■エジプト:青ナイル川の水流切り替え、政府の軽視と専門家の危惧
■エチオピア、合同委員会の報告書を待つことなしに、グランド・ルネッサンス・ダム建設を開始し、世界を驚かす
■エジプト大統領府、エジプトは影響を受けないだろう
2013年5月29日『アル=アハラーム』
【本紙:アッ=サイイド・ヒジャーズィー、アマーニー・マージド、イスラーム・ファラハート】
エチオピア政府からの予期せぬ措置があり人民による祝賀が行われている中、エチオピア政府は昨日(28日)グランド・ルネッサンス・ダム建設全体の新たな段階を開始するために、青ナイル川の水流切り替えを開始した。
このエチオピア政府の決定は、エジプト国内において、広範な政府、および人民からの反応を引き起こした。エジプトとスーダンは、ナイル川を通じて、青ナイル川の水を58%獲得している。
大統領府の公式スポークスマンであるウマル・アーミル氏は「エチオピア政府が発表した青ナイル川の水流切り替えの決定は、エジプトに流入する水量に悪影響を与えないだろう」と述べ、それは工学技術的な措置であると指摘した。そして、昨日大統領官邸で開かれた記者会見の中で、エジプトがエチオピアの決定を当たり前の措置だとみなしていると言及し、エジプト、スーダン、エチオピアからなる三カ国委員会があり、この件に関して報告書を提出する予定であること、そして、エジプトが報告書の発行後に自らの姿勢を表明する予定であると言及した。
ムハンマド・バハーッディーン水資源・灌漑(かんがい)相は、エチオピアが行ったことは単なる工学技術的な措置であり、ダムの建設地域で行われているものだと説明した。その措置は、建設作業を開始するための場所の準備を目的としているという。また同相は、水流の切り替え作業は、支流から主流へと流れる水の流れを制止することを意味しない、と明らかにした。
さらに同氏は、エチオピア側からダム建設を開始することは、エジプトがグランド・ルネッサンス・ダム建設に合意することを意味しない。エジプトは依然として三カ国委員会の作業結果を待っているからだ、と強調した。
さらに同相は、エジプトの基本的な姿勢は、現在の水の流入量に悪影響を与えるあらゆるプロジェクトを受け入れないことであると指摘した。そして、予測し得るあらゆる結果、およびアラブ連合に提出される技術報告書に基づく結果に対して、対処する準備のできたいくつかのシナリオがあると述べた。その報告書は、三カ国委員会が提出するものだ。
ムハンマド・イドリース駐エチオピア大使は「エチオピアが青ナイル川の水流を切り替えることは、水の断絶を意味しない。しかし、ダムの建設計画地に流入することは意味している」と述べた。そして、当河川の水流の変更は、他のルートから青ナイルに流入する水に影響は与えない。その決定は突発的なものではなく、昨年(2012年)の11月にはその措置は取られていたと付言した。加えて、カマール・ハサン駐エジプト・スーダン大使とアラブ連合のエジプトの高等弁務官は、エチオピアの決定は突然のものだったとした。そして「エジプトとスーダンはこの件に関して協議するために、アラブ連合に頼った」と述べ、スーダンとエジプトの間ではエチオピアの突然の決定を協議するために継続的な接触が行われていると指摘した。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:西舘康平 )
( 記事ID:30146 )