシュ地区に集まったロマ系住民達は、アンケートに反発し用紙を燃やした。ヤロヴァ県ロマ協会のネヂュデット・カラブルト会長は、アンケートに関して検察への告訴を検討していること、そして問題が政府によって調査されることを望むと述べ、「これはトルコに住む全てのロマ系住民に対する侮辱行為だ。こんなこと認められない。これに関して説明会見を我々は求める。彼らは我々の宗教を試しているのだ。私には6人子供がいるが、みんなコーランを読んできた。これを道端で教養のない人の口から聞いたとしても同じように反応する」と述べた。

■学術研究のためらしい

「親愛なる皆様
このアンケートの質問は学術研究のデータを集めるために作られました。あなた方の、姓名、住所は必要ありません。私達は『ロマ系住民の方々』が子供たちにどのような環境でどのような形で宗教教育を行っているのか明らかにしようとしています。皆様から得られた情報を分析しながら、学術的結果を見つけだし、そして直面する諸問題の解決策を提案することが、この調査の一番の目的なのです。問いを注意してお読みになり、あなた方の考えを表すものにマークして頂きますならば、幸いです。アンケートのために、お時間を割いて頂き、また、あなた方の考えを私たちにお示しいただきありがとうございます、みなさまのご協力に感謝致します」という文章で始まるアンケートのいくつかの質問と選択肢は以下の通りである。

―アッラーの存在と唯一性を信じますか。
  はい、アッラーの存在と唯一性を信じます。
  はい、アッラーの存在のみ信じます。
  いいえ、アッラーを信じません。
―ムハンマドを本物の預言者として信じますか。
  はい、ムハンマドを本物の預言者だと思っています。彼についても知っていま
す。
  はい、ムハンマドを本物の預言者だと思っています。しかし、彼について、よく
知りません。
  いいえ、ムハンマドを本物の預言者だとは思っていません。
―男児に割礼しましたか。
  はい、割礼させました。
  いいえ、なぜなら男の子がいないからです。
  いいえ、割礼させていません。なぜなら、まだその歳ではないからです。
  いいえ、割礼させません。
  このことに関して、述べたくありません。
―断食をしますか。
  ラマザンや特別な日や夜に、断食をします。
  ラマザンの時だけ断食をします。
  ラマザンの時、時々断食をします。
  まったく断食はしません。
  このことに関して、何も考えていません。
―清めの沐浴をしますか。
  はい、沐浴せずに外出しません。
  はい、時々沐浴します。
  いいえ、全く沐浴はしません。
―衣服を清潔にすることに気をつけていますか。

■他意はない

ウルダー大学神学部のヤシャル・アイドゥンル助教授は、社会学研究所が行ったアンケートは、ロマ系住民をより良く理解することを目的としていると述べた。アンケートにおける問いが人道に反しないものであることを明らかにしたアイドゥンル助教授は、「この調査には決して他意はない。皆ロマ系住民に関して言っているではないですか、何を信じ、どのように暮らし、何を信仰しているのかと。調査は、彼らを分かってもらうために善意で、他意なく実施されました。人々の信仰や考えは我々が行った学術調査に影響を及ぼすこともなければ、関係もない」と述べた。

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( 翻訳者:田中けやき )
( 記事ID:28617 )