米ケリー新国務長官、アンカラ訪問
2013年03月02日付 Zaman 紙


米ジョン・ケリー国務長官が就任後初めてアンカラを訪問した。アフメト・ダヴトオール外相と会談したケリー国務長官は、ギュル大統領とエルドアン首相からとも面会した。

ケリー国務長官は、エルドアン首相のウィーンでの「シオニズム運動」への批判について「寛容の精神を称揚しなければならない。指導者は皆、これを重視したメッセージを出すべきだ」とコメントした。また、トルコとイスラエルの関係に関しては「中道」を見つける重要性を強調し、「トルコとイスラエルは、両国ともアメリカ合衆国の同盟国である。」と述べた。ダヴトオール外相は、トルコが示した3つの条件は絶対に譲れないと再度明言。シリアに関しては、「アサド政権はもはや正当性を失っている」と述べるケリー国務長官に対し、「シリアに対し、アメリカも介入していくべきだ」と述べた。

ダヴトオール外相とケリー国務長官の昨日の対談で、シリア、イスラエル、イラク、中東和平、キプロス問題、コーカサスなどの様々な案件について協議がなされた。ダヴトオール外相は対談の中で「シリアで虐殺が後を絶たない。アメリカは責任を持って介入していくべきだ」と発言した。また、シリア国民に救援物資を送る態勢を整え、国連軍がこれの安全を確保するべきだと述べた。ケリー国務長官は報道陣に対し「アサド政権に理解を示す必要はあるものの、市民に対する弾道ミサイルの発射、民家や道路への爆撃は見過ごしてはならない」との見解を示したが、具体案については言及しなかった。ダヴトオール外相はテロ対策におけるアメリカへの期待を述べ、イラクに関しては、トルコの建設的な呼びかけにも関わらず、ヌーリ・マリキ首相の排外的な政治が国を混沌に陥れたと批判した。

対談では、エルドアン首相の「シオニズム運動」への批判も行われた。独立したイスラエルの国を作るため燃え上がった運動だったが、今日のイスラエル政治においてユダヤ民族主義を根幹として様々に分裂してしまったシオニズム運動に対し、エルドアン首相は「人道に反する犯罪」と切り捨てた。エルドアン首相のこの発言に対し、様々な国に暮らすユダヤ人コミュニティ、イスラエル政府、ホワイトハウス、国連などから反応が返ってきた。ホワイトハウスは「攻撃的で誤っている」として、エルドアン首相の発言を否定する声明を流した。ケリー国務長官はホワイトハウスの声明に従いつつも、記者会見ではより慎重に言葉を選んだ。

ダヴトオール外相はこの件で後に退かなかった。逆に、「我々はいかなる時も、どの国や民族に対しても敵対的な発言をしたことはない。しかし敵対的行為について言うなら、外洋でトルコの民間人9人を、彼らの1人として法を侵していなかったにも関わらず、残忍に殺害したイスラエルの態度をこそ敵対的と言うことができる。」と痛烈に批判。イスラエルに態度を改めるよう機会を与えたにも関わらず、イスラエルは敵対的態度を正当化しようとしていると述べ、「一体どうして、武装した軍隊が国際水域内で一隻の船を、あたかも敵船であるかのように攻撃したのか」と、イスラエルとアメリカの世論に問いかけるよう外国メディアに要求した。ダヴトオール外相は、対談でケリー国務長官がイスラエルとの関係を落ち着かせるために「中道」を提案したことに対し、トルコ側の「謝罪、慰謝料、ガザ地区の封鎖解除を含む3つの条件」を再度提示し、これらの条件は一歩も譲れないと述べた。

ケリー国務長官は、オバマ大統領と共に中東和平問題に関して真剣に取り組んでいくことを述べた。ダヴトオール外相も1967年(第三次中東戦争)の境界に隔てられた両国の公正な問題解決策のため、必要なことがあればトルコはいつでも取り掛かる準備ができていると述べた。また、ダヴトオール外相とケリー国務長官は経済関係の更なる発展のため同意した。トルコが優位な立場を得られるよう、EUとアメリカの間で2007年に設立した大西洋経済評議会と基本的合意を結んだ。

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( 翻訳者:松永拓人 )
( 記事ID:29407 )