Fikret Bilaコラム:憲法問題
2013年05月21日付 Milliyet 紙

国会に会派がある4つの政党も有権者に新憲法を過去に約束した。このところ国会の憲法制定委員会は新憲法制定に向けて動いているが、未だ折衷案は出ていない。新憲法に期待するものは各政党それぞれ異なる。政権にとって新憲法の中で二点が重要かつ優先すべき課題であることが次第に明らかに なった。1つ目は大統領システム、2つ目はPKK(クルディスタン労働者党:非合法)と共同で開始された和平プロセスである。

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相と公正発展党(AKP)の大統領シス テムは、平和民主党(BDP)にとっても、PKKとの和平プロセスを決定付ける重要性を担うものだ。民族主義者行動党(MHP)にとっては既存の憲法について大きな問題は無かっ た。共和人民党(CHP)はというと、9月12日[クーデター]の遺産を憲法と法律の両方から消し去ろうとしていた。政権による大統領システムの請求、PKK撤退の見返りを憲法で規定するようにとのBDPの要求に、CHP・MHP両党とともに反対している。与党とBDP両党の要求により、4政党によって構成される憲法制定委員会の活動は行き詰まってしまった。

■Cプラン

この状況を受け、AKPのスポークスマンはCプランについて言及し始めた。Aプランは4政党が同意する新憲法であったが、このプランの実現は見込めない。 Bプランは、政権がCHPやMHPと合意に至った新憲法を国民投票にかけるというものだった。だがAKPが提案する憲法にCHP・MHPが合意するということも現実的ではない。こうした状況からCプランへの要求が高まった。政権の提案するCプランとは、BDPと合意して大統領制、半大統領制、もしくは政党に党籍をもつ大統領制のうちひとつを新憲法と定め、国民投票にかけるというものである。

■Dプラン

BDPスポークスマンは、大統領システムに躊躇を示し、オジャランと共に進める和平プロセスの見返りに憲法の中で自治を規定するよう要求した。これによりCプランもまた容易に実現できるものではないことが明らかになった。現在AKPのスポークスマンは2014年には3つの選挙の可能性があり、既存の規定により国民が大統領を選んだ後に憲法改正に着手する予定であると発言している。エルドアン首相は米国からの帰国の際に同じ方針での発表を行った。Dプランは以下のようにまとめることができる。

2014年3月に地方選挙が行われる。この選挙結果は政権・野党の両者にとってある種のテストであるという特徴を有する。2014年8月には既存の憲法により大統領選挙が行われる。大統領を初めて国民が選ぶことになる。エルドアン首相は国民が選ぶ最初の大統領として大統領府に上ることになる。その後憲法改正に着手し、大統領の職務と権限を大統領制に近づけ、党籍をもつ大統領という条項を[憲法に]持ち込む。

■支援が必要

Dプランでは、エルドアン首相が大統領に当選したとしても憲法改正には更に支援が必要となる見通しだ。エルドアン首相は、野党が所属国会議員を党議拘束しなければ、2014年8月以降も十分な支援を得られると見込んでいる。首相は昨日このような発表を行った。もちろん自党[の投票数]も縮小するかもし れないということを考慮に入れなければならない。政権がCHPとMHPから支援を得られる可能性はかなり低く、BDPからの支援はオジャランの和平プロセス次第である。

オジャラン、[北イラクの]カラユラン、そしてBDPはこのプロセスの第二段階で政治的要求を持ち出そうとしている。これは自治からオジャランの解放、クルド語教育から全体的恩赦までを含む、多くの一連の要求である。さらにエルドアン首相が大統領官邸に移った暁には、どのようなAKP指導部が構成されるのか、誰が首相になるのか、アブドゥッラー・ギュル大統領やビュレント・アルンチ副首相がどのような動きを見せるのか等、政治的展開に影響を及ぼす重要な要因についても議論の余地がある。以上のような点から、Dプランが実行可能なものであると言うにはまだまだ時間が必要だ。

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( 翻訳者:白鳥夏美 )
( 記事ID:30048 )