エルドアン・オバマ会談、シリアの今後にどう影響?
2013年05月17日付 Zaman 紙

ずっと以前から待望されていたオバマ・エルドアン会談が昨日実施された。それというのも、シリアが危機に陥ったこの2年の間に、アメリカの大統領選挙が原因で、シリア情勢に直接介入しないとの考えが優勢であった。

オバマ大統領がもう一回その地位に就くなら、シリア問題に取り組み、国際的な圧力が増すと期待されていた。しかし、オバマ氏の大統領再任は、考えられた程の影響を及ばさなかった。アサド体制は今なお健在で、今なお流血状態であり、今なお大胆な行動を表明している。まさにこういったことにより、エルドアン首相の訪米が大変な重要性を示している。

首相のハイレベル待遇から友好的もてなし、大規模な会談の実施から互いのデリケートな攻勢までといった大変多くの徴候が、アメリカがこの外遊を十分に重要視していることを明確にしている。特に二国間での深刻な問題や緊張といったものは存在しない。それどころか、非常に多くの問題で相互の歩み寄りを指摘できよう。

無論、最も枢要な議題はシリアである。昨日の会談で明らかになった側面は大変明快である。2ヶ国ともアサド体制の正統性を否定し、一刻も早くアサドの退陣を必要とし、シリアにより民主的な制度がもたらされるべきで、未来の政権がテロに対して立ち向かうべきである、と考えている。したがって、二つの選択肢が 双方に残っている。一つは武力によるアサド体制の転覆、あるいはもう一つが、アサド大統領に打つ手を残さないような新しい環境を醸成することである。現在では、2番目の選択肢のために、包囲網を狭めており、より狭まっているように見られる。

計算上ではアサド大統領を窒息させるのは簡単だが、実世界は他の諸要因も持ち込んでくる。オバマ大統領とエルドアン首相は、国際関係のパワーバランスを持ち込もうとしており、化学兵器に関する証拠資料や情報の情報交換をおこない、アサド政権が人々に対し行う残虐な振る舞いにあらゆる政治的な場所で言及するであろう。しかし、明確な結果を得るには、一部の国々の説得が絶対に必要である。昨日ホワイトハウスでこうした国の一部の名前が挙がった。特にロシア、中国、そしてイランさえも、より一層敏感に、原則に忠実に虐殺へ反対するように求めている。しかし、それらの国々の立場から見れば、ことは単に一人の独裁者が国民に対して行っている残虐な振る舞いとは映っていない。シリアの現体制の崩壊を、アメリカや西側諸国の勝利のように考えている者たちは、同時にそうした展開を、自らの敗北と評価している。

とにかく、昨日のホワイトハウス会談後に新時代が始まっているのである。その新時代を「損得勘定」と単純化しないようにすべきである。私たちのすぐ隣の国で毎日虐殺が発生しており、トルコはこの忌むべき事件を、国際世論を味方につけずに解決できない。そして、その国際関係のパワーバランスを持ち込むために、 昨日重要な一歩を踏み出した。しかし、それを一朝一夕に手にできる過程と捉えるのは誤りだ。中・長期的な期間を経て昨日の会談の成果が、より理解、実感できるようになるであろう。[そのようにして]シリアにおける反体制派のより一層の強化、より一層のアサド政権側の前線での敗北、そして国際社会の舞台でこの体制の窮地への陥落は、免れないのである。

しかし尚、以下のような事実を忘れないようにすべきである。アメリカの戦略もかの国に暮らす人々も、シリアを第一の政策課題として評価していない。彼らにとっての緊急の課題、優先事項は中東ではない。実際ホワイトハウスの庭で二人の指導者に質問を聞きに来たアメリカの同業者たちは、専らアメリカを席巻している歳入庁のスキャンダルに関心を向けていた。彼らはシリアやイラクを、アメリカ・トルコ間の通商関係発展を、我々ほどに重要視していない。司法省と財務省がアメリカの野党を無力化するために法を執行したか、しなかったかに重大な関心を向けている。したがって、シリア問題は長く厳しい道筋と語らざるをえない。


(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:齋藤洋輔 )
( 記事ID:29989 )