「モスクで酒」疑惑の人物、「人生、めちゃくちゃに」
2013年06月21日付 Radikal 紙


ゲズィ運動中の6月2日、ドルマバフチェ宮殿近くでの警察の介入により、多くの人がベズミ・アーレム・スルタン・モスクに避難した。しかし翌日、ソーシャルメディアや一部の新聞の、インターネットサイトで「避難したモスクで飲酒」との報道が出始めた。その後レジェプ・タイイプ・エルドアン首相と政府関係者はモスクで飲酒がなされたと発表した。この証拠としてモスクで発見された、写真に写っていたビールの缶とエムレ・オズチュルク氏の写った写真が示された。写真ではオズチュルク氏が手に持った缶の飲み物が写されていた。この写真は一部の新聞や多くのインターネットサイトで広まった。ソーシャルメディアでもすぐに広まった。ラディカル紙は昨日エムレ・オズチュルク氏に取材をした。オズチュルク氏は、持っていたのは330mlのコーラの缶だったと述べ、 「この写真が出回ってから、父は私を勘当すると言っています。7年間共に過ごした婚約者は指輪を外しました。同じ地区の人たちは私の妹が通ると『お兄さんがモスクで酒を飲んだそうね』と言っている。僕の人生はめちゃくちゃになった」と述べた。美容師をしているオズチュルク氏は26歳。カルタルに住んでいる。オズチュルク氏はゲズィ運動に参加するためタクスィムへ行こうと決めたと言い、ドルマバフチェ宮殿まで行った。彼は経緯について次のように語った:

「警察が発射した催涙ガスを浴びてモスクに避難しました。あの晩あの場にいた人たちは知っています。皆自分なりにそこにいる正当な理由がありました。私は14年間ぜんそく持ちです。ガスを浴びるとモスクに入らなければならなくなりました。気が付くとモスクの中に食糧庫ができていました。タバコを含めたくさんの飲み物があるだけでなく、氷までありました。その時に棚にコーラが置かれました。私は手に取って、楽になるために缶を目に当てました。体中が、特に目が熱かったからです。コーラの缶を持っている時に誰かが写真を撮ったようです。330mlの皆さんご存知のあのコカコーラの缶です。ビールを飲んでいる人は一人も見ませんでした。私が見た限り食糧庫にもビールはありませんでした。事件が終わって随分経ってから、棚に潰れたビールの缶があるのを見ました。」

オズチュルク氏はこの写真が広まってから不安な日々を過ごしていると話し、次のように続けた:

■とても不安になった

「翌朝起きてソーシャルメディアであの写真を見ました。私について何千もの中傷が書かれていました。いくつものインターネットサイトや、新聞でも報道されていました。その後父もこれを耳にしました。もともと父とは2年間関係が良くありませんでした。この報道がとどめを刺しました。父は私と同じ考えにもかかわらず、『出て行くか、無実を証明するか、名字を変えろ』と言いました。私を勘当するに至ったのです。7年間を共に過ごした婚約者も去っていきました。彼女の父親は『もう君には娘をやれない』と言っています。この1年間婚約していました。皆このニュースが広まると、「どうしたんだ、何てことをしたんだ」と 私にニュースのリンクを送ってきます。少なくとも私があのモスクにいたことについてはたくさんの証人がいます。私は普段の生活でもアルコールはとりません。私は写真を見てとても不安になりました。「酒を飲んだ」と言われていますが、私は神を信じて生きてきました。酒を手にモスクに入るなど出来るわけがありません。」

■冷たい態度をとられる

オズチュルク氏はこの状況により自分だけでなく家族もひどい目にあっていると述べ、次のように語った:

「首相も頻繁に会合で(この件に)触れています。私は精神的に参りました。道には斧を持った人たちがうろつき始めました。当然私のところに来るでしょう。とても不安です。私はカルタル裁判所で、ソーシャルメディアで活動する人たちやこの報道が広まったインターネットサイト、新聞について訴えました。私が受けたことの代償は、必ず払われるでしょう。首相がカズルチェシュメで再び言及したように、私について言及し続ければ、首相に対しても私の法的権利を行使します。最初の頃は外に出られませんでした。ミニバスにおいてでさえ他の乗客は『モスクにビールを持って入るなどけしからん』というような反応を見せていました。父は膵臓がんで体重が98キロから48キロに減りました。父は重い病から回復しました。この一連の事件も父を精神的に追い詰めました。私の家族は今いる地区にずっと住んできました。皆父や母にそれぞれ冷たい態度をとっています。姪や甥、親戚、姉にもそうです。14歳の妹にさえ『君のお兄さんはモスクにビールを持って入ったそうだね』と言ってくる人がいます。私の人生はめちゃくちゃになりました。」

■飲酒はなかったと言ったが・・・

EU相兼交渉代表者のエゲメン・バウシュ氏は飲酒報道の後のモスク訪問について昨日発言した。バウシュ氏は「調査官はアザーンの朗誦者(ミュエッズィン)と面会した。アザーン朗誦者は前の発表とは逆に、飲酒はなかったと述べた。『矛盾があるので調査しましょう』と私が言うと、ビール瓶の写真や映像を持ってきました。アザーン朗誦者たちが何百人もの人が来て脅迫したことに影響されているような印象を受けた」と話した。


(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:30527 )