男女の「血の賠償金」の格差は取り除かれるべき:ある法学者が提起
2013年01月31日付 Mardomsalari 紙

 大学教授で法学者のモフセン・ロハーミー師は、イスラーム刑法における男女のディーヤ(血の賠償金)〔※1〕をめぐる議論について言及し、「男性同様、女性も社会の経済的領域に進出していることを考えるならば、男性と女性のディーヤの格差をなくし、同一金額化する方向へと進むことも可能である」と強調した。

 ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーンのモフセン・ロハーミー師は、ISNA(イラン学生通信)とのインタビューで、このように述べた上で、次のように指摘した。

男女のディーヤに存在する格差は、多くの場合、〔被害者の〕家族に加えられた損害の問題として議論されている。〔男女のディーヤの額に差が認められているのは、〕かつて家計における女性の役割は小さく、主に男性の役割が大きかったためだ。もちろん、愛情という面から言えば、家庭内における女性の欠如は男性のそれよりも〔家庭生活に〕深刻な影響をおよぼすということを、きちんと指摘しておく必要がある。〔※2〕

 同師はまた、次のように続けた。

今日、大半の先進国では、またある程度イランでも、男女の役割や家計における両者の存在の大きさは同等になってきている。また現在、女性も男性同様に社会活動や社会の経済に進出している。こうした現代の社会変化に注目するならば、過失致死であれ故殺であれ、我々は女性のディーヤの支払いにおける格差を取り除く方向へと進むべきだろう。

 ロハーミー師はその上で、「我々がもし、人間の尊厳という点から見た場合の男女平等という本質に基づいた、男女のディーヤの支払いに関する正確かつ理性的な原則を受け容れるならば、男女のキサース刑(同害報復刑)に関して存在する差別も解消されるであろう」と述べた。



※訳注1:身体的危害を加えた加害者に対して、被害者あるいはその親族が賠償金を求める制度。キサース刑を求めた場合は、賠償金を請求することはできない。女性の賠償金は男性が殺害された場合の半額であるとされる。そのため、殺害された女性の親族が男性加害者にキサース刑(同害報復刑)による死刑を求めた場合、加害者の親族に対して賠償金を支払わねばならない。

※訳注2:ディーヤとは被害者家族のその後の生活を補償するための制度であり、「男性が一家の稼ぎ頭である以上、男性へのディーヤが女性の2倍であるのは合理的だ」という議論がかつては主流だったが、この議論では女性の経済活動への進出という現代的状況に対応できないだけでなく、女性が家庭内で果たしている「愛情」という側面での役割も看過されている、というのがここでのロハーミー師の議論である。

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( 翻訳者:8409119 )
( 記事ID:29199 )