ガザのイメージ、イスラエルとパレスチナの狭間で
2012年12月24日付 al-Hayat 紙


ガザのイメージ、イスラエルとパレスチナの狭間で

2012年12月24日『アル=ハヤート』

【本紙:カイス・カースィム】

メディアはパレスチナ-イスラエル紛争のニュースを公平に伝えるだろうか?とりわけ国際メディアは?実際、外部からの影響なしにメディアはその役割を果たせるのだろうか?複雑な込み入った問題では、記者や通信員が中立を保つことはしばしば困難なことがあり、また、どちらかの側面に対して、混乱をより深め、複雑化することに組するのを回避するために、世論を掻き立てることなしに職務を行うことも難しい状況の中で。

報道の仕事に関わる多くの質問を、スウェーデン人のユーハン・ルーマンとエリック・サンドストロームがその回答を「知識」という番組内で「実践」フィールド調査の手法を用いて試みた。この調査には、数週間のイスラエルとガザ、ヨルダン川西岸地区の一部への訪問も含まれる。調査では、50時間以上の撮影を行い、その後、異なった二つの視点での「生の材料」が二つのスクリーンに写しだされた。最初はパレスチナのテレビの名のもと、続いてイスラエルのテレビが映された。

報道の前に、新聞記者たちは通信員たちに会い、外国メディアのディレクターたちは彼らの仕事を取り巻く障害と白熱する紛争の中でニュースを公平に伝える難しさを表現する。全ての関係者が、もう一方の偏向性を非難し、バランスと中立がそれをたしなめるが、常にそこには一つの事件に対する二つの記述と鋭い視点が存在しているのだと話した。

テレビの中のガザ

これは、映像メディアが、様々な方法で現実を報道することができる事を示すものであり、それにはガザ地区のルポルタージュそのものが含まれる。パレスチナのテレビは悲惨なガザを映し出した。ここの住民には生活の最も単純な要素が欠乏している。「ここは世界で最も大きな監獄です」と、あるパレスチナ人が語るように、ここでは150万もの人びとが監獄同様の生活を送っているのだ。国連の統計が示すとおり、貧困率は80%にも上り、失業率は高く、耕作可能地の割合は少ない。

イスラエルのテレビはこの現状を普通に、北アフリカの都市になぞらえて伝える。素晴らしい沿岸部の面積は40平方キロメートルにも及び、全ての人に開かれている。店には食べ物やぜいたく品、住民が必要とする全てのものがあふれている。貧しかろうが裕福であろうが「イスラエルの」カメラはいくつかの店や市場をこのように映し出した。

「パレスチナ・テレビ」での「ハマース」の幹部の一部とのインタビューは、大声や、イスラエルによる威嚇と「ハマース」の幹部を悪魔のように扱い、公正さを持たないとするイスラエルのメディアの意図的な報道方法に対する苦言で占められた。

これに対して「イスラエル・テレビ」はスデロット市民のインタビューを行い、市民が、ミサイル攻撃による恐怖に苦しんでいることを見せた。そして、ミサイルの残骸やそれに使用された鉄などを映し、イスラエルのリーダーはパレスチナ人に鉄を輸出したり、売ったりすることを禁じることを約束する。なぜなら、彼らが主張するように、パレスチナ人がミサイルを製造ことが予想されるからである。これは、ガザの地下通路に関するパレスチナのルポルタージュとは逆の報道となっている。ガザではイスラエルによって破壊された住宅や公共施設の再建のために人びとが鉄や建築資材を必要としていることを示していたのであり、地下通路の掘削は、対パレスチナ人飢餓政策を失敗させるための唯一の方法なのである。

パレスチナの子どもたち…メディアの目的

50時間の撮影は、双方がそれぞれの子どもたちにメディアの提供する方法についてや、政治的な目論みを持った学習カリキュラムが仕組まれていることに加えて、テレビの提供する娯楽的な内容がどのように意図的に利用されているかを知るには十分であった。

イスラエルのテレビに出演しているパレスチナの学習カリキュラム・アナリストの一人は、ジャーヒリーヤ時代のアラブの詩の一節を読み、その長詩の一つの中の詩が詩っているのは部族の栄光と、その栄光のための犠牲の方法であり、パレスチナの若者たちを自爆作戦へと駆り立てていると説明した。一方で、パレスチナの女性教師は、職務の一部と考えて学生たちの心に愛国精神を植え付けようとパレスチナ人たちの置かれた劣悪な状況を説明し「明日は今日よりも良い」と彼らに想起させることを試みている。

これら副作用に関するテーマに関して、2人のスウェーデン人ジャーナリストは、英語で「フィクサー」と呼ばれるジャーナリズムの仲介者を扱う。多くのジャーナリスト、とりわけ地域をよく知らない、もしくはアラビア語が流暢でない者たちの多くが自分の計画を達成するためにこれに頼っているが、これが、ある意味、ジャーナリスト自身ではなく、取材の陰に横たわっているもののようである。

(後略)

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( 翻訳者:岸本聖美 )
( 記事ID:28703 )