Murat Yetkinコラム:オジャランは何を望むと思いますか?
2013年02月16日付 Radikal 紙


30年も目標を達成できずとも凝集力のある組織のリーダーとして14年間、11平方メートル[の場所]に投獄されている64歳のこの男は、いったい何を望んでいるのだろうか?

心理的動きとはまさにこのことである。違法組織PKK(クルド労働者党:非合法)リーダー、アブドゥッラー・オジャランの逮捕から14周年となる日、私たちは新聞やテレビのオジャランがイムラル島刑務所で過ごした日々の数々を読み、または視聴した。

ここ14年間を11平方メートル以下の空間で過ごした64歳のオジャランが投獄中に2300冊の本や雑誌を読んだこと、刑務所の売店で毎 月約300リラ消費すること、食事には好き嫌いのないこと、それからスターリンのような髭がそのままなのを知った。

昨日、ディヤルバクルと多くの東・南東地方の県や郡で、平和民主党(BDP)メンバーも加わりオジャランの逮捕を「陰謀」だと主張するデモが行われる中、多くの新聞やテレビが当然のようこのに興味深いニュースを取り上げた。

14年前の昨日のオジャランの逮捕は、オジャランが何年もシリアや他地域で避難できたのと同様に、実際に国際的協力によるものだった。この国際協力を、そう呼びたい人は、オジャランの存在を可能とする企みまたは陰謀と言う事ができるだろう。

当時ビル・クリントンを長としたアメリカ政府は、CIAを介してトルコの国家諜報機構へ情報を送った。当時の国家諜報機構シェンカル・アタサグン事務次官はこれをすぐに故ビュレント・エジェヴィット首相へ伝え、また彼もスレイマン・デミレル大統領へ伝えた。一日中、木曜の会合を全員と一人ひとり面会を行なったデミレル大統領は、夜中に大統領府でエジェヴィット首相とアタサグン事務次官のほかヒュセイン・クヴルクオウル参謀長も招 集し、アメリカ政府の「オジャランをあなたたちに引き渡しましょう」との提案を話し合った。

後に大勢の人が自慢をはじめたのにも関わらず、その時点ではこのことを知っているのはまさにこの4人だけであった。会議の後、今後の仕事のために国家諜報機構ミクダト・アルパイ事務次官補と参謀本部諜報部長フェヴズィ・テュルクレリ中将が作戦に加えられた。これらの全ての詳細は私が2004年に出版 した『クルドの罠—ダマスカスからイムラルへ、オジャラン』の中で述べられている。この本のためにエジェヴィット氏と対談した際、アメリカがオジャランをなぜトルコへ引き渡したかったのかわからなかったと述べていた。また、ほかの場でもこの質問を繰り返したが、返答はなかった。

オジャランがダマスカスに滞在している間は、実際アンカラを悩ませているのは中東問題であった。この枠組みであれば問題はなかった。トルコが我慢できなくなった結果、イランとエジプトの協力(陰謀とも言えるだろう)でオジャランがシリアから引き出され、ヨーロッパへ渡航したことでヨーロッパにとっての安全保障問題となりはじめた。

ロシアは介入をするのをあきらめ、アメリカはトルコに対してPKKというカードを手中に収めたいギリシアの腕を捻った。ギリシアのテオドロス・パンガロス外務大臣はさらには抵抗できなかった。オジャランはまず南アフリカ、次にオランダへと連れて行くとの約束で、隠れていたギリシアの在ナイロビ大使館からあたかも無理やり連れ出され、ケニア警察の同行を受け空港で待機中の飛行機のドアで、特別に北ヨーロッパ仕様の一部国家諜報機構職員に引き渡された。その後は皆さんもご存知だろう。エジプト領空を通過して、14年前の今朝、トルコへと送られた。

オジャランが独立したクルド政府設立を目的としたPKKを組織し、今日に至るまで4万人近い人の死へ道を開いた紛争が始まって、35年が経過した。オジャランの逮捕から14年が経ち、ようやく社会でクルド問題に政治的観点から解決策を見つけることができそうな考えが現れた。

この一歩を、エルドアン首相が踏み出した。しかし、この一歩を投じるには、歴史上最大の経済危機の突入し、古い政治を議会からぬぐい去り、新しい政治が三つの選挙と10年にわたる政権の座に止まることで優勢となり、軍や司法の性質を、痛みを伴うが血を流さない方法で変える必要があった。

全てを適切に実施できなければ、この状況を目にすることはできなかった。

さて、月曜日に(首相によって「PKKの関連組織であることをすでに自分自身で認めた」との確言を受けた)BDPは、イムラル島へオジャランとの面会に行くために法務省へ申請を行う。おそらくBDPセラハッティン・デミルタシュ共同代表が金曜日のサードゥッラー・エルギン法務大臣との話し合いで、拒否されないリストを通知していたように思われる。

さて、問題の解決の方向で、オジャランが求めるいちばんの優先事項は何がありえるだろうか?こう質問しよう。30年あまり目標を達成できなかった、別の見方から 言うと30年あまりNATOの最強の軍のひとつに対抗して存続し続けることができた凝集力のある武装組織のリーダーとして、14年間、11平方メートル以下[の場所]に投獄されている64歳のこの男は、いったい何を望んでいるのだろうか?

オジャランは、即時釈放含め、生活条件の向上、活動再開を直接指示できるようになることを最重視している。面会の実際の枠組みがこれを優先して確定されていけば、状況をもっと安心して見ることが可能かもしれない。政治的・平和的解決に期待するのはこうした理由からだ。

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( 翻訳者:佐藤悠香 )
( 記事ID:29284 )