Fikret Bilaコラム:PKKにおける軍事的・政治的戦略
2013年03月29日付 Milliyet 紙

国家同様テロ組織にも政治・軍事的戦略がある。軍事的一歩を踏み出す一方で、政治戦略に沿った結果を得ようとする。
アブドゥッラー・オジャランとPKK(クルディスタン労働者党)も同じことをしている。
我々が議論しているPKKメンバーの国外撤退に関しても、PKKは軍事的一歩(具体的には武装放棄)の見返りに政治的な結果を得ようとしている。
ムラト・カラユランがカンディル山から行った声明はこの枠組みの中で考えなければならない。

■国外撤退の政治的な見返り

政府・国家はイムラルでアブドゥッラー・オジャランと交渉をしている。政府の戦略的な目的はPKKを武装放棄させることと、テロとクルド問題を解決することである。このためにオジャランに対し、武装放棄を宣言し、PKKメンバーに国外撤退を指示するよう求めた。
オジャランはこれを3月21日にディヤルバクルで読み上げられた書簡において実行に移した。この書簡の中身は停戦と国外撤退の指示だけではなかった。PKKの政治的戦略に沿ったメッセージをも含んでいた。
ムラト・カラユランはオジャランの「撤退せよ」との指示に皆が従うと述べ、いくつかの条件を提案した。この条件は、オジャランがBDP(平和民主党)議員との会談でも触れた要求だった。オジャランとカラユランが政府に送ったメッセージは次のように要約できる:
「あなた方は停戦と我々の戦闘員の国外撤退を望んでいる。また私たちが軍事的一歩を踏み出すのを望んでいる。それならばこれには政治的な見返りが必要だ」
オジャランとカラユランが撤退の代わりに求めたのは、国会で法律をつくり、撤退が合意に沿って「正式に」行われることである。
これこそが、PKK側が踏み出す軍事的一歩のかわりに手にしたがっている政治的結果である。
もしも政府がこの要求に応えた場合、PKKは国家に対し合法的な政治組織の地位を獲得することになり、軍事的にもPKKに対しトルコ軍と同等の扱いをし、国際面でも重要な地位を手にすることとなる。

■カラユランの「口実」

カラユランはこの政治的結果を得るために様々な「口実」を挙げている。
次の言葉はその例である:
「そこにはいくつかのグループがあって、来いと言えば来る。一方30年来のグループがあり、彼らは来いと言っても来ない。私には連れてくることができない。彼らは戦争を信じ込んでいる。戦争によって結果が得られると信じている。私には連れてこられない。私には難しい。それほど簡単なことではない。撤退に関して我々の立場を有利にする必要がある。撤退には法的枠組みが必要だ」

■オジャランに関する要求

カラユランは一方で、国会で法律を作ることが必要であると強調し、(PKKが)政治的に合法化されるという目標を抱く一方、他方でアブドゥッラー・オジャランの政治的リーダーとしての地位が強化されることを望んでいる。オジャランについては次のように語っている:
「撤退が簡単なことではないということを全ての人に理解させ、これを実現するために、特にプロジェクトの代表であるオジャランが関わる必要かある。私はいきなり『彼を解放してこのプロセスに関わらせるべきだ』と言っているのではない。しかし様々な条件が形作られ、関係が構築できるようになる必要がある。私はここで内輪での自分の考えを述べているわけではない。オジャランが関わらずして、戦闘員全員を説得し撤退することはできないのだ。さもないといろいろ問題が起こるだろう」
この言葉から分かるように、PKKはオジャランが今後もリーダーの地位にとどまることを前提に、綿密な交渉を進めている。

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:29579 )