外国人ブローカーら、イランの農産物に殺到(上)
2013年05月14日付 Jam-e Jam 紙

 外貨価格の上昇とリヤールの価値下落がもたらす害が、イランの農業分野にも明らかに波及しており、イラン各州にある農地への外国人ブローカーの進出を招いている。それにより、国内で農産物が不足する可能性も生じている。

 本紙記者の取材によると、国内の外貨価格の上昇によって、多くの商品にとって輸出が利益をもたらすビジネスとなっている。その理由は明白だ。商品が海外に輸出されて得られた外貨収入は、国内に入ってしばらくすると、非正規の市場で以前の数倍もの価格で売りさばくことが可能になっており、国内で商品を売るよりも何倍もの利益が得られるからである。

 このようにして、今まで自分の生産した商品の輸出にあまり関心を持たなかったり、あるいは輸出によって得られる利益など、そのことで生じる苦労と比べればさして経済的であるとは思ってこなかったりした生産者の多くが、輸出業者と結びつき、〔以前の数倍にまで膨れ上がった〕外貨の価値の差額から利益を得るようになってきているのである。

 こうした輸出過多が高じて、ついに昨年末〔=2013年3月中旬頃〕には石油化学製品や鋼鉄、食料品などの一部の生産物の輸出に関して、政府が制限を課し、輸出を国内需要への供給次第とするまでになった。

 これにもかかわらず、昨年末には外国人ブローカーらがドルを手に、イランの小麦生産地帯を〔足繁く〕訪れているとの報道がちらほら聞かれるようになり、農家からの小麦の保証価格による買い取りが始まる予定だったオルディーベヘシュト月初旬〔=2013年4月下旬〕になると、そうした報道はさらに増加していった。

 外国人ブローカーが小麦の生産地帯に進出するようになっているのは、彼らが提示している小麦の買い取り価格が、政府の保証買い取り価格よりも高いからであり、それ故に農家は自身の生産物を外国人ブローカーに売ろうとしているのである。

 同業者組合の関係者らが言うには、イラン人農家の生産した小麦のイラク人ブローカーによる買い取りはすでに始まっており、そうした例は〔イラン南西部の〕フーゼスターン州や〔イラン西部ケルマーンシャー州にあり、イラクとの国境の町である〕ガスレ・シーリーン、〔ガスレ・シーリーンにほど近い〕ギーラーンガルブなどで見られるという。

 それによれば、ブローカーらはイランの農家が生産した小麦を〔1キロ?〕約1,200トマーンで、それも現金で買い取っているとされる。この価格はガスレ・シーリーンとギーラーンガルブでは1,000トマーンである。これに対し、政府による保証買い取り価格は、価格の見直しにもかかわらず720トマーンで、〔外国人ブローカーらが示す数字とは〕大きな差があるのである。

他の生産物への波及

 本紙記者の報告は、さらに次のように続けている。

外国人ブローカーによるイランの農生産物市場への進出が一つの生産物に限定されているのなら、さほどの問題も引き起こさず、それを何らかの形で抑制することも可能だろう。しかし現実はそうではない。今やブローカーらの手にはイランの農産物の長大なリストが握られ、ブローカーも農家も、ともにそれらを国内価格よりも高値で取引しようとしていることに、問題があるのである。これは確かに農家にとっては得なことだが、しかし国内の食糧安全保障にはダメージとなる問題なのである。

つづく


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( 翻訳者:8410039 )
( 記事ID:30016 )