Mehmet Y. Yilmaz コラム:差別主義のスポーツ選手を旗手にするとは…
2013年06月22日付 Milliyet 紙

地中海競技大会の開会式、トルコ人選手の行進の先頭で旗を持つレスリングのルザ・カヤルプ選手を見て、どのスポーツ施設にもあるアタテュルクのこの言葉を思い出した。

「私は、スポーツマンの知性、俊敏さ、そして礼儀正しさを好む」

五輪や地中海競技大会といった国際的なスポーツ競技会で、行進の先頭で国旗を持つ選手の選考は重要だ。スポーツの成績以外にも好ましい特徴があり、リーダーとしての能力を有し、世論でも好かれる選手が求められる。さて、今回トルコは旗手としてルザ・カヤルプという名のレスリング選手を選んだ。

五輪銅メダルという彼の戦績は重要だ。しかし、それ以外の特徴を彼は一つも兼ね備えていない。というのも、良識に欠けた差別主義者以上の人間性を伴うことがないからだ。ゲズィ公園へのショッピングモール建設反対抗議するために始まったデモに対し、彼はツイッターで次のようにつぶやいている。

「アルメニア人にタクスィム広場を明け渡したのか。無法者のデモ参加者にアッラーが苦難をお与えになればいい。」

「アルメニアでは国民が祝杯を上げているらしい。タクスィムを占領したからトルコで有事を起こすのも簡単だ、と。」

「おまえらのした活動はs…売国奴」(なお、投稿されたメッセージ内の誤記はこのボウヤの原文のまま。私のミスではない。)

一民族に関して侮辱してやれとばかりに利用するのは、どう見ても差別主義で、嫌悪すべき罪を犯したといえる。また、デモ参加者に対する誹謗は、彼自身の道徳レベルを表している。こんな人間の手に国旗を持たせて、競技会の開会式で列の先頭で行進させているのだ。

普通ならこんな差別主義者は二度とスポーツのフィールドに上がらせてはならない。差別主義者だという理由で競技から追放されても、決して驚くことはない。

大学に相応しくない差別主義者の[ユルマズ工科大学]アフメト・アタン教授と、ご覧のとおりトルコ語の綴りすら知らず、スポーツの世界に相応しくない差別主義者の選手は同じ土壌に立っている。レジェプ・タイイプ・エルドアン首相、高等教育審議会(YOK)、ユルマズ工科大学、スポーツ協会、これらがどれだけ誇りに思っていたとしても、たかが知れているだろう!

■すべての人々のリーダーになる術

さて、そのエルドアン首相は昨日、国民を二分する戦略上の一公務でカイセリを訪れていた。

相変わらず、普段通りにわめき散らし、あれを批判しこれに怒りといった様子だった。演説の一節では「『大統領にはなれませんよ?』と言われたが、どうなった。また、『地区長にはなれない』とも言われたが、首相になったか?」という言葉もみられた。この発言を聞き、今度は老翁と息子の小話が頭に浮かんできて、一人でぶつぶつ呟いてしまった。私はあんたが首相にはなれないとは言っていない!

首相の、あと一つの目標は大統領になることである。

それに向けて彼が描いてきた道筋も明らかだ。社会の二極化を仕掛け、その二極化が生み出す緊張状態の上で踏み固めて、自分の基盤と信じる一団の票を固定化し、強化するという道筋だ。

これにより社会が少しずつ沸き立ち、人々はお互い敵視するようになったとしても、彼にとってはどうでもいいことだ。彼は、諍いや緊張状態によって滋養を得ると信じており、うぬぼれから自分のことをそのように鏡の中で見ているので、このことによって社会が[いかなる]つけを払っているのかも気に留めることすらしない。
言いたいことは一つだ。アッラーが彼に道をお示しくださいますように!

■チケット完売の裏側

メルシンで行われた地中海競技大会の開会式も、政権側の怯えがみられた。事務局によると、開会式のチケットが発売開始後15分以内に完売したというのだ!

なんらかのトリックがあるに違いない!

これまでの大会では、オリンピック競技に対してこれほどの人気はみられなかった。ここで思い出すのは、競技場での初の政権への抗議が世界バスケットボール大会決勝でかつて起こったことだ。あの出来事に学んで、政府側はガラタサライ・スタジアムでの開会式の全客席を自分たちで押さえようとしたが適わなかった。結局、ガラタサライは一スポーツクラブであり、会員もいる。そんなことは不可能だったのだ。政府側はその際にも大きな抗議を受けた。首相の怒り具合、さらにはスタジアムの所有権についてガラタサライ関係者を不安にさせるような発言をしたこともついでに触れておこう。

ゲズィ公園運動以降、国際メディアの眼前で起こる大規模な抗議デモに政府側は腰が引けている。実際、(メルシンでの開会式は、)公正発展党(AKP)の、メルシン近郊の自治体が団体チケットを購入し、組織的に開会式の客席を埋めたらしい。
反対の声が上がる機会を封じ、こうして首相が抗議される危険性を妨げた。

さて、FIFA U-20ワールドカップでも似たような警戒措置がとられるのだろうか?
そう、トルコは決勝に進出する可能性があり、その決勝試合もイスタンブルで行われるのだ!グループ試合開催地であるトラブゾンとリゼは、もちろん操作介入可能だろう。しかし、イスタンブルでは、スタジアムでまた催涙ガスの使用を見るはめになる可能性はある。人々が傷つけられるような事態にならないことを願う。

そして最後に、8月にはサッカーの新シーズンが始まる。政府には、そのときまでに、緊張状態をほぼ解消するようなはっきりした説明を期待する。この若者たちと意地を張り合うことは似つかわしくない、そういっておこう。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:30534 )