Fikret Bilaコラム:(ゲズィ後の)選挙プロセスと、(クルド問題)解決プロセス
2013年06月23日付 Milliyet 紙

ゲズィ公園の諸事件によって、トルコの選挙プロセスへの突入は早まった。タイイプ・エルドアン首相は、ゲズィ公園事件に対抗するのは選挙の場だと示し、選挙キャンペーンを開始した。第4回会合は昨日サムスンで行われ、第5回会合はエルズルムで行われる予定だ。

■3つのプロセス

選挙プロセスは、3つのプロセスを内包している。
これらのプロセスは、選挙プロセスにそれぞれ別の形で影響を与える重要なものだ。
1つ目はEU加盟プロセス、2つ目はゲズィ公園プロセス、3つ目はクルド問題解決プロセスである。

最初に注目されたのは、ゲズィ公園プロセスだった。
エルドアン首相は、このゲズィ公園事件を中心に据えて、今日までの演説を行った。ゲズィ公園事件が街路のデモから「スタンディングマン」運動に変わるとともに、残る2つのプロセスが主張され始めた。
EUプロセスが主張され始めた一因は、ゲズィ公園事件に対する警察の厳しい妨害だ。そしてもう1つの重要なファクターが、メルケル独首相の、トルコに対してEUの門を閉ざす試みだ。
長い間中断していたEU加盟プロセスが緊張をはらむ一方、同時にクルド問題解決プロセスでも「行き詰まり」が話題になりはじまた。
実際、カンディル(PKK本部)からはムラト・カラユランの脅しを匂わせる声明がで、もう一方でセラハッティン・デミルタシュBDP共同党首が政府を非難する主張を始めた。
このように、解決プロセスに行き詰まりが見られる一方で、選挙がらみからか、与党側からは「行き詰まり」はなく、解決プロセスは進展しているという発表が行われさらにその後「(オジャランとの)第2段階の会談」が持ち上がった。

選挙プロセスに影響を与えることになるこの3つのプロセスの中で、与党にとって最も重要度の低いプロセスは、おそらくEUプロセスになるだろう。EU側から妨害が行われ、一方で2002年に比べて与党がEUからの支援にそれほど必要性を感じなくなったためだ。EUプロセスは、与党にとって重要でないものになりうる。

■ゲズィ公園プロセス

選挙プロセスにおいて、ゲズィ公園がもっとも重要なものとなることは、エルドアン首相の言説から明らかである。
エルドアン首相は、このプロセスを、民主主義への脅迫、破壊・荒廃・壊滅への指向、内外の暗黒勢力による政権転覆を目的とした一種のクーデターであると位置づけ、こうした動きに対する「民主主義の防衛」との選挙演説を行なっている。
このため、ゲズィ公園プロセスは選挙プロセスに重要な影響を与えるものの1つとなるだろう。
最大野党も、選挙プロセスにおいてゲズィ公園事件を別の観点から利用しようとしていることも明白だ。共和人民党(CHP)が、ゲズィ公園事件に対する警察の厳しい妨害を、エルドアン首相に対する権威主義の批判として、選挙キャンペーンの中に取り入れることは想像に難くない。さらにはCHPは、ゲズィ公園運動を実行した最初のグループの中の「新たな若者」を、選挙キャンペーンにおいて自分たちの側への取り込みに努めていることが知られている。

■クルド問題解決プロセス

選挙プロセスに影響を与えるもう1つの重要なファクターは、クルド問題解決プロセスだ…。
このプロセスは、政府や公正発展党(AKP)と平和民主党(BDP)の双方を圧迫する変動になりうるプロセスだ。
民族主義者行動党(MHP)は、選挙キャンペーンにおいて、このプロセスに対抗する形で選挙戦を行うだろう。デヴレト・バフチェリMHP党首は、既に始まっている選挙キャンペーンにおいて、この問題にもっとも時間を割き、このプロセスがトルコ存続の問題となったとあらゆる機会に強調している。このプロセスが進展すれば、バフチェリ党首がこの点について与党をさらに攻撃するだろうことも想像に難くない。

クルド問題解決プロセスが選挙プロセスの中で進む場合、これは与党を圧迫する可能性がある。エルドアン首相は、ゲズィ公園事件後に行った演説において、以前にくらべ「テロリストのリーダー」、「1つの祖国、1つの国家、1つの政府、1つの国旗」、「テロ組織の一片」などの表現をより頻繁に使用し始めた。この言説は、解決プロセスが「第2段階」に踏み出した際に、いくつかの矛盾を招きうる。同じことはBDPにとっても言える。

選挙プロセスは、主としてゲズィ公園運動とクルド問題解決プロセスがどのように進展するかに左右されることになるだろう。


(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:30536 )