イスラエル:シリアと「ヒズブッラー」が最大の課題…アサド大統領はエジプトの一連の出来事における最大の利得者
2013年07月14日付 al-Hayat 紙


■イスラエル:シリアと「ヒズブッラー」が最大の課題…アサド大統領はエジプトの一連の出来事における最大の利得者

2013年7月14日『ハヤート』

【被占領地エルサレム:アーマール・シハーダ】

モシェ・ヤアロン国防相を筆頭とするイスラエル軍司令官らは「アラブの軍隊は国内の諸問題で手一杯であり、少なくとも今後2年間はイスラエルが攻撃される危険性はない」と述べ、「アラブが1973年の戦争で起きたような戦争をイスラエルにしかけてくる可能性はない」と述べた。それとともに、イスラエルのすべての報告書が「シリア軍の分裂と崩壊は(今後)長年にわたって同軍をマヒさせるだろう」と言及している。にもかかわらず、イスラエル軍司令部は、北部国境と占領地のシリアのゴラン高原を「主要な激しい戦線」とみなし、議題のトップに保持することを決定した。ベニー・ガンツ軍参謀総長は、特にゴラン高原における状況に対処することを目的として、大型の戦闘師団の形成を行った。ヤアロン国防相は、このような特殊戦闘師団の設置は、1973年の戦争でイスラエルに対して行われたアラブの奇襲攻撃が繰り返されることを防ごうと、イスラエルが注視する枠組みで行われていると述べた。

ヤアロン国防相はエジプト国境を視察した際、自身が「シリアにおける前線」についても言及していることに気付いた。同国防相は「イスラエルがその軍事攻撃力を用いて動き出すことになるレッドライン」を線引きし直した。同国防相は「われわれはレッドラインを定めた。われわれがこのラインを維持しようとしていることは(すでに)述べたし、(現在も)述べている。われわれは、これを越えることを許さないだろう」との牽制・警告を発し始めた。

このヤアロン国防相の警告は、シリアとヒズブッラーに対するイスラエルの扇動、プロパガンダ、キャンペーンが最高潮に達する中で行われた。その二週間の間、政治家、軍人、報道機関を含むイスラエル人の議題の表題に、この件が上がることがない日は一日としてなく、エジプトのムハンマド・ムルスィー(元)大統領の罷免の日だけが例外だった。また、エジプトの件についてイスラエル人らが議論したときでさえ、彼らはその件においてシリアの(占める)位置を見出した。イスラエルは、長いあいだ認めることを拒んでいた事実を認めた。つまり、ロシア、イラン、ヒズブッラー、アサド大統領の連合の勝利はイスラエルの北部国境に深刻な課題をつきつけるだろうということだ。

イタマール・ラビノヴィチ前駐米イスラエル大使は、アサド大統領はエジプトでの出来事における最大の利得者だと述べ「アサド大統領は、中東地域および世界に対し、迫り来る原理主義の脅威からシリアとアラブ世界を守る世俗的な指導者として自らを描こうとしている。ムルスィー大統領失墜直後にアサド大統領が発した発言は、たまたま(発したもの)ではない。同大統領はその中でエジプト軍の前進を歓迎し、自身とエジプト防衛相の類似点を明示しようとした。同大統領はその成果を誇張して示しているにしても、エジプトの出来事がアサド大統領に大きな救いと助けの風を与えたことに疑いの余地はない。特にその風は、クサイル市とヒムス市の戦闘以降のように、アサド政権が勢いを盛り返し成果をあげている時期に激しく吹く」と述べた。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:30809 )