北イラク、世界の大観光地となるか?―タイム誌報道から
2013年01月01日付 Hurriyet 紙


アメリカの有名雑誌であるタイム誌は、北イラクのクルド地域が世界の新たなる観光地になる可能性があるとする記事を掲載した。これとともに、観光施設が建設されることになる場所のいくつかが、PKKキャンプに近接していることが治安上の問題となっている。

タイム誌のインターネットサイトの記事では、イラク北部地域がイラク国内で最も安全でアクセスしやすい地域であり、ほかの地域とは対照的にパザールなどでは観光客が安心して散策ができると記載された。
記事では、米国務省がイラクへの渡航を予定している米国民に対し渡航警告を行っていることも伝え、「スレイマニエ、アルビル、ドフークの三県からなる北イラクでは、イラク全土と比較すると近年治安が安定している」と指摘している。

■新たな観光地、北イラク

北イラクにはショッピングモールや五つ星ホテル、温泉、アルビルのユネスコ世界遺産に登録されている古城などの歴史的建築物があり、アラブ観光評議会によって2014年の観光首都に選ばれたことも伝えている。

■2015年、世界的デスティネイションへ

観光協会会長のメヴレヴィ・ジャベル・バハブ氏はタイム誌のジャイ・ニュートン・スモール特派員に対し、「2015年に世界的デスティネイションになるのを目標にしている。我々の目標がこれほど大きなものになろうとは思いもよらなかった」と語った。
2007年には106件であったホテルが現在400件以上に増えていること、4億ドルかけてアルビルに超近代的な空港が建設されたこと、世界的に有名なホテルチェーンがこの地域に次々とオープンし、また2030年にはサファリパークやスピードレース場、36ホールを備えたゴルフ場がオープンする予定であることが明らかになった。

■トルコ人も続々と

同時に、現在北イラクへの旅行者は周辺諸国からの人々に限られているため、世界的デスティネイションとなる道のりはまだ遠いとしている。例えば、バイラムの時期にはおよそ9万人の観光客が訪れるが、来訪者の70%はイラク国内からである。それ以外にイラン人、トルコ人、そしてわずかであるがヨーロッパ人が含まれる。
ヨーロッパの観光客の興味を引くためにカヤックやカヌーが楽しめる施設、歴史的・宗教的に重要な場所など65カ所の観光スポットが挙げられている。さらに中東地域初のカジノ設置に関する発言も出てきている。

■PKKキャンプの真ん中にカヤック施設が

ところがアルビル以外はインフラ整備が遅れているため、文化遺産が正しく評価されるのが難しくなっている。

上述のカヤック施設の建設予定地である山岳地帯は、同時にPKKキャンプがあると考えられており、治安面での問題が出てきている。さらにはバグダード政府との境界線を巡る問題や石油をめぐる緊張関係により、北イラク・クルド地域の治安はそれほど安定することはないだろうと指摘されている。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:白鳥夏美 )
( 記事ID:28754 )