シリアの貴重な写本はトルコで売られている
2013年06月02日付 Zaman 紙


シリアでバッシャール・アサド体制と反体制派の間で2年以上続いている衝突は、シリアを荒廃へと追いやった。これまでの衝突により、何千人もの人が命を落とし、何十万人もの人がシリアを後にせざるをえなくなった。この状況とともに、シリアにある多くのモスク、博物館、図書館も爆破された。この状況を好機と捉えた者たちは、文化的な遺産の略奪を始めた。治安当局が行っている調査によると、ダマスカスとアレッポの多くの歴史的なモスクと図書館にある写本が、他国に流失し高値で取引されている。アレッポの歴史的なウマイヤド・モスクは、攻撃の標的になり、衝突後廃墟となった建物のうちの一つである。預言者ゼカリヤの聖遺物があるモスクでは数多のコーランやその他の写本が盗まれた。他方、モスクにある預言者ムハンマドの聖歯・髭も失われた聖遺物として記録される。

警察の密輸・組織犯罪対策局は、窃盗団がシリアにある歴史的な写本と貴重品を手にいれて国境からトルコに運び込んでいると述べた。窃盗団が、貴重な作品を、ハタイ、キリス、シャンルウルファからトルコに持ち込み、イスタンブルやイズミル、アンカラといった大都市で売っていることが確認された。シリアから持ち出された盗品の中には、ムヒッディーン・イブン・アラビーと同派の神秘主義者の写本、イスラム法学、コーラン注釈といったイスラム諸学に関する作品もある。さらに、ウマイヤ朝、アッバース朝、セルジューク朝、オスマン朝期の貴重な作品を陳列しているダマスカス国立博物館も、略奪被害にあった場所といわれている。多数の歴史的な遺産、フレスコ、イコン、鮮やかなモザイク画、アラム語の写本などが展示されていた博物館からも何十点もの作品が盗まれ国外に流出している。

■歴史的な作品を売り武器を買っている

今までに密輸・組織犯罪対策局は、情報に基づき密輸に従事していた2人を特定し、盗品取引現場で二人を逮捕した。押収した絵画を分析した当局は、それが偽物であることを明らかにした。最近、特にハタイ、キリス、ウルファからトルコに多数の盗品が持ち込まれているとした当局は、絵画と歴史的作品の経済的な価値がとても高いと強調している。情報筋は、シリアの一部グループが同国の混乱を好機と見て歴史的作品を安値で販売し、そのお金で武器を買っていることに注意を引いている。専門家によると、歴史的作品は、100-10万ドルの間の値段で売られて、ヨーロッパで5万ドルから10万ドルで顧客を得ている。さらに、これらはトルコとレバノンで売買されている。こうした作品の販売にとって最大のブラックマーケットは、ヨルダンの首都アンマンとされている。

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:30187 )