Sahin Alpayコラム:ゲズィ運動のもたらした政治的結果
2013年07月02日付 Zaman 紙

軍部による後見体制の復活と、[クルドとの]和平プロセス頓挫のために[ゲズィ公園を]利用しようと望む人々は、いなかった訳ではない、しかしゲズィ公園デモが残した主たるメッセージは、エルドアン首相が〔兵舎〕建設について直接指揮を執った「新生トルコ」の身勝手で権威主義的な手法を、認めないということであった。このメッセージを最も適切に評したのはおそらく、国際社会で知られた社会学者、ヌル・ヤルマン教授であろう:「オスマン時代に君主の奴隷の立場を、現代のトルコにおいては国民が占めている…」(2013年6月24日付Today's Zaman紙、ヨンジャ・ポイラズ・ドアン記者の記事より)

ゲズィ公園デモがもたらした様々な政治的結果は、すでに表面化している。エルドアン首相は、裁判プロセス(注)の決着を待つことと、いかなる結果がでた場合でも住民投票は行われるということを公言している。(トプチュ兵舎計画が終わる可能性もある。)イスタンブルのカーディル・トプバシュ市長は、今後バス停の場所を1か所変更する場合でもいちいち市民に問うことになる、と言っておく必要性を感じた。最も正しい分析をしているのは、平和民主党(BDP)のセラハッティン・デミルタシュ党首だ:「ゲズィ運動は、民主主義の自律性(つまり当事者による管理) がどういうことかを示した。」

首相は「国民の意思決定へ敬意」[という名の党]集会を開き、来年行われる選挙向けのキャンペーンを早期に開始させる必要性を感じた。この集会によって、国民を自分たち の支持派と反対派に二分する政策に拍車がかかった。[首相は]過剰な暴力を行使する警察について「よくやってくれた...」、また自身に要望をおこなう国民については「いつから平民はえらくなったのか」と発言した。この二つ目の発言に異議を唱えたBDPの共同代表ギュルタン・クシャナク氏は、民主主 義の基本的理念を強調してこう話した:「この国に[軽んじられる]平民などいない、私たちは全員尊重されるべきだ。」

最近では、首相が二分化的政策に固執することについて、それを説明するため主に2つの論理が主張される。1)「政権の権威化:絶対的政権は必ず権威化する」11 年にもわたりいくつもの難問に取り組んできた政権であれば、疲労が溜まっている。このためアメリカでは、大統領の任期は二期で打ち切られる。中国共産党でさえ10年ごとに執行部全員を入れ替えているのだ。2)いや、首相には首相の論理があるのだ。選挙へこのままいけば、経済に明るい兆しは見られない。だ から、有権者の支持を強化するために敵を設定し、[国内を]二分化させるという必要に駆られているのだ。これにより、純粋な宗教的ポピュリスト的発言をエ スカレートさせている。(モスクへ靴のまま上がった...。モスクで酒を飲んだ...。スカーフを着用する女性に暴力を振るった...。)

どの論理が正しかろうが、ゲズィ運動には改革プロセスを活性化させる影響が見られる。首相は民主化に向かって歩み出す圧力を胸に感じている。したがって、[クルドとの]和平プロセスが第2段階に向けた限定的な歩み、アレヴィー派との和解の第2段階、トルコ国軍内規35条改正提案などがある。PKK(クルド労働者党:非合法)が武力行使の代わりに平和的な話し合いを行うことの、長所や利点を見つけることに躍起になっている。デモ、集会、会合などの形を取りながら 「[クルド問題]解決プロセスの促進」に力が注がれている。全ての(つまりPKK否定派を含む)クルド人を代表する団体の開設に向かって。ジズレの「治安チーム」に委ねていない。

ゲズィ運動は、ケマル・クルチダルオール共和人民党(CHP)党首を含む人々を動かした。同党首がコラムニストのアンベリン・ザマン氏に話した発言をご覧にいれよう。「私たちは改革派政党として見られてはいません。違う言葉が必要なのです。新しい世代はとてもエネルギッシュで、とても頭が良い…。私 たちは彼らと親しくなることが出来ませんでした。彼らを理解出来なかったのです。」

そして爆弾を爆発させた。母語での教育に反対し、国民としての「テュルク (トルコ人)」の定義に固執する「共和人民党が憲法統合委員会に提出した意見書は、党を縛るものではない。」(6月17日付Taraf紙より)民族主義者の重荷を取り除いたCHP議員の手には、国民との仲を修復する絶好のチャンスが握られている。

(注)ゲズィ公園問題についての司法的判断



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:30663 )