Mehveş Evin コラム:ゲズィ公園で朝を迎えて
2013年06月16日付 Milliyet 紙


ゲズィ公園にある何百もあるテントのひとつに泊まってみたらどんな感じだろう。公園で一晩を「無法者」と過ごしていない人にはわからない。

このコラムを皆さんが読まれた時にゲズィ公園がどうなっているかわからない。テントの一部が片付けられているかもしれないし、そのままかもしれない。平和的な雰囲気が続いているかもしれないし、それとも…。ともかく、悪いことは考えないでおこう。
[訳者注:その後、15日20時半ごろから、警察が強制撤去を実施した。]

ここ20日間トルコの -さらには世界の- 耳目を集めているゲズィ公園に大抵、晩に訪れていた。でもここで朝を迎えることなしに、ここの暮らしや雰囲気をちゃんと理解できないでしょう。私も先週日曜日に公園のテントに泊まりました。

ゲズィ公園の生活は、外からは遊びや騒々しいものにしか見えないかもしれない。でもいつ何時介入があるかもとの恐怖を感じながら、自分の意志で止まっている人びとがここにはいた。

■ここに眠りにきたの?

テントの数がとても多いので、誰かを踏みつけたり、テントを崩さないで通り抜けるのは難しい。でもみんなとても親切だった。「アー、ご免なさい」というと「気にしないで」という答えが返ってくる。3-5のテントのまん中にいれば、そこは「溜まり場」になる。ここには紅茶、ヒマワリの種、ビーマンの詰め物がある...。もう何を目にしても、食べちゃう。本を読んでいる人もいるし、騒々しいのに横になっている人もおり、談笑している人もいる。

深夜二時にゴミを運ぶために、有志を募る呼びかけがおこなわれる。ここまで来たんだから、もちろん集めよう。見ていると、深夜に10人が列をなす。ドラマ「お仕事力」のメンバーでひいきに思っている俳優が列の中にいた。

素敵。みんなに消毒された手袋が配られる。集めたゴミ袋を外に運び出す。早くできない。私の中の母親の顔がもたげてくる。手袋をはめて、いくつかの大きなゴミ袋を一杯にした。(ゴミ屋の注意書き:ビール瓶はほとんどないといってよかった。排泄物や尿の臭いもなかった!)

片付けが終わると、「無法者の化粧室」に立ち寄って消毒液で消毒する。次はもちろん紅茶だ。「無法者のデザート屋」と看板を付けたお茶給仕人に「何でここにいるの」と尋ねた。無料でお茶を配っている。「革命家だから」と答えが返ってきた。

深夜3-4時、眠ろうとテントに入った。でも眠れなんかしない。公園の中でひっきりなしに動きがある。

「ここに眠りにに来たのか、みんな」と急に誰かが叫び声をあげる...。どこかで笛が吹かれたり、スローガンがあげられたりしている。隣のテントでは運動の今までのこと、今後のことを話し合っている。これで眠れというの。

■途絶えた鳥のさえずり

午前5:30、「眠りに抗う」とばかりにテントを出た。空はかすかに白みはじめていた...。ゲズィ公園の明かりはついている。そこらを歩いた。熱を帯びたおしゃべりは続いていた。一部の若者はテントを出て、あいている場所で毛布にくるまって寝ていた。

お腹が鳴る。「革命マーケット」に行って、5-6人の列に並ぶ。(8時には列はとても長くなる)。とても恥ずかしながら二つのサンドイッチを買って、テントに持っていった、その時間に見せる人びとの笑顔とエネルギーに驚きながら...。

陽が上る前に鳥たちがどんなふうにさえずるか、耳を傾けたら...。鳥たちは、ここのところの催涙ガスでいなくなった。菩提樹の良い香りがあたりに広がる。

空気がとてもおいしくて、あたりがこれほど平安なので、眠気はなくなり、プラタナスの木に寄りかかった。日がのぼるにつれ、公園は夜を経験しなかったかのように活発に動き始めた。手元には紅茶とサンドイッチがある。このすばらしい寝覚めの光景を見つめながら、楽しんだ。

数多の悲しみや惨事にも拘らず、ゲズィ公園で、このすばらしい木々の下で、このナイーブで、でも毅然とした若者たちと朝を迎えられて、とても、本当にとても幸せに感じた。


(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:清水保尚 )
( 記事ID:30463 )