シリアにより「撃墜」のトルコ機パイロット遺族、政府を提訴
2012年12月27日付 Milliyet 紙

シリアによる撃墜により殉職したトルコ軍機パイロットのギョクハン・エルタン大尉とハサン・ヒュセイン・ア クソイ少尉の遺族の弁護士メフメト・カタル氏は、航空機撃墜において過失や故意の疑いが生じたために、関係者を刑事告発した。

カタル弁護士は、バフチェリエヴレルにある法律事務所で、殉職したパイロットのアクソイ少尉の父オスマン・アクソイ氏と新聞記者達に向けて発表をおこない、2012年6月22日、マラトゥヤを出 発した空軍司令部所属のRF-4型戦闘機が東地中海の国際空域でシリア政府による介入により撃墜され、中にいた兵士のエルタン氏とアクソイ氏が殉職したことに触れた。

事件がシリア政府による不当な攻撃とみなされているとしたカタル氏は、以下のように述べた。

「しかし、事件後の会見、国内外メディアが取り上げた事件の背後関係に関する様々な発言を含んだ報道、事件の発生において際立った規則とロジックに反する幾つかの要素は、この事件がシリア政府のみによっておこされた不当な攻撃ではなく、また現容疑者、今後の調査で確認される他の関係者や組織の重大な過失や故意のために起こり、したがって犯行の実施の面で重大な疑惑が隠されている。」

 カタル弁護士は、事件後に関係者から十分な発表が行われず、発表が矛盾を生み、そして報道で多くの主張がなされていると述べた。現 在、同弁護士は、戦闘機がどのような目的で飛行したのか、その任務は何だったのか、事件がどのように発生したのかに関して、具体的な発表が行われていないとし、事件に関して気がかりな点を解明するため、広範な調査が行われるべきだと強調した。

■新防空システムの試験が行われた

カタル氏は、ある情報によると、国家諜報機構(MIT)と空軍司令本部が、強化した新防空システムと移動式レーダーの試験のために飛行を計画し、実施したこと、そして事件がこの計画の実施中に発生したといわれているとし、まずこの情報の調査が必要であると述べた。

さらに、このように続けた。「国家諜報機構通信諜報局は、電子諜報の情報収集能力向上活動の一環として“ELINT”と言うシステムを開発した。このシステムの真の目的に向けたパフォーマンスをシステムが作られた地域で試すために、空軍司令本部に所属する戦闘機も含んだ活動が望まれ、その活動が始められた。」

「2012年6月21日、第182飛行団に属する2機のF-16は計画通り、飛行をおこなった。翌日の飛行は、マラトゥヤにある第173飛行団所属の2機のRF-4で実行に移される予定であったが、任務遂行のリスクと、適任のパイロットが確保されなかったため、事前に飛行中止の提案がされた。その後、調整が行われ、戦闘機が1機へと減らされた。殉職したパイロットのエルタン氏とアクソイ氏が乗っていたRF-4は、飛行実施のために飛び、その結果、事件が起こった。」

■「国家諜報機関関係者の“低空飛行”作戦」

カタル氏は、調査により、偵察飛行機の飛行調整が国家諜報機関の関係者によって強硬に第173飛行団に要求され、関係者達が飛行団へ偵察飛行機が低空飛行をするよう作戦を与えたという情報を得たと述べ、第173飛行団の担当者らはこの要求に反対したがそのことはメッセージによりMITに送られたと主張した。

事件後の関係者の態度が家族の痛みを増した、とカタル氏は明らかにし、「現在、殉職した兵士達の家族に、事件に関する具体的な情報、任務(の内容)、事件がどのように何者によって起こされ、その死因はといった情報が伝えられておらず、また、請求にも関わらず死体解剖結果さえ家族に公表されなかった」と述べた。

カタル弁護士は、参謀本部の軍検察当局によって事件に関して始められた調査報告に、2012年12月19日に殉職したパイロットの遺族達に代わって介入の申し立てをしたと発表した。

また、特別権限マラトゥヤ県共和国次席検察にも、2012年12月に、事件における過失や故意ゆえに空軍司令官将官メフメト・エルテン氏、MIT事務次官ハカン・フィダン氏、MIT関係者のアトゥンチュ・オズカヤ中佐、また、まだいるようであれば、他の関係者を刑事告発すると述べ、事件を全面的に明らかにすることが目的だと述べた。

■殉死者の父からエルテン氏に手紙

その間、殉職したパイロットのアクソイ少尉の父オスマン・アクソイ氏は2012年12月、空軍司令官将官エルテン氏に手紙をFAXで送り、 FAXが届いたことに関して本人に返事があったと述べた。父アクソイ氏の手紙では、次のように述べられていた。

「私の息子は神聖な祖国の任務のために殉職したが、息子を失うというような職務怠慢が何故起こったのですか。あなた方の発表には全く満足できません。何故シリアの近くを通る任務を息子に与えたのですか、何故息子を守れなかったのですか。一度たりとも私たちに連絡してきて尋ねませんでしたね。」

責任者が罰せられることを望むアクソイ氏は手紙において、「私は裁判を望んでいます。あなた方や他の司令部の人間を決して許しません」と述べた。

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( 翻訳者:田中けやき )
( 記事ID:28707 )