クルド問題解決プロセス賢人メンバー・エルギル、インタビュー
2013年04月19日付 Radikal 紙

クルド問題解決プロセス賢人メンバーの一人であるドウ・エルギル教授は、このメンバーによる活動を評価する中で、「私たちがクルド問題の解決を望む中、トルコの問題を見つけた。他の誰も死なないよう、と語る殉職者の遺族をでさえも攻撃する少数派がいる」と述べた。

賢人委員会メンバーの一人であるドウ・エルギル教授は、活動の第一段階に関し、フラト通信社(ANF)に充てたドキュメンタリーで辛辣な言葉を放った。内陸アナトリア地方の活動に参加したエルギル教授は、賢人メンバーの問題と国民の反応を語った。解決プロセスのために「感情ではなく理性で行動せねばならない」とし、「トルコで、短期間で前向きな雰囲気が実現し得る」と続けた。 エルギル教授は、トルコ社会で「戦闘的な」一部の人がいるが、彼らは少数派であるとした。

■「3つの問題がある」

エルギル教授は、「一つ目の問題は、私たちが話しすぎることだ。特に市民団体(STK)を代表する者たちと会合を持っ ている。皆が30分ずつ話そうとする。二つ目の問題は、分析をしていないことである。私たちは頭にある決まった考えを主張しているにすぎない。3つ目の問題は、私たちは皆、暗記のように刻まれたことを話していることだ。考えによってではない」と述べた。

■「考えではなく恐れが先に立っている」

エルギル教授は、会合に参加した人々にクルド問題解決策提案を尋ねたところ、提案以上に疑問を耳にしたとし、次のように話した。

「例えば、団体にクルド問題解決プロセスに対する考えを聞いているのに、人々はただ疑問を述べた。まず向けられた質問は『PKK(クルド労働者党:非合法)が武装解除をしたらどんな改革 ができるか、トルコにおける政治活動はどのようになるのか、オジャランを解放するのか、PKKは赦免されるのか』というようなものである。しかし、これらは最後に問うべきものである。ここから何がわかるのか。どれ程感情的なのか、実際の政治からどれほど離れているのかということだ。これらの質問は 望ましくないと思う。希望、不安、恐れのレベルで議論を続けたら、創造的かつ融和的な雰囲気に到達し得ない。」


■「トルコの問題を見つけた」

教授は、トルコ社会の一部層がもつ「私たちの国は分断されるのですか」という不安は、解決プロセスに良い影響を与えないことに注意を引いた。「トルコは、地理的には分断していないが、気持ちの上で分断状態だ。私たちは、クルド問題解決へ向け模索を続ける最中に、トルコの問題を見つけた。」

教授は、「トルコの問題」として定義したものを以下のように要約した。

「トルコの問題は、国を牛耳り、他者と共有することを望まない、政治体制を自身がつくったと信じている、この国で他の者に居場所を与えない、自分以外の者を平等にみない、独善的トルコ性を言い表したことだ。」

「トルコ社会におけるこの問題が続く限り、多くの文化が共存する社会という考え方、平和の確保は難しい。」エルギル教授は、また、上記のような考えの持ち主は「少数派」であると考えている。「少数派だが、とても戦闘的。他者に言論の権利を認めない、攻撃的少数派である。」

■「自己犠牲を払う者たちでなく、払わない者たちが喧嘩をしかけている」

エルギル教授は、「殉職者遺族の会」の代表者の集まりで対話を始めたことに言及しながら、次のように説明した。

「「殉教者遺族の会」の代表者が『これ以上誰も死なないようにするために必要なことがあるならば、実行しなければならない』と述べる。そうした人でさえ攻撃する者がいる。会合で、ある殉職者の子供が 「お父さんを失った」と述べた後、山で父親を殺した若者がゲリラとなった理由の調査を望んだ。その子供をも黙らせる者たちがいた。しかし、彼らは、殉職者ら以上に多くの自己犠牲を払うような人間ではあり得ない。殉職者の物語を作り上げ、トルコ性をも攻撃の道具として利用する者たちである。例えば、民族主義者行動党(MHP)党員や共産党党員である。残念ながら、一部の共和人民党(CHP)党員もこのようである。 CHPの大部分がクルド問題の解決には賛成だが、民族派はローカルレベル[の活動]で私たちに反対し得る。」

エルギル教授は、望み多き状態であるとし、次のように述べた。

「少数派である者たちを脇に置けば、解決に反対するものはいないとみている。そう信じているので、この賢人メンバーは、ローカルレベルで非常に多くの質問に答え、平和[を求める]感情を深め、広めることで前向きな役割を果たしている。より分別のある人々が影響を受けうる。人びとは最初は疑いの目で見ていたが、政府でさえ思ってもいなかった程の役割を果たしていると自負している。政府に活動内容をまとめて提出する予定だ。政府も解決プロセスを恐怖や杞憂を通じて進めてはならない。」

■「素晴らしい雰囲気ができるだろう」

教授は、アブドゥッラー・オジャランとPKKも重要な役割を受け持っているとし、「[PKK戦闘員の]撤退後、素晴らしい雰囲気が生じるだろう。争いのない時代になれば、環境もとても快適になる。トルコでも改革が始まる。安心できる環境により、誰も疎外しない民主主義の基盤が整い、クルド問題解決へ到達し得る」と述べた。

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:細谷和代 )
( 記事ID:29716 )