PYDの標的は、協力しない信心深いクルド人
2013年07月22日付 Zaman 紙


シリアで最も少なく見積もっても10万人が犠牲となった内戦が続く中、シリア北部での勢力争いが加熱している。トルコの国境に接するラアス・アル=アインの町を手中に収めたPKK(クルド労働者党)のシリア組織民主統一党(PYD)は、少しずつ自治国家建設に向かっている。

ラアス・アル=アインが属している人口25万人のハセケ県のムフティーであるイブラヒム・ナクシベンディーは、バッシャール・アサド大統領が、トルコを困らせるためにPYDに武器を提供し、その地域に配したと述べた。「神はトルコに大きな祝福を与え、[それを]崩そうと望んでいる」と述べた。

2011年に[シリア内戦の]事件が生じた当初、ナクシベンディーは、アサド大統領に国民への謝罪を求め、選挙を実施するよう勧めたため、死刑を宣告を受けた。そして映画のような逃亡の旅でトルコに避難した。

本紙に話したナクシベンディーは、PYDの標的が、信心深く、反体制的なクルド人とマスード・バルザーニーの支持者であると述べた。しかし、こうしたグループは武器がないためPYDの圧力下に置かれていると述べた。同氏は、アサドがPYDを支持していることを強調して、次のようにつづけた。「彼らは、信心深いムスリムのクルド人を攻撃している。アラブ人であろうとクルド人であろうと信心深いものに圧力をかける。」

イブラヒム・ナクシベンディーは、2年半前までムフティーをしていたハセケ市で人々が愛し支持する一人の宗教指導者として生活を続けていた。一日の大半を弟子と過ごしていた。シリアの反対側の端にあるダラァ市で、壁に反体制な絵を描いていた若者を捕えて、一部を拷問をして殺したことによって始まった事件は、すぐにシリア全土に広がった。その模様を、彼も懸念を持って見守り始めた。政府の国民への行為に怒りこれを隠さなかった。この混乱において、彼と70に近い他の宗教指導者が首都ダマスカスに呼ばれた。

アサド大統領は、彼らと会談することを望んだが、意見を聞く意図はなかった。ナクシベンディーはアサドとの会話を次のように語った。「わたしから一行に向け話をするよう望んだ。「忠告かそれとも政治の話か」と彼に尋ねた。私に「どういうことだ」と尋ねた。私も「忠告とは、流血の停止、あなたがそう仕向けること」「政治とは、あなたを褒め讃えること」と答えた。「本当のことを言えば、気に入らないでしょう。嘘をついたら神は許さないだろう」と続けると、アサドも、私が[一行に向け]話しをするよう言い張った。

「本当のことをいえ、怒らない」とアサドは述べ た。その日政府の攻撃により10人が亡くなった。アサドに、「犠牲者の家に行ってこの事件を決して認めず、責任者を司法で裁くと述べろ。[そうすれば]これはすぐ終わる。 多くの人々が捕えられた。彼らを解放する必要がある。さらに、人々はあなたを望んでいない。それならば、国に自由な選挙をもたらせ。人々に自由に大統領と首相を選ばせなさい」と述べた。そこで働いている友人がいた。[大統領の許を]出るとき私に、「アサドはとても怒っていた。すぐに出国しろ。そうでなければ君は殺される」と述べた。

この会談後、警告通り国を出る決意をしたシリア人の宗教指導者は、「その晩アレッポ空港に私は行った。入口でムスリムの将軍が、「あなたの逮捕状が出まし た。捕まれば処刑されるだろう」と述べた。彼は私をすぐに飛行機に乗り込ませ、「飛行機はまずダマスカスに着陸します。空港から絶対に出るな。すぐ出発する外国行きの飛行機に乗りなさい。どこだっていいのですぐにシリアから出ろ」と述べた。

■PYDの武器はなく、武器は政府が支給している

ナクシベンディーは、その夜、最初の飛行機でリヤドに行った。サウジアラビアでとてもよく迎えられた。家と車が支給された。しかしスンナ派の知識人について偏見があったため、そこを離れてドバイで宗教指導者として務める息子のもとに行ったと述べた。ここでも教育と説法を禁止されたため離れ、祖先が暮らしていたトルコに来たと述べた。安全面の理由で場所は明かせないが現在は250人近くのシリア出身の学生を指導している。

PKKのシリア組織PYDが、よく知っているラアス・アル=アインを手に入れてトルコ国境に50mの距離に自分たちの旗を立てたことをどう考えているか、とナクシベンディーに質問した。「シリアでの不幸をトルコにももたらすためトルコをシリアの泥沼に引きづり込み、ロシア、イラン、中国と戦争させようと望んでいる。大いなる幻想だが。私たちシリア民衆とトルコのために祈っている。神はトルコに大きな祝福をしました。それを崩そうと望んでいる」と述べた。

「アサドは、すべての場所で支配権を失っているとわかっている。PYDをも呼びかけ、トルコに災悪をということでトルコ国境に配し武装化させた。政府は彼らに政府を樹立するために兵器を渡している。シリアのクルド人は3つに分かれる。一つは、とても信心深い層である。一つはバルザーニーを支持している。信 仰のうすい人びとは、PKKとPYD支持している。彼らが、信心深いムスリムのクルド人を攻撃している。アラブ人であろうとクルド人であろうと信心深い人に圧力をかけている。スンナ派の人びとを、アサドは攻撃する、PYDも。地域にはユダヤ人もアルメニア人もいる。しかし彼らに対しては何もしていない。PYDは地域で大きな基盤はない。しかし、政府から得た多くの武器がある。」

「アラブ国家の多くはシリアのムスリムへの門戸を閉ざした。シリア政 府の背後にロシア、中国、イラン、イラク、レバノンのヒズボッラーがいる。シリアの人々の後ろにはトルコだけである。私たちはとてもトルコ人とトルコ政府に感謝している。神が彼らを祝福されますよう。」

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:30909 )