Ismet Berkan コラム:トルコが何一つ変わらずに解決はありえない
2013年01月05日付 Hurriyet 紙

いくつかの新聞やコラムは、「イムラルと折衝中、(クルド問題解決に向けた)プランが準備されている、すべて解決に向かっている」という雰囲気を伝えているが、それに惑わされないように。まだその道のりは遠い。

昨日Hurriyet紙のコラムで、「一つの推測をしてみよう」と言うタイトルのもと私が書いたことは、最近問題の中心に見えてきたのは、要するにイムラル島で拘留されているアブドゥッラー・オジャランのダブル・フェイス的な交渉者としての位置づけであるということである。
このことを最初に指摘したのは、数日前Milliyet紙でジャーナリストのアスル・アイドゥンタシュバシュ氏と対談した元国会議員のズベイル・アイダル氏である。アイダル氏は、PKKのヨーロッパにおける「公式」支部の長の立場にあり、オジャランの刑務所での待遇改善を、これからすすめられる和平交渉にとって必要不可欠とみなしていると述べていた。現在オジャランは政府と話し合いを行っているが、カンディル(PKK本部)とも話し合いを進める必要がある。どれほどオジャランの名前がPKKやクルド社会の世論に影響力を持とうとも、それは、彼の発言が問いただされることなく、疑問視されることなく実行されるということではない。そして、オジャランが言ったことが全て実行されることになるなら、何が行われるのか、オジャランは何らかの形でカンディルに伝える必要がある。
以前のオスロ協議でこうした状況が議論され、PKKは、オジャランが電話を使えるようにしたうえでの自宅軟禁を希望していた。同じ要求がオジャラン自身からも来た。
ズベイル・アイダル氏がMilliyet紙で述べた内容は、この要求を再確認したものである。
アイダル氏の発言がどれだけ真剣に受け止められたかはわからないが、同じ要求がカンディルから、正しくはムラット・カラユランからも来た。カラユランは昨日の発言の中で、「最初に踏み出されるべき第一歩は、指導者(オジャランの)イムラルでの待遇を変えることである。最初の一歩を問うならば、これが最初の一歩となりうる。実際プロセスを進めるためには、これが絶対に、絶対に必要である」と述べた。
首相はこの折衝を「光が見えないのならば、やめる」と言ったが、この折衝にとってオジャランの待遇が、前提条件となってきた。この問題がどのように乗り越えられるのかわからない、イムラル島にいるオジャランに電話を与えることが果たして、問題解決につながるのだろうか。
残念なことに、昨日も論じたように、トルコのメディアはイムラルでの折衝に関して非常に熱心である。この熱心さは、実際その中身が完全につかめない問題において、地に足がつかないような不確かな情報を流す原因になっている。情報操作がされやすい問題であり、双方に情報が不足していることにより、これらの報道も易々と間違った、あるいは行き過ぎた解釈をしかねない。
先にも論述したように、まだオジャランの交渉者としての位置づけをどのようにするかという問題は解決していない。それなのに突然PKKの「国外追放」や「武装放棄」のような問題が(マスコミで)論じられれば、挑発的ないろいろな問題がでてくる。
カンディルに拠点を構え、新聞報道からトルコの情勢を追わざるをえないムラット・カラユランは、明らかに十分に挑発された状況で、いまや折衝を食い止めようとさえしている。
カラユランは昨日の「声明」の中で、PKKは国外に出ていくつもりはないことを強調しながら語り、最も重要な和平のためには、「武装勢力への説得」が条件となるとしている。
彼によると、この説得のためにまずなされるべきは、オジャランの孤立した状況を変えることである。これを、政府がどのように解決しようとしているのか発表するのを注視しなければならない。カラユラン氏は、「我々は協議に署名した。我々が何を要求しているか明らかである。解決のため国家の方針を待っている」と述べ、「同等な交渉者」となることを望んでいるとしている。
例えば、ある点では「ボールはイムラル島に投げ込まれ、そこから帰ってくる返事次第ですべてが解決する、といったような世論が形成されている」と言っており、イムラル島(オジャラン)の重要性を認めている一方で、すべてがそこを通るわけではないということを強調する必要性があるとしている。
次の発言は特に注目したい。
「しかしながら、最も重要なのは武装勢力である。このため我々が直接リーダー(オジャラン)と話し合うことが必要だ。単に幹部とだけでなく、幅広い指揮官レベルや戦闘員組織をも説得するという問題が残っている」

楽観的になることは必要であり、良いことである、真実(現実)を否定しないならば。
今日、楽観的になるための多くの理由があるが、一つ指摘しておきたい。

トルコが何も変わらずして、PKKの武器放棄はありえない。

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( 翻訳者:松永拓人 )
( 記事ID:28782 )