PKK撤退決定、10のQ&A
2013年04月25日付 Hurriyet 紙

ムラト・カラユランが今日カンディルでの記者会見で明らかにしたPKKの撤退プロセスの中には、重要な要求も含まれている。

これらの要求の中で最も重要なのは、現在イムラル島で終身刑に服しているPKK首領のアブドゥッラ―・オジャランの釈放である。さらにカラユランは、会見の中でPKKの武装放棄をオジャラン釈放に結び付けている(釈放を条件にしている)。カラユランはPKK党員の武装放棄は、トルコから引き揚げるプロセスの中ではなく、オジャランが自由の身になる「正常化プロセスの中で」なされると言及した。
ムラト・カラユランがKCK(クルディスタン社会連合)の名で行った会見で最も重要な文言は以下の通りである。
「正常化プロセスとは、平和の恒久化、社会的な合意、平等と自由のプロセスである。リーダー・アポ(オジャラン)も含む誰もが自由になるこのプロセスが実行されるのに合わせて、武器の完全放棄そしてゲリラの武装解除といったアジェンダに至るのである」
10の問いでの、PKKの撤退開始プロセスに関連した全ての詳細は以下の通りである。

1. PKKは撤退をいつ始めるのか?―「重要な日付として、5月8日・・・」
撤退は5月8日に始まる予定である

2. どのルートを利用する予定か?―「我々が用いた全てのルートから・・・」
 カラユランの会見では、PKK兵士たちはトルコ軍兵士たちと衝突しない形で撤退するよう、指示を受け取ったとのメッセージが込められていた。カラユランはPKK兵士たちが、いかなる衝突をも引き起こさない形で、自らのイニシアチブにより、統制と規律の中で撤退を実施するであろうと述べた。カラユランは撤退ルートに関しても興味深い言葉を用いた。「以前から使用してきたルートを使うつもりである」
3. 撤退はいつ終了するのか?―「最短で」
 カラユランは撤退がいつ終わるのかという問題には、明確な日時を示すことを避けた。しかし、「可能な限り最短で」との表現を用いた。カラユランは撤退が「段階的」に実施される予定であると明かした。

4. PKK兵士たちは武器を放棄するのか?―「攻撃があれば、我々は応戦する」
 ムラト・カラユランがKCKを代表して実施した会見では、武装放棄について一切の表現もなかった。反対に、カラユランの会見では以下の文言が重要である。「撤退時にトルコ軍も同様に敏感にそして真剣に警戒態勢を取るのは必須である。撤退する我々のゲリラ部隊に向けたいかなる種類の攻撃や、作戦、爆撃であれ、そうした行為があったならば、撤退は直ちに停止され、正当防衛に基づく報復権を行使する」
この表現によりカラユランは、PKK兵士たちが撤退する際には武装放棄しないこと、反対にトルコ軍兵士たちが何らかの干渉を行えば、所有する武器を使用するつもりであることを明らかにした。

5. PKK兵士たちはどこに向かうのか?―「南クルディスタンへ・・・」
カラユランの会見では、トルコ国境外へでる予定のPKK兵士たちは北イラクへと向かう予定であるとも言及された。カラユランは自身らが「南クルディスタン」と呼ぶ北イラク・クルド自治政府の支配下にある土地に落ち着くために、北イラクのクルド人たちに「必要な合意を示してくれるよう」求めた。

6. PKKは撤退後に何を期待しているのか?―「村落警備隊の廃止と民主的な憲法がつくられるように・・・」
撤退後にPKKが期待することは、トルコにおいて政府がさらなる一歩を進めることである。カラユランは期待を以下のように列挙した。
*諸改革により、トルコが真の意味で民主化すること
*村落警備隊や特殊部隊などの全私兵組織の武装解除
*民主的な市民社会の精神に相応しい環境整備
*新たな民主的憲法(カラユランの会見では、PKKの視点から新憲法へ期待することとして、「トルコの民主化、クルド人を否定することを終わらせること、クルド人の存在や自由を認めること、全てのアイデンティティーや信条、信仰の権利と自由が保障されること、そして平等が実現すること」が列挙された)

7.PKKは現時点でのプロセスをどのように評価しているのか、クルド人にどのような呼びかけをしているのか?―「クルド人はアイデンティティーを獲得したのだ」
 カラユランの会見には、PKKが現時点でのプロセスをどのように評価しているかを解く手がかりが示されている。これによると、PKKがプロセスに関して最も高く評価しているのは、「クルド人のアイデンティティーが正式に認められたこと」である。カラユランは、「現時点で、植民地主義者の支配のメンタリティーはクルド人を、何度も何度も試みた弾圧、強制移住、さらには虐殺によっても、さらには同化政策をもってしても、抹殺することはできなかったことが明らかとなっている。もうこうしたことはなされないようになった。厳しい闘争によってクルディスタンの住民とクルド人一人ひとりがアイデンティティーや人間性を獲得したのだ」との言葉で、評価している。
 カラユランの会見では、クルド人への呼びかけも含まれている。「まず、我々クルド人が新たな政治的闘争に取り組み始めることを理解し、強固な組織化を図り、高度なレベルでの(政治)参加を果たし勝利することを目指すべきである。他者に頼るのではなく、自身を信じるべきであり、自由で民主的な解決プロセスをまず前進させるべきであり、そして最大の力は人々の力であるということを決して忘れてはいけないのである。成功はこの礎の上に築かれるのであるから」

8. 撤退後の道筋は?―「オジャランを釈放するように・・・」
 カラユランは撤退を「第一段階」と見なしているとした。この第一段階の後にはさらに二つの段階があると述べた。カラユランによると、第二段階では政府が投じた村落警備隊が解散させられ、新憲法の制定のような段階が来る。
カラユランが「正常化プロセス」と言及した第三段階においてカギとなる要求は、オジャランの釈放である。カラユランは期待を次のように語った。「正常化プロセスとは、平和の恒久化、社会的な合意、平等と自由のプロセスである。リーダー・アポ(オジャラン)も含む誰もが自由になるこのプロセスが実行されるのに合わせて、武器の完全放棄そしてゲリラの武装解除といったアジェンダに至るのである」。

9.PKKによれば、撤退は地域にどのような影響を与えるのか?―「全クルドの問題を解決する」
 カラユランは撤退によって始まるトルコにおけるクルド問題の解決が、この地域すべてにおける「クルド問題」の解決につながるであろうと考えている。さらにこのプロセスは、「全ての問題を武器ではなく、政治や対話で解決することに道をひらく新たな時代の幕開けであり」、中東における他の紛争プロセスをも終結させうるものであることに言及した。

10.プロセスは国際社会の場でも議論されることになるのか?―「4回の話し合いを希望する・・・」
 カラユランは撤退によって始まるプロセスが国際社会の場で議論されるのを望んだ。この枠組みで、まずロシア、EU(欧州連合)そしてアメリカを含む、この地域に影響を及ぼす国々に呼びかけを行っている。特に4回のうち2回は、トルコで(一回はディヤルバクルで、もう一回はトルコ国内の他の都市で)、もう一回をアルビルで、4回目をヨーロッパでといったように、計4回の国際会議の実施要求も会見では言及した。カラユランは、以前オジャランの書簡とメッセージでも言及された会議開催の提案を同様に行い、これらの会議では全ての抑圧されてきた地域の問題が議論されるよう呼びかけた。

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( 翻訳者:齋藤洋輔 )
( 記事ID:29759 )