■エジプト:野党勢力指導部に調査、危機を刺激
2012年12月28日『アル=ハヤート』
【カイロ:ムハンマド・サラーフ】
エジプト当局は昨日(27日)「政権転覆をもくろむ煽動」を訴える政府側に近い弁護士団が提出した通知を受けて、反体制派の主要勢力が構成する「国民救済戦線」の指導部の調査を命じた。ムハンマド・ムルスィー大統領が野党勢力側に対話を呼びかけた数時間後のことだった。
「救済戦線」は一昨日(26日)晩、ムルスィー大統領が自らの手で主催する対話への参加呼びかけに対する拒否を表明し「それには実質性がない」とした。同戦線は「我々は、宗教の名のもとに専制を打ち立てることを望む現政権に反対して、野党勢力の中でも活力のある勢力を包容する自らの集会を続ける…。国民との合意を得てもいなく、公共の自由、貧困者の権利、市民権、女性の権利を放棄している現行の憲法に対して、訴訟権、デモ、座り込みなどあらゆる民主的手段を駆使して、平和的闘争も継続するつもりでいる」と述べた。同戦線は「来たる1月25日の革命2周年記念日に、この憲法の正当性に反対して集団デモ」を行うことを呼びかけた。
同戦線の声明から数時間後、タラアト・アブドゥッラー検事総長は、同戦線の指導部に対して通達された調査任務の引継ぎのため法務省から裁判官を任命する決定を発表した。調査対象には、エルバラダイ氏、アムルー・ムーサー氏、ハムディーン・サバーヒー氏、その他多くのマスコミ関係者が含まれている。イスラーム主義の弁護士団が「政権転覆をもくろむ煽動と反逆」の訴え野党勢力指導部に対する調査を申請したことに基づき、すでに国家安全保障最高審査が調査作業を開始した。しかし、ムルスィー大統領が任命した同検事総長は法務相に対し、調査任務の引継ぎには検察の代わりにカイロ控訴裁判所顧問から裁判官を一人充てることを伝えた。
この段階に来て「国民救済戦線」を対話に参加するよう説得することを目的に大統領が設立した委員会の取り組みが衰退することになった。同委員会にはアン=ナーシル・イブラーヒーム・アル=ムアッリム氏「改革発展党」のムハンマド・アンワル・アッ=サーダート党首、シューラー評議会議員のコプト教徒活動家のサーミフ・ファウズィー氏も参加している。
こうしたことは、大統領側と裁判官の間の亀裂の修復の試みが同じく失敗へと向かいつつあるように見える時に、起こったものだ。それは、検事総長が自らの地位に残り続けようと執着した後のことであった。アブドゥッラー氏に近い司法筋が、本紙に対して強調したことによれば、アブドゥッラー氏は、一昨日の夜に法務相のアフマド・マッキー氏とコンタクトを取った。その中で、自分は今の地位になんとしても居続けたいのだが、最高司法委員会が辞任せよと請願している。これに対してどういった姿勢をとるか、と尋ねたという。
(後略)
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:28720 )